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ジャングルの塔の踏破


「レオンが戦った方はおそらく『マピングアリ』だと思う。チャックの方は『テジュー・ジャグア』ってヤツかな」


私はサンパウリーナ王国軍エリザ・ロペス第四軍司令官から頂いた本を読みながら、そう話した。

レオンとチャールズは空間部屋に戻り、フローレンスの治療を受けた。

チャールズは時間魔法で時を戻されたので、実際に治療を受けたのはレオンだけだが。

その後、ゆっくりと湯船に浸かり、たっぷりと寝た後、今はダイニングテーブルで皆と一緒に食事を取っている。


話を聞きながら、私は『コンティスヨの森の神秘』という本をペラペラとめくっていた。

これまで見た動植物、チャールズとレオンが戦って倒した魔獣、それらの記載を読みながら話を聞いていた。


マピングアリ(Mapinguari)。

巨大な地上性ナマケモノと記載されている。

マピングアリは、非常に大きく、毛深い生物で、強烈な悪臭を放つ。

伝説によれば、こいつは主に四足で移動し、他の獣との戦闘時には二足歩行もできるそうだ。

口は腹部にあり、目は一つまたは二つ存在するという異なる描写もされている。

マピングアリは森の守護者とされ、森林を守るために人間の侵入者に対して復讐を行う存在であり、アマゾンの生態系を脅かす者に対して怒りを示すという。


テジュー・ジャグア(Teyú Yaguá)。

巨大なトカゲの体に、犬の頭を複数持つ怪物。

体は玉虫色に輝き、口からは火を噴く。

通常は洞窟に住み、地下に眠る宝石や鉱物を守護しているが、果物や蜂蜜を好む一面もあるらしい。

夜になると凶暴化し、道を歩く人間や動物を襲う。

洞窟の主であり、果物とその木の守護者とも現地民には言われている。


「二人とも、そんな伝説の魔獣相手に凄く頑張ったわ。さすが一級冒険者ね。わたしは誇らしいわ」


姉にそう言われて、二人とも肩を竦めた。

正確に言うと倒したというより、相討ちだったということだろう。

それでも、伝説の魔獣相手の戦いだ。

私も凄いなと思う。

姉の誉め言葉にチャールズが答えた。


「アス姉さん、ありがとうございます。でも、風呂に入りながら、レオンと話したのですが、僕らは弱すぎる。余りにも弱すぎるのです。だから、本気で修行をしたいと思ってます。キモ男をやっつけて、ミナセに向かいましょう」


「そうね! チャック、これでライフを二つ使ったからね! 残りのライフは一つよ!」


マリーの言う通りだが、そう言う意味では私達全員が一度死んでいる。

でも、ライフが三つまでって、今時通用する概念なのだろうか?

今時?

ん?


