↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
皇宮呪師は護りたい!⑪聖皇国列伝秘聞~盤上《たびじ》で踏割《おど》る薄氷の檻枷《えにし》~  作者: norito&mikoto
第2章 要衝都市の光と影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/17

第3話・護符の在庫の掘り出し物と~お布施の価値に魂飛ばす~

第2章 要衝都市の光と影



     第3話・護符の在庫の掘り出し物と~お布施の価値に魂飛ばす~



 神殿に今ある護符の在庫を全部見せて欲しい……といきなりインスが言い出した時点で困惑していたステールは、実際に持って来られた護符を前に、いきなり仕分けを始め、何やらダメ出しまでし始めたインスの行動が全く理解できない。



 護符が欲しかったんじゃないのか?



 とも思うが、それならそれで素直に必要個数を伝えればいいだけだ。



「……何って、購入する(譲って頂く)護符を選んでいるだけですが……?」



 何を当たり前のことを……とインスは返すが、その答えにステールだけではなく、神官呪師も神官も絶句する。



「……は……? え? なら、何で全部見てダメ出ししてるんだ?」


「品質の良いものを頂くためです。いわゆる、掘り出し物を探すため、ですね……と、言うことで、こちらの三つをお願いします」



 一番最初に立ち直ったのは、流石に付き合いが長いステール。


 それにあっさりと答えて、インスは最後に残ったグループを指し示した。



「……ぇ……? は……? ……あ、はい……?」



 唖然とした神官呪師が混乱しつつも頷き、インスが指し示した三つに目をやる。



「……っ!!??」



 そして、ギョッとした。



(えっ!? こんな高品質の護符が混ざっていたのですか!?)



 先ほどインスが、万が一のために神殿に残しておいた方がよい、と告げた物より高品質で……



(……? いえ……これは、()()()()の方や一般の方が持っていてもあまり意味は……)



 けれど、すぐに気づく。



 品質は確かに上。


 けれど、あまりにも使()()()()()ものである、と。



「……こちらは、その……」


「大丈夫ですよ……()()を込めるのは私ではありませんから」



 そのことに気づいていないのか? と思って言葉を濁した神官呪師に、ふわりと華が咲くような笑みを浮かべたインスは、懐から取り出した小ぶりの袋をスッと差し出す。



「こちらが代金(おふせ)です」


「「「…………………」」」



 何とも言えない顔で沈黙したステールと、ごくりと一瞬息を飲んだ神官呪師と神官が、テーブルに置かれた袋を凝視する。



「……拝見いたします……」



 ややあって、恐る恐る神官呪師がそれを手に取り、そっと、中を覗き見た。



「……っ!!?? ちょっ!? こ……っ!!!!!?????」



 途端、顔を青ざめさせて慌てる神官呪師に対して、インスは()()()()()笑みで小さく首を傾げる。



「……不足がありましたか……?」


「っ!!!!!!!!??????」



 さも当たり前に言われ、半ば魂を飛ばしかけながら神官呪師は激しく首を横に振った。



「では、適温袋への魔力の補充と合わせて、()()()でお願いしますね?」


「かっ! かしこまりましたっ!!」



 にこりと笑ったインスに、声をひっくり返して頷いた神官呪師は、仕分けされた護符を神官に纏めさせると即座に奥殿へと走る。



(……と、とんでもない方がいらしていた……っ! すぐに、大神官様にお伝えしないと……っ!!)



 各地の主要な神殿の総括は、大神官位にある神官が行っている。


 受付を担当するような、一介の神官や神官呪師らと違い、大神官は主神殿でしっかりとした修行を行い、神官長や、他の大神官らからの推薦の後、教皇によって指名された者だけが就くことのできる要職。



 当然、神官呪師とは限らないのだが、ここブルンは()()()なので、神官呪師である神官が大神官として采配を振るっている。



 まさか、皇宮呪師と思しき訪問者が()()()()()を持っているとは思わなくて、うっかり自分が相手をしてしまったが、とんでもない。



(……最初から仰って下されば大神官様をお呼びしたのに……っ!!)



 半ば愚痴ってしまうのは、インスが差し出した袋の中身のせい。



 神殿で販売されている各種の物品などは、すべて『販売している』のではなく、ただ『取り扱っている』だけ、という立て付け。



 よって、何かを欲した場合、代金の『支払いを行う』とは言わず、お布施や寄付をする、と表現する。



 まあ、やっていることは普通に物やサービスの販売で、その代金の支払いでしかないのだが、言い方というのは結構重要だ。



 つまり、明確な代金設定、と言うものはあってないようなものだということ。



 だから多くの場合、お客(しんじゃ)()()した金額ものに合わせて提供することになるのは当然。



 そのために、本来なら護符などの汎用品はしっかりと品質別に仕分けされていて然るべきである。



 なのに、なぜブルンの神殿でそれが徹底できていなかったかと言えば……



 ()()殿()()()毎月のように送られてくる護符の数が膨大なせい。



 なぜそうなるかと言えば、毎日のように作られているからで、しかも……



「……は? 見習い呪師の練習で作られたもの……?」



 神官呪師も神官もいなくなった応接室で、なぜ掘り出し物探しなどしていたのか? と問いかけたステールは、インスの答えに思わず大きな声を出した。

第3話をお読みいただきありがとうございます。


インスが始めた、神殿の護符に対する容赦ない「仕分け」と「ダメだし」。


その中から見出された、高品質ながらも使いにくい、とある「掘り出し物」。


お布施として差し出された小袋を覗き込み、魂を飛ばしかけて泡を吹く受付の神官呪師。


適温袋への魔力の補充のはずが、ブルン神殿に、かつてない特大の衝撃がもたらされます。


なぜ神殿にはこれほど大量の、品質がバラバラな護符があるのか?


そこに隠された驚きの真実。


その真相とは?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インスが渡したお布施って!?」「見習いが作った護符(練習品)って……WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。