元帥(マレシャン)
連載2年目初めての投稿になります、これからも宜しくお願いしますm(__)m
仕官の為に訪れた大陸軍の陣営で未来の帝国元帥ルイ・ガブリエル・スーシェ中将と出会ったあたしはウルム周辺の集結地にて待機している部隊の事を説明し、穏やかな表情でそれを聞いていたスーシェ中将はあたしの説明が終わるとゆっくりと頷いた後に穏やかな表情で口を開いた。
「……ヴァイスラント槍騎兵中隊に臨時編成された猟騎兵中隊と騎乗魔砲兵中隊か、宝積寺君、君が率いる部隊は中々興味深い部隊だな、それに南ドイッチュラントに侵攻して来るであろうオストラント軍の後方攪乱と言う目的も大いに興味深い」
スーシェ中将の言葉を受けたあたしは微笑しながら頷き、スーシェ中将は同じ様に微笑して頷いた後に言葉を進めた。
「興味深い話に加えて率いる部隊も精鋭の様だ、恐らく君の仕官希望は問題なく受理されるだろう」
「ありがとうございます、閣下」
スーシェ中将の言葉を受けたあたしはスムーズな会見に内心安堵しながら御礼を言い、スーシェ中将は鷹揚に頷いた後に微笑しながら言葉を重ねた。
「宝積寺君、君の話は大変に興味深い、君さえよければ軍団長と面談出来る様に口添えしても構わんがどうかね?」
(確かスーシェ師団はウルム戦の途中から第5軍団に配属される予定で現時点での所属軍団は第4軍団の筈、だとしたら軍団長というのは後のダルマツィア公爵、ニコラ・ジャン・ド・デュー・スルト元帥)
スーシェ中将の言葉を受けたあたしは脳裏で現在スーシェ師団が所属している筈の軍団とその軍団の長であるスルト元帥の事を呟きながら思案を始めた、後の戦役では結構いろんな事(いきなり王を自称する等)をやらかしてしまうスルト元帥だけどこの戦役では傑出した働きを見せる為、若干の不安を覚えつつもあたしはスーシェ中将の言葉をありがたく受け入れる事にして口を開いた。
「ありがとうございます、スーシェ閣下、若輩の身ではありますがこの機会を最大限利用させて頂きます、口添え、宜しくお願い致します」
あたしの言葉を受けたスーシェ中将は満足気に頷くと微笑を浮かべながら言葉を続けた。
「本来私の師団が所属している軍団の軍団長はスルト元帥なのだから本来はスルト元帥に紹介するのが筋なのだがね、君の様な女性士官なら隣接している第5軍団の軍団長の方が話し易いだろうからそちらの方に口添えしてみようと思っているんだよ」
「それは、ありがとうございますスーシェ閣下」
スーシェ中将の告げた言葉は良い意味であたしの予想を裏切り、あたしは安堵の思いを感じながらスーシェ中将に感謝の意を告げた。
「キュイラシェ」の特徴とも言える女性化された高級指揮官、ガリア帝国にはアイギスが仕えているポニャトフスキー王女の他に先程スーシェ中将が告げた第5軍団の軍団長も女性化されている。
皇帝が最も信頼した最優秀元帥の一人がモチーフキャラとなっている彼女はガリア帝国唯一(まだポニャトフスキー王女はガリア帝国に加わっていない上に王女の元帥就任は王女の参戦から更に年を経る必要がある)女性元帥としてガリア帝国軍に彩を添えていて、あたしがスーシェ中将に続いての得難い人物との面談の可能性に感慨を抱きながらスーシェ中将に一礼すると、スーシェ中将は笑顔で頷いた後にゆっくりと席を立ちつつ言葉を続けた。
「それでは第5軍団の司令部に案内しよう、ついて来たまえ」
「はい、分かりました」
スーシェ中将の言葉を受けたあたしはそう言いながら立ち上がり、それを確認したスコルとアイギスもあたしに続いて立ち上がった。
第5軍団司令部
擲弾兵大隊の本部を出たあたし達はスーシェ中将に案内されて第5軍団司令部が置かれている陣営に到着し、スーシェ中将の口添えによって軍団長との面談が決定した為にスーシェ中将と共に軍団司令部の応接室にてその時を待っていた。
あたしは軍団長の到着を待ちながら自分の服装を整え、それに気付いたスーシェ中将は大きく頷きながら口を開いた。
「ふむ、中々良いぞ宝積寺君、軍団長は士官の身嗜みに注目している女だからな、君達なら気に入ると思うがその様な行動は更に情況を好転させるだろう」
(やっぱり、そう言う点はモチーフの人と同じなんだな)
スーシェ中将の言葉を受けたあたしがそんな事を思いながら頷いていると軍団長の部屋のドアが開かれ、それを確認したあたし達が弾かれた様に立ち上がって気を付けの体勢を取っていると元帥服を身に纏った美女が姿を現した。
セミロングの艶やかなブラウンの髪にブルーの瞳の活発そうな雰囲気の美貌に軍服に包まれたスラリとした均整の取れた肢体が魅力的な美女はあたし達をみながら穏やかな微笑を浮かべ、スーシェ中将はそれを確認した後に微笑みながらあたしに声をかけてきた。