「うう……、言い返せねぇ……」


「ララ、食事を食べたら、出発する?」


「うん、アス姉、そうしようか。銃を沢山手に入れたから、全員が機関銃と予備の弾薬を持つ。変更点はそれくらいだね」


私は機関銃と呼んでいたが、チャールズ曰く正式には『アサルトライフル』と呼ぶらしい。

M9という最新型のアサルトライフルとして、空間部屋の書籍にも載っていたものだそうだ。


「念のために、おにぎりを作っておきましたからね。途中でお腹がすいたら食べてくださいね。ララに持たせておきますからね」


食事をサーブしてくれていたジョヴィが皆に明るい声で話しかけた。

皆が、ありがとうとジョヴィに答える。

便利な収納役を担う私には当然誰も何も言わない。



チャールズが死んだ場所に戻った。

テジュー・ジャグアの死骸は収納済みなので、戦闘が行われた痕跡すらもうない。

床や壁の黒い鉄鋼材が、薄く光っていた。


開いていたドアから出ると、上りの階段の横に奥に繋がる通路があったはずだ。

そこから先へと進む。

レオンが先行して、罠を確認していく。

光魔石があるののなら、銃で壊す必要もある。

私はレオンの前に、色付きの空間ボールを転がして進めた。

しばらく進むと、下に下りる階段になった。

長く長く下る階段だ。


「チャック、この方向って塔の方向?」


私はこの中で唯一コンパスを持っているチャールズに聞いてみた。

全然違う方向に向かっているのなら、この地下施設での戦いがまだまだ続くことになる。


「うん。そうだね。多分、下った先が沼地の下くらい。だから、いるだろうね」


「となると、あの魔獣とロボット兵士達はやっぱり侵入者対策なんだね」


地下数階分の階段を下りた先には、大きな扉があった。

全員が降りたことを確認してから、レオンは少しだけ扉を開けて中を確認する。

開けた扉から、眩い光が差し込んだことで、光魔石が照らす空間だということだけは分かった。

我慢できなかったチャールズが、レオンの頭を手で押さえて、自分も隙間から様子を伺う。


「ここが塔の真下だと思う。四角い大きな倉庫の真ん中に塔と思われるものがある」


扉を閉めてから、レオンが言った。

その後をチャールズが補足する。


「ドーナツ型。ドーナツの穴の部分が塔だと思ってもらっていいね。塔の入口はここからは見えない」


「丸い部屋なの?」


「いや、真四角だね」


「敵もいる。ざっと見ただけだけど、ロボット兵士が数十体。飛行の自動機械も見えた。参謀の護衛隊百名は最奥をキャンプ地にしているみたいだ」


チャールズに紙とペンを収納から取り出して渡した。

汚い絵と字で記載していく。


「汚いわ! レオン君! 書いて!」


マリーにそう言われて、レオンが苦笑を浮かべながらチャールズからペンを奪った。

チャールズはこれ以上にない衝撃を受けたような顔で固まっているけど、当たり前だよ。

いつのものことだ。


レオンがササっと必要な情報を記載していく。

設置されている光魔石が多い。

この前の体育館での戦いと同じ戦法が良いのだろうけど、光魔石を倒すのに時間がかかりそうだ。


「半分より向こう側はアス姉に任せよう」


私が最初にそう告げた。

今は全員が機関銃、いやアサルトライフルなるものを持っている。

大まかに各自が狙撃する箇所を決めた。

私とマリーが一番手前側を担当する。

壁を越えて来た自動機械を担当するのも私達だ。

この距離ならば、棒と指弾の方が当たると思う。

銃なんて撃ったことないし。


「ララはむしろ壁の対応が中心ね。音がしたら補強する。それくらいの方が良いわ」


姉の言葉を私は首肯した。


「よし。じゃあ行こうか」


レオンが再び扉の前に立つ。

その背後に立つのは私だ。

開けた瞬間に絶界を生成しないとやられる。

マリーが扉のすぐ横のレオンの対面に立った。


ダン!

