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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第3章 要衝都市に隠された

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第7話・午後の都市で訪れる~用事を済ませて訪問し~

第3章 要衝都市に隠された



      第7話・午後の都市で訪れる~用事を済ませて訪問し~



 事前の予定通り、インスとアインは早めに昼食を済ませて警備隊の詰め所へと赴く。



 もちろん、クロードとステールもそれぞれの護衛官として同行しているが、リオンはファンと一緒にジャンヌの見張(おも)りとして宿に残った。



 一通り説明し終わって、詰め所を出たところで、宿の主人らにも同意を取って、午後早くに退勤してきたセージと合流する。



「お待たせしてしまいましたか?」


「いえ……。あの、ありがとうございます……」


「……はい……?」



 お互いに挨拶を交わしたところで、急に礼を言われて、インスは首を傾げた。



「……オーナーにも、話を通して下さったでしょう? それと、ご同行者のご令嬢方も、宿でお待ちいただけるように手配して下さったご様子ですから……」


「……ああ……」



 少し困ったように、けれどもホッとした様子で説明するセージに、インスはふわりと微笑んで頷く。



「私どもの同行者の我儘にお付き合いいただくのですから、お仕事や評価に支障が出るような真似はできません。それに……あの方々に来られても、私たちも困りますので……」


「……それでも、ありがとうございます……」



 何でもない口調で応えたインスに、もう一度礼を告げて、セージは一同を案内する形で歩き出した。



 ブルンは聖皇国建国期に近い、古い時代から存在する都市。



 元々の首都であったアンヴァと似たような造りになっていて、街中に水路が張り巡らされ、各所に人工的な池を有する公園が設置されている。


 また、四方に位置する商店街、職人街、宿屋街、住宅街と、中央の官僚街には噴水まで存在していた。



 商店街や職人街、宿屋街にも住民が住まう民家は存在しているが、セージの家もリリーの家も、元は領主であった子爵家とそこに仕えている家臣であったため、中央の官僚街から住宅街へと転居している。



 アンヴァがそうであったように、半ば無秩序に建て増しされていた都市は、直轄領化された後に整備も進められ、新築の家々は規則正しく建ち並ぶようになった。



 しかし、当然そういった新しい住居は家賃も高くなる。


 だからフィール家が借りている民家は、まだ区画整備が終わっていない、雑多に建ち並ぶ中でも特に古い一戸建ての住居。


 元々貴族家に仕えていた、という背景から、リリーだけではなく、その両親も大手の商家や宿屋で従業員として働いている。



 特に、読み書き計算だけではなく、貴族に接する際の礼儀作法まで身に着けている両親はその指導員としての仕事も行っており、決して収入が少ないわけではない。



 それでも、五年にも亘る投薬と自宅療養を続けるカミルの薬代は家計を圧迫していた。



「……いらっしゃいませ……」



 セージに連れられて訪問したインスたちを、表面上は落ち着いて、リリーとその両親が迎え入れる。



「この度は、私どもの同行者の我儘で大変なご迷惑をおかけいたします」


「「「「……っ……!?」」」」



 丁寧に挨拶を返し、そのまま頭を下げたインスにセージも含め、フィール家の全員が驚いて絶句する。



「……か、顔を上げてください……っ!! そのような……!」


「いえ……間違いなく、私どもの同行者の我儘に過ぎません……ご迷惑をおかけしているのですから、謝罪するのは人として当然のことでしょう?」



 慌てて、リリーの父親である中年の男、ロブが言えば、素直に頭を上げつつも、インスはふわりと微笑む。



「「「………………」」」


「……………っ」



 唖然としてリリーたちがセージを見れば、セージもまた大きく目を見開いてインスを見つめた。



(((……昨日聞いた話と違う……)))


(……インスさんは、本当にできた方だな……)



 昨夜、仕事終わりにフィール家に立ち寄ったセージから、職場である宿に滞在中の貴族のご令嬢が明日押しかけてくる……と聞いていたリリーたちは、話から想像していた状況との乖離に混乱する。



 同様に、どうしてあのご令嬢方の同行者がこんなにできた人なのかと、セージもまた少し混乱していた。



「……セージさんから、昨日の件は伺っていらっしゃるようですね……その方々に押しかけさせては、皆様のご心労は計り知れないと愚考しまして、同行をご遠慮いただきました」


「「「……ああ……」」」



 様子から、リリーたちの強張りと混乱の理由を察したインスが説明すれば、彼らの肩や表情からホッと力が抜ける。



「……それは、ご配慮いただきまして、ありがとうございます……」


「いえ……私たちにしても、あの方々についてこられては面倒だというだけですので……」



 改めて、ロブが礼を口にし、夫人であるネモナとリリーも頭を下げた。


 それに対して、インスは少し、悪戯を囁くような調子で返す。



 そこで漸く、彼らの間にも自然な笑顔が浮かんだ。




 親子四人で暮らす古い民家には、応接室などという上等な部屋はない。


 なので、居間と食堂を兼用する一室で、インスがアインを膝に抱いて席に着き、向かいにロブとネモナが座る。


 二人の後ろにセージとリリーが並んで立って、インスの後ろにはステールが無言で控える。


 ちなみに、クロードは家の外で待機となった。



 ……巨漢の護衛官を二人も入れるのは……流石に圧迫感が半端ないことになってしまう。


 かといって、二人ともがインスとアインから目を離すわけにもいかないので、クロードよりはごく僅かに小柄なステールが中まで付いてきた形だ。



 まあ、そうは言っても、二人とも見上げるほどの巨体で、厚みもあるため、大差はないともいえた。

第7話をお読みいただきありがとうございます。


用事を済ませ、セージの案内でカミルの待つフィール家を訪れたインスとアイン。


宿の皇女たちの無礼な暴走を「同行者の我儘」と認め、平民相手にも関わらず丁寧に深く頭を下げて謝罪するインス。


その姿に、フィール家一同は事前に聞いていた話とのあまりのギャップに驚き、混乱!


巨漢のステールが背後に控える緊張感の中、いよいよアインを膝に抱いたインスが、病床の少年カミルとの対面に向けた話し合いを始めます。


カミルは本当に、ただの重い病を患っているだけなのか……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「サラっと有能WW」「絶望の訪問WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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