木苺(フランボワーズ)
今回は短目となります、これからも本作を宜しくお願い致しますm(__)m
メルクリリス率いる魔砲兵隊の砦で一夜を過ごしたあたしとスコルは砦で朝食を御馳走になってからウルムに戻るマリーカと別れてお昼頃にカミラの小屋へと戻った。
「うーん、帰って来たなあ」
カミラの小屋に戻ったあたしはそう言いながら大きく身体を伸ばし、あたしの傍らにいたスコルはあたしの言葉を聞くと優しく笑いながら声をかけてくれた。
「フフフ、おかえり、裕香」
「うん、ありがとねスコル、ただいま」
スコルの笑顔と言葉を受けたあたしは頬に火照りが生じるのを感じつつ言葉を返し、それを聞いたスコルは笑顔で頷きながら言葉を重ねた。
「もうお昼だね、お昼御飯作るからちょっと待っててね、裕香」
スコルはそう言いながら竃の方へと向かい始め、それを確認したあたしはスコルの傍らに歩み寄りながら口を開いた。
「……あたしも手伝うよ、スコル」
「えー、大丈夫だよ、裕香はゆっくり休んでて」
あたしが声をかけるとスコルは笑いながら言葉を返し、それを受けたあたしは笑って頭を振りつつ更に言葉を重ねた。
「大丈夫だよスコル、あたしにも手伝わせてよ、スコルと一緒に御飯を作りたいんだよ」
「……うん、分かった、ありがとね裕香」
あたしの言葉を受けたスコルは嬉しそうに笑いながら言葉を返してくれ、あたしは笑顔で頷く事でその言葉に応じた。
それからあたしとスコルは並んで竃の所まで移動し、談笑しながベーコンとチーズのサンドイッチに茹でた馬鈴薯と言う簡単な昼食を作ってそれをテーブルに並べた。
食事を並べ終えたあたしとスコルは向かい合わせで椅子に座り、座ったスコルは朗らかな笑みと共に声をかけてきた。
「それじゃあ食べようよ、裕香」
「うん、そうだね」
スコルの言葉を受けたあたしは笑顔で応じながら茹でた馬鈴薯を盛った皿に手を伸ばして1つを自分の取り皿に載せ、砕いた岩塩をそれに軽く振りかけてからそれにかぶりついた。
「うん、おいしい」
あたしは岩塩の塩味に引き立てられた茹でたてでホクホクとした馬鈴薯の食感に満足しながら感想をもらし、それを聞いたスコルは嬉しそうに狼の耳を震わせながら頷くとベーコンのサンドイッチにかぶりついた。
「サンドイッチも美味しいよ、裕香、はい、あーん」
「う、うん、あーん」
サンドイッチを食べ終えたスコルは笑顔でそう言いながらベーコンのサンドイッチを1つ摘まむとあたしに向けて差し出し、あたしが自分の頬が仄かな熱を帯びるのを感じながら口を開けるとスコルは嬉しそうに狼の耳をピコピコと震わせながらあたしにベーコンのサンドイッチを食べさせてくれた。
そうしてあたしとスコルは時々互いに食べさせ合いながら昼食を摂り、それが終了すると食器類を洗ってから木の実を採取する為に森へと入って行った。
森に入ったスコルは機嫌良さそうに狼の尻尾と耳を動かしながら木の実や茸を取って行き、あたしは持ってきた籠にスコルが採取した木の実や茸を入れつつスコルの助言の下で木の実や茸を採取した。
暫くそうして木の実や茸を採取していると、持ってきた籠の中がそれらで満たされ、それを確認したスコルは嬉しそうに頷きながらあたしに声をかけてきた。
「だいぶ集まったね裕香、 ちょっと休憩してから帰ろうか?」
「うん、そうだね」
スコルの言葉を受けたあたしは笑顔で頷きながら賛成し、あたしとスコルは手近な所にあった大木の根本に並んで腰を降ろした。
「一杯取れたね」
「うん、そうだね」
スコルの嬉しそうな響きの言葉を受けたあたしがその言葉と穏やかな表情を噛み締めながら相槌を打つと、頷きながら籠に入っていた木苺を1つ手に取った。
「フフフ、ちょっと食べちゃおうよ、ほら、裕香、あーんして」
スコルは笑顔でそう言いながら手にした木苺をあたしに向けて差し出し、それを目にしたあたしが自分の心臓がやかましく高鳴り始めるのを感じながらゆっくりと口を開くと笑顔であたしを見詰めながら木苺を食べさせてくれた。
「……美味しい」
「フフフ、良かった」
あたしが口の中に拡がる木苺の爽やかな甘酸っぱい味を楽しみながら呟いているとスコルが嬉しそうに笑いながら口を開き、その言葉を受けたあたしは頬を仄かに火照らせながら言葉を続けた。
「……スコルも、食べてみて」
「……嬉しい、ありがとね、裕香」
あたしがそう言いながら木苺を1つ手に取るとスコルは狼の尻尾を嬉しそうに大きく振って答えた後に口を開けてくれて、それを確認したあたしはその綺麗な顔に見とれながらスコルに木苺を食べさせた。
「……うん、美味しい、ありがと、裕香」
木苺を食べたスコルはあどけない微笑みと共に御礼を言い、あたしが頷く事でそれに応じていると籠の木苺に手を伸ばしながら更に言葉を続けた。
「もう1つ食べさせたげるね」
スコルはそう言いながら籠へと手を伸ばし、それを目にしたあたしは同じ様に籠に手を伸ばしながら口を開いた。
「……今度は一緒に食べよう、スコル」
「……うん、喜んで」
あたしが頬を火照らせながら告げるとスコルは嬉しいそうに微笑いながら答え、それからあたし達は頷き合った後にお互いに木苺を食べさせ合った。
木苺を食べさせ合うあたしとスコルの指先に互いの唇が触れ合い、あたしはスコルの唇と指先の感触に頬を火照らせながらスコルが食べさせてくれた木苺をゆっくりと味わった。
食べさせ合った木苺はあっという間に咀嚼されてしまい、あたしとスコルはどちらからと無く頷き合うと再び籠に手を伸ばして木苺を手に取った。
そうしてあたしとスコルは互いを見詰め合いながら互いに木苺を食べさせ合い、あたしはスコルの唇と指先の感触に頭をクラクラさせながらスコルの食べさせてくれた木苺をゆっくりと味わっていた。
異世界の森の中、あたしは再び綺麗で可愛らしい狼さんとの食事を楽しんだ、今回あたしと彼女が食べさせ合ったのは木苺あたしと彼女はその爽やかな甘酸っぱさに酔いしれていた……




