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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第2章 要衝都市の光と影

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第10話・怪我の治療と揉み解し~宿にて生まれる誤解の極致~

第2章 要衝都市の光と影



     第10話・怪我の治療と揉み解し~宿にて生まれる誤解の極致~



 神殿に適温袋の魔力補充を頼みに行って、帰りがけに休憩用の茶葉と菓子を買いに商店街に寄ったら、インスとアインが現地の男に絡まれた。



「アイン君。怪我は大丈夫ですか?」


「はい……ちょっと擦りむいただけです」



 戻って来た宿の部屋で、インスは甲斐甲斐しくアインの怪我の様子を確かめる。



 そして、その小さな膝と掌にできてしまった擦り傷と、男に無遠慮に、力任せに掴まれて痣になってしまっている足とに大げさなくらい丁寧に治療を施していく。



 まずは清潔な水で傷口を洗い、消毒をして、傷薬となる薬草を練り込んだ軟膏を塗って、膝には丁寧に包帯を巻く。


 男の手の形になっている痣の部分も、痛みや炎症を抑える薬を塗り、包帯を巻いて……と、一体どんな重傷だ、と思うほどには大げさ。



「インス様こそ……えっと……」


「? どうしました?」



 丁寧に治療してくれているのは分かるのだけれど、インスの指先というか全身が微かに震えていて、顔色も悪い。


 少し腕を伸ばすとちょっと顔を顰めていて……



「……? アイン君?」


「……いんすさま、むり、しないでください……」



 きゅっと、インスの服の袖を掴んだアインが、泣きそうになって言う。



「そうだぞ。この虚弱」


「「……っ……!?」」



 言いながら、ステールがインスの身体を掴み、ベッドの上に投げ出す。



「ちょ……!? ステールさん!?」



 いきなり何をするのかと、抗議するインスにやかましい、と返して、上衣を脱がせ、中衣だけの状態にする。


 ついでに靴も脱がしてしまう。



「……ぇ……? は……??」


「よし、クロード、足の方頼む」


「ん……分かった」


「クロード? ステール様??」



 混乱するインスとアインを置き去りに、護衛官の二人はインスの身体を押さえつけた。



「ちょ……! ま……っ!! い、痛いですっ!!」


「やかましい。無理しやがって……身体がガッタガタじゃないか。今のうちに解しておかないと、後でひどい目にあうぞ?」


「え? え?」



 そして始まったのは全身のもみほぐし。


 クロードが足から、ステールは背中側から力いっぱいしっかりと筋肉を解していく。



「ぁっ……ちょっ、止め……痛っ!!」


「うるさい力抜け。余計な力入れてるから痛いんだろうが!」


「……っ!!??」



 悲鳴を上げて逃げにかかる体を押さえ込み、ぎゅっぎゅと大きな手で揉む。



「ちょっ、ま……、二人同時はやめ……っ! む、りぃ……っ!」


「よし、クロード! もっと押し込め!」


「……ん……」


「ちょっ……! クロードさ……っ! 入れすぎです! 痛い痛い痛いっ!」



 足のツボをぐりぐりと遠慮なく押し込むクロードに文句を付けるが、むしろもっとやれ、とステールに言われて、更にしっかりと押していく。



「お前が大人しくしてないからだろうが……! 逃げるな!」


「ク……クロード! ステール様! や……やめてくださいっ!」



 いきなり始まったそれに混乱していたアインが、ハッとしてステールの腕にしがみついて止めようとする。



「早く楽にしてやるにはコレが一番なんだよ……そうだ、お前も一緒にやってやる」


「「……え……っ!?」」



 説明しながらも手を止めないステールがふと思いついてアインもひょいとベッドに上げた。



「えっ!? あ……。え?」


「ちょっ! やめて下さい……!」


「うるさいな……! ついでだろうが!」



 混乱する間に、アインの頭を大きな手で包んでステールが軽く揉み始め、インスが後で自分が……と文句を付ける。



「ぁ……っ」


「ああ……っ!」



 程よく加減されたヘッドマッサージに、アインが小さく吐息を零すと、涙目になってインスはステールを睨む。



「……私がやってあげたいのに……っ」


「お前はやられる方だろうが……よし、クロード、次だ」


「ん、わかった……」



 もごもごと恨みがましそうに文句を付けたインスに呆れながら、ステールは次の指示を出し、頷いたクロードと二人でインスの体勢を変える。



「えっ? まっ、そんな体勢っ! キツ……! ちょっ! ああっ!」


「こっちも解して……」


「やっ! 痛いですっ!」



 腕や肩、背中の辺りも目いっぱい伸ばしてやれば、またしてもインスは悲鳴じみた声で抗議する。



「だから、力抜けって!」


「あ〜っ! やぁ、やめ……! そ……っ! だ、めぇっ! こわれちゃぅ~っ!!」


「壊れないっつうの……」


「……ん……」



 クロードもインスの足の方を伸ばして、曲げて、揉んで、と解して行けば、上と下で別の痛みが同時に襲ってきてひたすらに暴れた。



「や……っ! も……むりぃ~。やめてく……んん~っ!!」


「大丈夫だって……気持ちよくなって来ただろ?」


「や……ぃ、ったい、です……っ!!」



 結局、ステールのヘッドマッサージでアインはすぐに眠ってしまい。


 全身のもみ解しが終わるまでずっとインスは抗議し続け、すっかり疲れ果てて、ゼイゼイと息を喘がせる破目になった。



 さらに、このやり取りが隣室や廊下に漏れ聞こえてしまっていた結果。


 とんでもない誤解が蔓延することになったのだが……幸か不幸か、彼らの耳に噂が届くことはなかった。




 なかったが……



「おい。ステール。なんか、インスの声が煩かったみたいだぞ? 隣の部屋の客とかからクレームがあったみたいだ」


「やっぱりか……黙ってされてりゃいいのに……仕方ない。次からは口の中に布でも突っ込んで黙らせるか……」



 宿の従業員から困ったように「お声が……。」と言われたリオンがそう伝えれば、ステールはちょっと舌打ちしてそう呟く。



 そして、それをまたたまたま聞いてしまった者がいて……



(((((……護衛じゃないのかよ!? どんだけあの未亡人様を酷い目にあわせる気なんだ……??)))))



 更なる噂がひそやかに広まっていたことも……彼らは知らない。

第10話をお読みいただきありがとうございます。


宿に戻り、アインの怪我を手厚く丁寧に治療するインス。


しかし、トラブルの連続で満身創痍のインス自身を見かねたステールとクロードにより、ベッドの上での全身揉み解しが始まります。


ステールたちからすれば極限の手加減で、インスからすれば逃れようのないバカ力で。


容赦なく解されていく激痛に、部屋中に響き渡るインスの悲鳴じみた絶叫。


さらに、その声に困惑する宿側への対策として、ステールが呟いたあまりにも物騒すぎる解決策。


誰にも真相が届かぬまま、誤解はさらに深まっていき……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「いや、どんな大怪我よWW」「インス……それはダメ~WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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