「宝積寺君、この方が第5軍団長のジャンヌ・ランヌ元帥だよ」
「お初に御目にかかります元帥閣下仕官希望者の宝積寺裕香と申します、随行しているのは、スコルとアイギス・アウステルリッツです」
スーシェ中将の紹介の言葉を受けたあたしはそう言うとスコルとアイギスと共に敬礼し、美女、皇帝が最も信頼した最優秀元帥の一人モンテベッロ公爵ジャン・ランヌ元帥がモチーフキャラの女性元帥、ジャンヌ・ランヌ元帥は流れる様な動作で答礼し、その後に穏やかに微笑いながら口を開いた。
「貴女達が仕官希望者ね、スーシェ中将が既に紹介してくれたけど、私が軍団長のランヌよ、座って楽にしなさい」
そう言いながらランヌ元帥が腰かけたのを確認したあたし達はその言葉に従って腰を降ろし、それを確認したランヌ元帥は従兵に飲物を持って来る様伝えた後にあたしを見詰めながら口を開いた。
「いいわね宝積寺くん、中々しっかりした身嗜みをしてるわ、指揮官たる者は部下と相対する時は花嫁と相対する様にしなければならないのだから身嗜みは大切よ」
華麗な軍装に身を包んだランヌ元帥は微笑みながら満足気に呟き、それを聞いたスコルが嬉しそうに笑いながらあたしに声をかけてきた。
「じゃああたしとアイギスは裕香のお嫁さんになるんだね」
「ちょっ、す、スコル、な、何言ってる!?」
スコルのあっけらかんとした口調の爆弾発言を受けたあたしは思わず脳裏に浮かんでしまったウエディングドレスを纏ったスコルとアイギス(白状してしまうとカミラやマリーカ、メルクリリスも)の姿を慌てて打ち消し、脳裏に浮かんだその姿に頬が熱くなってしまっているのを自覚しつつスコルに抗議の声をあげながらアイギスの様子を確認した。
「……わ、私が……裕香隊長の花嫁」
アイギスは頬を赤らめさせながら呟き、あたしが見ている事に気付くと仄かな桜色の顔を俯かせながら言葉を続けた。
「……ふ、不束者ですが、よ、宜しくお願いします」
「こ、こちらこって……ちょっ!?アイギス、お、落ち着いて、戻って来てえぇぇっ!」
混乱したアイギスの衝撃発言を受けたあたしは思わずそれを受け入れそうになってしまったけど途中でそれに気付いて、慌てて混乱するアイギスを正気に戻す為に声をかけ、そんな光景を見ていたランヌ元帥は笑いながら口を開いた。
「……ッフフ、中々面白いわね貴女達」
「……も、申し訳ありません元帥閣下」
ランヌ元帥の言葉を受けたあたしは慌てて謝罪の言葉を告げ、それを受けたランヌ元帥は楽しげな表情で頭を振りながら言葉を続けた。
「気にする必要は無いわよ宝積寺くん、それで貴女はどちらを選ぶのかしら?反応を見る限り満更でも無さそうな反応をしていたけど」
「……はい?げ、元帥閣下……そ、それは、その、な、何と言いますか」
ランヌ元帥の問いかけを受けたあたしは再び脳裏に浮かんだウエディングドレス姿のスコルとアイギス(+カミラ達)の映像に頬が熱くなるのを感じながらしどろもどろになってしまい、スーシェ中将は笑いを堪える為に向こうを向いて小さく肩を震わせていた。
こうしてあたし達がグダグダになってしまっていると従兵達が紅茶の入ったカップとビスケット(携行食用じゃないお菓子の方のビスケット)が盛られた皿を載せたトレイを手に到着するとあたし達の前にそれ等を並べてくれ、ランヌ元帥は仕事を終えた従兵達に労いの言葉を告げて退室させた後にあたし達に視線を向けた。
それまでの空気と異なるピンとはりつめた空気が周囲を包み込み、それを感じたあたし達が居住まいを正しながらランヌ元帥に視線を向けるとランヌ元帥は瞳に冷徹な輝きを宿してあたし達を見詰めながら口を開いた。
「宝積寺くん、貴女達が友人として信頼出来そうなのは解ったわ、だけど私は大陸軍の元帥で、貴女は我が軍への仕官を希望している傭兵隊長よ、だから今から大陸軍の元帥ジャンヌ・ランヌとして聞かせて貰うわ傭兵隊長、宝積寺裕香の話をね」
あたしを真っ直ぐに見詰めながら告げられるランヌ元帥の言葉には歴戦の勇者に相応しい威厳が伴っていて、あたしはその威厳に押し潰され無い様小さく深呼吸した後にランヌ元帥を真っ直ぐに見詰めながら口を開いた。
あたしはランヌ元帥をしっかりと見据えながらあたしの指揮する部隊の編成とその意図を説明し、ランヌ元帥は冷徹な眼差しであたしを見詰めながらその説明に耳を傾けていた。
ガリア帝国に仕官を臨むあたし達はスーシェ中将の計らいによって更なる高官との面談を果たした。
あたし達が面談を果たした高官、彼女は歴戦の勇士にて冷徹な戦略家でもあるガリア帝国の誇る元帥……




