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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第1章 西へと向かう極寒の

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第2話・話の続きを湯上りに~麗しすぎる二人のひと時~

第1章 西へと向かう極寒の



      第2話・話の続きを湯上りに~麗しすぎる二人のひと時~



 湯船から上がって、自分もバスローブを羽織ったインスは、アインの髪を包んでいたタオルを外し、丁寧に水分を拭き取っていく。



 三歳児程度の体格しかない、けれどもその理解力の高さから都合、五歳とされる少年は、皇都で記憶を失い、違法で人身売買を生業としている者の元から逃れてきた迷い児。



 保護されてからもうじき半年ほどか……



 その間に様々なことがあって左目を失明し、インスとは呪いで繋がれてしまい、この無謀極まりない極秘討伐隊の一員として同行させられている。



 インスは皇宮呪師(こうぐうじゅし)


 対して、アインは神官呪師(しんかんじゅし)見習い、という形で神殿側に保護されている。


 それなのに、この二人がこれほどまでに親し気に……むしろ、危ういほどに依存しあうことになったのも、この極秘討伐隊の出発を強行した皇孫皇女に原因があった。



 呪師というのは、人間では唯一魔法の使い方を知っている者。


 けれど、その力を悪用し、大戦を引き起こした女呪師の逸話から、国家によって、管理・監視されることで生存を許される存在。



 呪師学校の入学許可年齢は十三歳の誕生日を迎えていること。



 それなのに、なぜまだ幼いアインが呪師見習いとされているかと言えば、アインが魔力を魔力のままで操ることのできる「見者けんじゃ」の才を持っていたから。



 見者は、通常は目には見えない魔力や精神体といったものを視認する能力を持つ。


 その力の源である魔力の結晶を奪われてしまった結果がアインの左目の失明で。



 奪って行ったのは五年前に皇宮を襲撃し、女神の巫女である皇孫皇女を亡き者にしようとした純魔族。



 しかし、その時は、皇女の年子の弟である皇子殿下に呪いをかけただけで撤退し、以降、時を止めたように眠り続ける皇子を救うために皇女は神殿奥に隠されていた神剣の封印を解いた。



 その結果、身を潜めていた魔族の暗躍が始まり、皇子は目を覚ましたものの失明したまま。



 原因は、アインと同じく見者の力の源である魔力の結晶を奪われていたから。



 この極秘討伐隊は、その魔力の結晶……瞳の宝石と呼ばれるそれを取り戻さんと願う皇孫皇女の我儘で結成されたものだった。



「……うん。大体拭き取れましたかね……」


「……えっと……ありがとうございます……」



 まだ完全に乾いたわけではないが、雫が滴るほどでもない、という状態まで拭き取ったインスが微笑めば、ちょっと照れたようにアインも礼を口にする。



「はい。どういたしまして」



 ふわりと微笑んだインスは、アインを抱いて浴室を出た。



 待っていた客室付きの女性従業員が手伝いのために手を差し出す。


 けれどインスは緩く首を横に振ると、アインを抱いたままゆったりとした椅子に腰を下ろした。



「私の方だけ、お願いできますか? この子は私が……」


「畏まりました」



 インスの言葉に頷いて、従業員はインスの手が届く位置に、湯上りに必要になる道具を一揃え、並べて置く。



「えっと……自分で、ちゃんと……」


「そうですね……君は、しっかりしているから、自分でちゃんとできるでしょうけれど、私にやらせてくださいね」



 戸惑うアインがオロオロと、両手を半端に上げたり下げたりするのに微笑みかけて、インスは極上の笑顔で言い切る。



「……は、はい……」



 ちょっと照れたように俯くアインにますますとろけるように微笑んで、インスは真新しいタオルを取り出して丁寧にアインの髪を拭く。



 膝の上に抱いたアインの髪を丁寧に乾かして、乾燥を防ぐためのケア用品を毛先に塗りこみ、ゆっくりと梳った。



 そうやって、アインの手入れをするインスの髪は客室付きの女性従業員が丁寧に、ゆっくりと手入れをしていく。



 細身の肢体と女性的で優美な風貌を持つインスは、これでもれっきとした男性。


 ただ、この湯上りの、白い肌を桜色に染めた姿を見て、男だということに一体どれだけの人間が気が付くのか……



 ましてや、まだ幼いアインは、どこからどう見ても「神が丹精を込めて創り上げた。」と言われても納得の美少女ぶり。



 インスの瞳も湯上りの熱を孕んで潤み、いとおし気に見つめながらアインの髪や素肌の手入れをしていく。



「……どちらにしろ、国を滅ぼしたのはその王太子殿下ですね。エスパルダとペルモリでは、教義の許容範囲も、文化も、慣習も大きく違っていました……」



 続きを話し始めたインスもアインも、実は宿の者たちからは女性と思われているのだが、幸か不幸か確かめられたわけではないので、二人とも一切気づいていない。



「……えっと、それじゃあ、どうして、顔合わせをされたのですか……?」


「両国の為政者はそれをきちんと理解していましたから、仮に大公令嬢が嫁すとしたら、という条件をきちんと詰めていたのですよ……」



 そこまで違うなら、そもそも女神の巫女である大公令嬢が隣国の王室に嫁ぐのは無理だったのでは? というアインの疑問に、インスは困ったように微笑んで話をまとめる。



 当然、国力差は明白。


 なので、ペルモリ王国側が大幅にエスパルダ側に歩み寄る形で調整を進めていた。


 そういった、国王たちの苦労のすべてを水泡に帰したのがリーサン王太子だ。



「……ああ……」



 物凄く納得して、アインもちょっと遠い目をして頷いた。

第2話をお読みいただきありがとうございます。


湯上がりに身体を温めた二人の、とても麗しくて穏やかな手入れの時間。


自分でできると戸惑いながらも、インスにお世話されて照れてしまうアイン。


そして、アインを膝の上に乗せてこの上なく愛おしそうに手入れをするインス。


そんな極上の癒やしタイムに語られるのは、ペルモリ王国が滅びた本当の原因。


国同士の文化の違いを乗り越えるために為政者たちが重ねた血の滲むような努力と、それを一瞬で水泡に帰した王太子のあり得ない暴走。


歴史書には美談として記されている出来事の裏に、どれほどの悪意とすれ違いが隠されていたのかが紐解かれます。


聞いたアインが、その身勝手な暴挙に思わず遠い目をして深く納得してしまう姿がなんとも愛らしいですね。


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「湯上りインスの色っぽさWW」「遠い目をするアインの理解力WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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