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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第3章 要衝都市に隠された

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第9話・診察したら判明し~患者に告げるは真実の~

第3章 要衝都市に隠された



       第9話・診察したら判明し~患者に告げるは真実の~



 カミルの診察を進めるうちに、インスは表情を変えることなく、内心でそっと溜め息を吐く。



(……悪い方に予想が当たってしまいましたね……)



 事前にセージから聞いていたこと。


 今日訪れて、カミルの家族からも確認したこと。


 そして何より、カミル自身を診察したことで確定してしまったこと。



(……カミルさんは、病気ではない……)



 脈も正常。


 呼吸も問題は無し。


 瞳孔も、目に充血もなく。


 喉の腫れや内臓に炎症が起きている様子もなし。



 念のため、見者《けんじゃ》の目でこっそりとカミルの様子を確認して貰っていたアインに視線を向けると、アインもまた小さく首を横に振った。



 魔力を診ても異常はない、ということ。



「「……………」」



 それなのに、薬を飲み続けて小康状態。



 インスもアインもほんの一瞬、複雑そうな表情を浮かべるが、それに関しては一旦無言で頷き合うに留める。



「……念のため、飲まれているお薬も、拝見させていただいてよいでしょうか……?」



 一通りの診察を終えて、ついでのように問いかければ、ネモナがキッチンに置かれている薬をまとめて持ってきてくれた。



「……アイン君……」


「……はい……」



 そっと、囁くように呼び掛けたインスに、アインも小さな声で頷いて、まるでお手伝いをしているかのような様子で薬を一つ一つ取り出して、インスへと渡していく。



 薬は粉状に磨り潰されているもの。


 葉を細かく砕いた状態のもの。


 薬液になっているもの。



 大きくはこの三種類で、それぞれがいくつかの薬草などを混ぜ合わせて調合されているもののようだった。



「……飲み方は、ここに書かれている通りに……?」


「はい……食後に粉の薬を一日三回。水分補給には薬草を煮出したお茶を飲むようにして……夜寝る前には薬液を服用するように、と……」


「……なるほど……」



 それぞれの薬に添えてあった説明書きを確認しつつ問いかけたインスに答えたのはネモナの方。



 頷きながら、乾燥させた薬草を砕いて混ぜ合わせてあるような薬を少し取り出し、匂いや手触りで種類を確認していく。



(……これを煮出して水分補給に、ね……)



 すっと、インスの目が微かに細くなる。


 その隣で、薬液の瓶を開けたアインが、匂いを確認し、ちょっとだけ瓶の縁に付いた液を指に取る。



「……これ……」



 小さく呟いたアインから薬瓶を受け取り、同様に匂いを確認して指に少しだけ取ったインスが舌先にそれを乗せた。



(……なるほど……そういう……)



「……あの……?」



 首を傾げるネモナを安心させるようにふわりと微笑み、最後に粉状の薬を少し舐める。



(……確定、ですね……)



 丁寧に薬を包み直したインスは一瞬だけアインと視線を交わらせ、すぐに穏やかな微笑を浮かべた。



「……カミルさんの病は、もう間もなく完治するでしょう……頑張りましたね……」


「…………ぇ…………?」



 その表情のまま、きっぱりと言い切ったインスに、カミルは目を丸くして絶句する。



「……ほ、ほん……とう、に……?」



 思わず、と言った様子でリリーが呟けば、振り返ってインスはにこりと笑って頷く。



「……ええ……だから、安心して下さい……」


「「「「「…………っ!?」」」」」



 大きく息を飲む音が響いて、リリーとネモナ、そしてカミル本人の目から、堪えきれない涙が零れ落ちた。



「少しずつ、身体を動かして、ご家族を安心させてあげて下さいね……」


「……ん……っ。わ、かった……!」



 もう一度カミルに微笑みかけてそう告げれば、ボロボロと零れる涙を必死で袖で拭って、カミルは頷く。



 その様子をやさしく見守って、インスはゆっくりと立ち上がった。



「……今後の件で、少々お話しさせていただいても……?」



 それから、ロブに向き直って声をかければ、目元を潤ませて頷く。



「ええ……もちろんです……」



 どうぞと促され、ネモナとリリーをカミルの傍に残して、インスたちは元の食堂に戻った。



「……大変、申し上げにくいのですが……」


「「……っ!!??」」



 戻ったところで、真顔になったインスからそう告げられて、ロブとセージの顔色が変わる。



 どういう意味だ?


 先ほど、カミルの前で言っていたことは、全部嘘だったとでも言うのか?



 一気に血の気が引いて真っ青になった二人の脳裏に、最悪の思考がよぎる。



「……このまま、この薬を飲み続けていては、現状は変わらないでしょう……」


「「……ぇ……?」」



 静かに告げたインスの言葉の意味を、二人は理解できなかった。

第9話をお読みいただきありがとうございます。


病床のカミルと対面し、慎重に診察を進めるインスとアイン。


しかし、そこで判明したのは、カミルの身体には全く異常がないという、あまりにも不可解な真実でした。


家族から服用している薬を預かり、その匂いや味を確かめ、すべてを察したインス。


カミルの前では優しく微笑んで希望を与えますが、部屋を出てセージとロブを前にした瞬間、インスは真顔になって冷徹な事実を告げます。


一気に血の気が引く二人。


インスが言葉に込めた不穏な意図とは!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


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また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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