勢いよく全開放された扉のすぐ前にマリーが滑り込んだ。

扉の上、頭上の光魔石に向けて、ターン!と銃を発射する。

そのまま、扉側の壁の上部に付けられた光魔石を壊していく。

チャールズがその逆側を狙った。

私は大きな絶界を一つ生成して、私達を日陰にする。

姉がその壁の右側、レオンが左側に進んだ。

銃口を差し込める分の隙間を開けて、左右に絶界を生成する。

マリーが、そしてレオンが左右の壁の影に滑り込む。

全員の狙撃が始まったが、私は絶界を積層化する作業を始めた。

三秒で一枚割られるとして、一分で二十枚。

三分で六十枚。

百枚もあれば、光魔石は割り切れるだろう。


「ララちゃん! 日陰になっているところまで壁を前に動かして!」


手前側の光魔石は割り切ったようだ。

積層化を一度やめて、壁を前に押し出した。

マリーは飛行の自動機械の相手をし始めたみたいだ。


「レオン、場所変わって!」


姉が右側から左側に移る。


「前から機械兵士が十体!」


「ララがやる!」


「ララ! 壁も前に出してくれ! 二十フィート!」


三枚の壁をさらに前に出す。

左右の壁の外から、機械兵士が五体ずつ出てきた。

左の機械兵士に指弾を放ち足を止めてから、右側の機械兵士を棒で切り裂く。


「ララ! 左はワタシがやるわ!」


マリーの声を聞いて、右側の五体を倒すことに集中した。

向こうもアサルトライフルを掃射しているが、私達にダメージは入らない。

ただ、ノックバックは避けられないので、姉達に当たると狙撃の邪魔だ。


「ごめん! ララ! 銃じゃ倒せないみたい!」


右側の三体を倒したところで、左側の機械兵士に向けて、指弾を放つ。

確かにマリーの銃は当たっているが、機械兵士の装甲はより硬いのだろう。

銃弾を弾いていた。


「もう十体くるよ!」


「俺がそっちをカバーする! マリーは右の壁の狙撃に回ってくれ」


「わかったわ!」


レオンが左側の機械兵士に向かって走った。

剣で斬るも、機械兵士の装甲は破れない。

体当たりして倒していく。


私は右側の機械兵士を空間魔法の刃で切り裂いていった。

五体行動不能になったのを確認してから、左側に向かう。

レオンが倒した機械兵士にトドメを刺した。


「レオン、剣を貸して。刃に空間魔法の矢を付ける。刺さるはずだから突いて」


「了解!」


私はレオンの剣を借りて、先端に尖った空間魔法の刃を付けた。


「ララちゃん! 二十フィート前に!」


チャールズの声を受けて、絶界を前に出す。

パリンパリンと音がしているので、絶界を補強しておいた。

上空を見上げて、ガガガガガガ煩い自動機械も落としておく。


レオンが左から現れた機械兵士の胴を刺していく。

私も右側から出てきた奴らに向かった。



六回ほど同じように対応したので、機械兵士は六十体いたのだろう。

全ての機械兵士を倒し切ったようだ。

レオンとマリーは飛来する自動機械を対応している。

姉とチャールズの光魔石の破壊が終わるまで、私は倒した機械兵士から武器と弾薬を回収した。


「終わったわ! あとは塔の裏側だけ。ここからは見えないわ」


「こっちも、もう終わるよ!」


私は壁の向こう側の様子を見た。

今、私達はこの部屋の四分の一くらいのところまで進んできている。

半分のところ、ドーナツの穴のところに塔の土台部分が見える。

その向こう側には、テントが並んでいるが、人は見えない。


「レオン、人、いないよね?」


「塔の裏側に隠れている。流れ弾に当たるのを避けたのだろう。どうする?」


ターン!

チャールズが最後の光魔石を割ったところで、皆が私の周りに集まって来た。

後は対人戦だ。

方針を決めておく必要があるだろう。


「アス姉、どうすれば良いかな?」


私は姉の考えと、直感を先に聞いておくことにした。


「交渉。そして罠かな」


「ん?どういう意味?」


「うーん。多分、正面から戦闘は選ばないと思うの。だから話し合いしたいと言いそう。それには応じた方がいいわ。ただ、あり得るとしたら、不意打ちとか」


姉の意見を聞いて、チャールズが提案してきた。


「部隊を二つに分けようか。アス姉、ララちゃん、レオンが交渉。不意打ちは僕とマリーでカバーする」


「うん。悪くない。何かあっても、その二人がいれば何とかなる」


「だとしたら、壁をギリギリまで前に進めておこう。チャックとマリーは壁の後ろで待機している方がいい」


私はレオンの言うことに従って、壁を真ん中まで進めた。

もうエリアの真ん中にある塔部分に接するほどだ。

そこに辿り着いた後、姉が大きな声で向こう側に呼び掛けた。


「我々はエッジ・シーカー、冒険者パーティです。サンパウリーナ王国軍と共同作戦を遂行しています。エドゥアルド・ダ・シルバ近衛隊隊長、マテウス・ロペス第二軍司令官、ジョアン・ペレイラ第三軍司令官、エリザ・ロペス第四軍司令官の四名と作戦を共にするものです。そちらは、どの部隊でしょうか? 攻撃する意思はありますか?」


