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皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第2章 要衝都市の光と影

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第7話・皇宮呪師の体捌き~物騒すぎる思考を隠して~

第2章 要衝都市の光と影



       第7話・皇宮呪師の体捌き~物騒すぎる思考を隠して~



 呪師は全員、十五歳の誕生日を迎えたのち、実地訓練への参加で一度は必ず己の手で生き物の命を奪う。



 それは何も皇宮呪師だけではなく、神官呪師も同じ。


 ただ、皇宮呪師とは違い、神官呪師は専攻次第では強力な攻撃魔法などを使うことはないので、討伐訓練のやり方は大きく違っていた。



 そして、同じことは騎士団に所属する見習いたちも、更には民間で狩猟を行う狩人たちも、同様の通過儀礼とでもいうべきものが行われる。



 どの場合も、この国で成人と認められる『十五歳』の誕生日を迎えているのが絶対条件。


 更に呪師の場合、最初のひとつは()()()殺すことを禁じられている。



 だから当然、インスも魔法を使わない戦闘が全くできないわけではなく……



「こいつ!!」



 絡んできた十人近い男たちが次々に襲い掛かってくるのを、関節を極めたり、急所に当てたりしてひたすら振り払っていた。



 けれど……



(……っ! ……諦めが悪いですねっ!!)



 人数が多いせいか、三人ほどを沈めても一向に引く様子がない。


 激しい動きで外套と一体化しているフードは完全に外れ、上から押さえるようにして巻いていたストールも解けて雪路に落ちている。



 背に庇うアインには手を出されないように注意しているが、流石に息が切れてきた。



 それこそ、殺すだけならもっと簡単なのだ。


 急所を一突きでだいたい終わるのだから、十人どころか二十人に満たないなら、今の体調でも充分に体力も持つ。



 けれど、目的は分からないが声をかけて来ただけの……迷惑ではあるが明確に何らかの損害を受けているわけでもないので、むやみに殺してしまう事もできない。



 せめてもう少し、体調がよければ生かして制圧しきることも可能だろうが、このまま相手が諦めないとなると……



(……ステールさんたちが戻ってくるまで、持ちますかね……?)



 できれば自力で追い払いたいが、難しそうだ。



 ……と。



「わっ!?」


「っ!? アイン君っ!?」



 ほんの一瞬、意識が逸れた隙に、先に沈めたはずの男が一人、いつの間にか地面を這いずってアインの傍まで寄ってしまっていた。


 驚いたような声が上がって、ハッとして見れば男がアインの細い脚を掴み、そのまま俯せに引き倒す。


「ぃた……っ!?」


 力いっぱい掴まれ、引き倒されたアインが悲鳴を上げる。


 咄嗟に両手を冷たい雪の上に着いたおかげで顔から激突は免れるが、ずるりと地面を引き摺られ、背中を乱暴に押さえ込まれてしまった。


 首元や袖口から雪が入り込んでその冷たさに驚く。



 そして、ハッと、インスの意識がそちらに行った瞬間、男たちが容赦なく掴みかかる。



「……っ!?」



 しまった、と思った時には、アインと同じように踏み荒らされて泥混じりとなった雪の地面に倒されて、両手と両足をそれぞれ別の男に押さえつけられてしまう。


 背中側から一瞬にして全身の体温を奪うような冷気に襲われ、その冷たさに身を震わせる。


 項や襟元から入り込む泥まみれの雪が素肌に触れて、ゾクリと身体が凍った。



「……っ。はな……っ。んぐ……!!??」



 振り払おうと暴れるが、別の一人が何かの小瓶を無遠慮に口の中に突っ込み、中身を無理やり流し込まれる。



 何だか分からないものを、けれども条件反射で飲み込んでしまい、驚いて目を見開く。



「っ!!?? インス様っ!!」



 その様子を、自分も地面に押さえつけられてしまっているアインが目にして悲鳴を上げた。



「……ぅっ……。けほ……っ。な……にを……っ」



 涙目になって噎せながら、それでも抵抗を続けるインスに、男たちが一瞬、微妙な表情を浮かべる。



「……おい。即効性があるんじゃなかったのか……?」


「そう聞いてるぜ? この間飲ませた奴はすぐだったし……」


「……あ、そういやあ、たまに耐性が強くて、効きが悪い奴もいるって聞いたことが……」


「はあ!? おいおい。意味ないじゃないか!?」


「いや、その場合、効いてきたらすごいらしいぞ?」


「「「………へぇ………」」」



 必死に抵抗するインスを押さえつけたまま、何やらやり取りする男たちの視線が一斉に集まった。



「……っ……!?」



 その、何ともいえない、厭な視線にゾワリと悪寒が走る。



「っ。いい加減に……っ!! ……ぐ……っ!?」



 更に抵抗を強めたインスを黙らせるように、一人が馬乗りになって首元を押さえつけてきた。



「……? ……ぇ……?」



 その一人が、軽く目を見張ってインスを見下ろす。



 手の下に、何か、違和感を感じる。



「? どうした?」


「……ぁ、いや……その……」



 自分の手の感触が信じられなくて、困惑を隠さないその男に、別の一人が声をかけた。



「……っぁ……。かは……っ」



 確認するように手を動かされて、インスが苦しげに噎せる。



「何をしている!!」


「「「「「………っ………!!??」」」」」



 直後、怒声と同時に数人が払いのけられ、建物や地面に叩きつけられた。

第7話をお読みいただきありがとうございます。


意外に? 高い格闘技術と戦闘の心得を持つインス。


アインを守るため、大勢の男たちを相手に息詰まる肉弾戦を繰り広げます。


しかし、アインへの危機によって一瞬の隙が生じ、ついに地面へ組み伏せられてしまいました。


無理やり口へと流し込まれた、怪しげな小瓶の液体。


そして、暴れるインスを黙らせようと馬乗りになって首元を押さえた男が、その手の感触に覚えた「奇妙な違和感」。


絶体絶命の危機の最中、路地裏を激しく震わせるように響き渡った怒声の主は――?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「『しつこい!』『当然!』WW」「『ナニをしている!?』WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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