塔の向こう側から、ザワザワと声が聞こえた。

レオンが聴力を強化して、耳をそばだてている。


「ん? ほとんどの兵士が良く分かっていないみたいだな。司令官の名前を出して、味方だと思っているみたいだぞ。それを誰かが押しとどめているようだ」


「返答がない場合は敵対勢力とみなします!」


姉が大きく叫んだ。

そして、私を見て、小さい声で話しかけた。


「ねえ、ララ、このまま収納できちゃうんじゃないの?」


「あ、そうだね。やってみよう」


床と壁を覆う黒い鉄鋼の素材は魔力を通さないが、部屋の中ならば魔力は展開し放題だ。

すっかりそういう手を忘れていた。

私が魔力を広げたところで、向こう側から声が上がった。


「サンパウリーナ王国軍参謀ガブリエル・サントスである! 我が国王陛下を殺害した終末の使徒のパーティということは知っておる! 戯言を言うでない!」


おお。

これがキモ男か。

大きな声を出しているつもりなのだろうが、声に張りがない。

濁声で聞き取りにくい声でもあった。

姉はこちらを向いて、一つ頷いた。

収納しちゃえってことだ。

私は頷いて、中断していた魔力の展開を再開する。


「分かりました。では、敵とみなします!」


「待たれよ! 一度、姿を見せよ! 言い訳なら聞こうぞ!」


姉は嫌そうな顔をして首を傾げたが、一度見てみたい。

私は姉に向けて、見てみようよ、と声をかける。

私、姉、レオンが壁から出て、塔の向こう側に回った。

兵士達は塔の裏に整列しており、その先頭にいた三人の隊長格がこちらに向かって歩いて来た。


その先頭がキモ男こと、ガブリエル・サントス参謀なのだろう。

随分小さな男だった。

姉と同じような身長。ガリガリの体躯。長い髪の毛が顔の半分を隠していた。

疫病神を体現化したようなオジさんだ。


「ガブリエル・サントス参謀ですね。エッジ・シーカーのアス・スティエルナです。そのまま、セラ・ダ・ルナのエリザ・ロペス第四軍司令官の元に向かうのであれば、攻撃はしません。如何しますか?」


私はキモ男とその横に控える二人の隊長格のことは魔力で囲っている。

いつでも収納は可能だ。


「ふっ。何を言うか。神敵の言うことに従うものか。やれ!」


は?

こいつ何なんだ。

もう一見したし、充分だ。

三人を即座に収納した。


ザワザワっと兵士達から困惑が広がる。

目の前で隊長格が消えたのだ。

そりゃ騒然とするだろう。


「兵士の方々。先ほどご説明した通り、サンパウリーナ王国軍の司令官とは共同作戦を遂行中です。国を裏切っていないと思うならば、セラ・ダ・ルナのエリザ・ロペス第四軍司令官の元に向かってください。五分待ちます」


兵士達がザワザワと話し合い始めた。

普段命令で動く兵士達である。

指揮官抜きの状態では決断できないのだろう。

皆が、後ろの方にいる二人に何やら話しかけているのが見えた。


やがて、一番前にいた一人の兵士がこちらに向けて話しかけてきた。


「あの……、この森を抜けるには、彼ら二人の案内が必要なのです」


「二人とは?」


私が聞き返したことで、兵士達が先ほどから話しかけている二人を連れ出してきた。

浅黒い皮膚に刺青を入れた二人の男女が前に出てきた。


「この二人です。この森に詳しい兵士なのです」


「ああ、ジャングルに詳しい使徒が二人いるって言っていたな」


私がそう言うと、二人が憮然とした顔で睨みつけて来た。

何だよ。

敵認定しているんじゃん。

念のために、二人とも魔力で囲った。

姉が二人に話しかける。


「たしか、アントニオさんとカミラさんの兄妹でしたよね。姓はデ・ソウザ」


二人は姉の言葉を無視して、私達を睨みつけたままだ。

周りの兵士が、姉に向かって、ウンウンと頷いた。


「お二人はどうしたいのですか?」


姉が二人に問うた瞬間、スポットライトが私と姉を照らし出した。


「敵襲! 退避!」


レオンが私達二人を両脇に抱えて、壁に向けて走り出した。

反対に壁からチャールズが、物凄い速さで飛び出していった。


ターン!

その音と共にスポットライトが消えた。

レオンが私達を壁の向こう側で下ろす。

すぐに壁の向こう側に走っていった。


「「「おい!」」」

「「「やめろ!」」」


兵士達のそんな声が沢山聞こえた。

向こう側はちょっとしたパニックになっているみたいだった。


ターン!

ターン!

ターン!

ターン!


数度銃声が響いた。


「完了!」

「サンパウリーナ王国軍の兵士達、念のため、武器を床に置いてくれ!」


チャールズとレオンの声が聞こえたことで、私達は壁の外に出て、兵士達の方に向かった。

兵士達は装備していた剣を全員が床に置いている。

先ほど姉が話しかけていた二人の使徒は、サンパウリーナ王国軍の兵士達に両脇を固められていた。

私はまず、二人に近づき、頭の中の自動機械を除去した。

どうせ会話もしてくれないだろう。

だったら、奪っておいた方がいい。


チャールズとレオンが、それぞれ兵士を担いで戻って来た。

私達の前で、ドンと床に投げ捨てた。


「あいつらだよ。光の使徒と暗殺婆さん。やっとだよ。敵討は果たした」


二人が遺体を裏返したことで、私達も判別できた。

光の使徒インドラ・アリ(Indra Ali)。

暗殺の使徒サンディヤ・バルガヴァ(Sandhya Bhargava)。


光の使徒は眉間を撃ち抜かれていた。

暗殺の使徒の方は、胸に二発。

チャールズが抱えているのは、婆さんのライフル銃だろう。

姉が使っているものと同じタイプだ。


「皆様。サンパウリーナ王国の国王陛下を殺害したのは、この二人です。ララ、遺体は司令官のところに持って帰りましょう。彼らに渡した方が良いわ」


姉がそう言うことで、兵士達はまた大きな騒めきが広がった。

聞いていた話と全く違うのだろう。

流石に戸惑っているようだった。


私は姉の言う通りに、二人から自動機械を取り出した後、収納しておいた。


「さて、先ほどの続きを話しましょう。お二人はどうしますか? このまま他の方々と一緒にセラ・ダ・ルナに向かって頂けるのであれば、私達は何もしません。ただ、敵対するのであれば、参謀殿と同じように捕らえさせてもらいます」


二人は睨むだけで、何も答えない。

こりゃ無理だよ。

私は姉に諦めようと伝えた。


「アス姉、無理だよ。兵隊さん達もララが連れていく。諦めよう」


「はぁ。わかったわ。それではサンパウリーナ王国軍の皆さん……」


姉が他の兵隊さん達に話しかけている間、私は二人の使徒を魔法で収納した。

参謀たちと同じ部屋に収納しておく。


チャールズとレオンが彼らを再び整列させてくれたので、私はそのまま収納した。

あとはセラ・ダ・ルナで解放すれば良いだろう。

兵士さん達のキャンプ装備も併せて収納しておいた。


私がこの部屋の装備類を回収している間に、レオンが塔の上り口を見つけたみたいだ。

チャールズとレオンは先行して登っていく。

私たちも、開いた鉄製の扉を潜り中に入った。


「うぇ……、永遠に続く螺旋階段……」


円形の塔の壁に蔦の様に螺旋階段が張り付いている。

上を見上げても、最後部まで見切れない。


「それでも、行くしかないわね」


姉が言う事は合ってるのだけど、正直ウンザリする高さだ。

私達はエッチラホッチラと階段を登った。

マリーもぶつぶつ言いながらも、足を動かしている。


私は塔の内側の素材をペタペタ触りながら、螺旋階段を登る。

触っていても、やはり、この素材は分からない。

魔力を通さない鉄。

ヤクママの鱗、体表に近いかも知れないけど、これは紛れもない鉄だ。

混ぜ物なのだろうな。

おそらく、鉄に何かを混ぜて作ってるんだと思う。

これならば、太陽の熱も、それこそ宇宙空間でさえ耐久性を保持出来ると思う。


(やっぱ、この世界には相応しくないオーバーテクノロジーなんだよな……)


そんなこんな考えてるうちに、塔の先端に辿り着いた。

ちょっとした小部屋の様な空間が作られている。

目につくのは、大型の自動機械が複数。

三つ程、床に置かれていた。


「チャック、随分と多いね」


「そうなんだよ。これがいつもの都市型の通信用なんだろね」


チャールズが、三つの内の一つを指して言った。


「より大きいのがあるよね」


「そうなんだよね。その一番大きいのは、塔の壁に繋がってる。多分、塔全体をアンテナにして通信してる感じなんだよね」


私は三つの自動機械を順番に魔力で囲った。

漏れ出す電波を感じ取る。


「いつものやつは、電波を送受信してるのは間違いない。でも、一番大きい自動機械は壁相手だね。壁の中は魔力が通らないから、その先は分からない」


「もう一つは?」


「もう一つは、私達が言う魔力を集めて……、何処かに出してるのかな? 魔力処理なのかな?」


チャールズは、顎を撫でながら、うーんと考えていた。

三つとも、空間部屋の倉庫に置いて欲しいと、チャールズに依頼されたので了承してから、収納した。


私達はトボトボと階段降りた。

これで一旦、ジャングルでの活動目的は完了出来たと思う。

色々と不明なところも多い。

参謀を尋問してみないと、一体誰が何を指示されて動いていたのか、全体像も未だ分からぬ。

でも、それは私達の役割ではない。

オジちゃん達に任せよう。


まずはセラ・ダ・ルナに戻る事だ。

ここまで一か月くらいかかったので、到着した頃には戦争が始まってると思う。


「戦争、嫌だな。終わる頃に帰ろうか」


「そうね! ララ! 森を収納して帰りましょう! 森の部屋を作りながら帰るのよ!」


マリーが塔の中に響き渡る様な大きな声で、そう言った。

それも悪くないかも。

動物さん達が暮らせる空間部屋を作ろう。

深い森を歩きながら、それを作るのも悪くない。

そう考えながら、クルクル回る螺旋階段を降りた。









世界地図

挿絵(By みてみん)

東側立体地図

挿絵(By みてみん)

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