第二都市ウマラセドリ掌握
残念ながら、その翌日は来なかった。
ジャラジャラ伯爵がダイエットする予定だった翌朝になる前に、この町から逃亡したそうである。
外にいた兵士さん達によると、伯爵の私兵を含め、大勢が東の方に馬車で向かっていったそうだ。
夜間のことらしい。
彼らは念のため、私達に報告しようとしたが、講堂に不在だったため、朝になってしまったと言う訳だ。
それは空間部屋に内緒で籠っている私達の所為なので、兵士さん達を責められない。
それにしても。
私はジャラジャラ伯爵のことを考える。
王都も第二都市ウマラセドリもサンパウリーナ軍に包囲されているのである。
一体どこに逃げたというのだろうか。
私達は伯爵邸を接収した。
きっと慌てて、色々と持ち出したのだろう。
それでも多くの金銀財宝と米俵が残っていた。
メーガンちゃんの厳しい目と大きな溜息だけが、誰もいない伯爵邸に虚しく響いた。
伯爵邸をカスティリオ王国軍の駐留地として、解放した。
これから数万の兵士がやってくるので、これだけ広い伯爵邸でも全く足りないが、拠点としては有効活用できると思う。
少なくとも全軍を町の外に置いておくよりも、よほど良いだろう。
この町を中心に北と南の農地を確認した。
北部はナヴァラトナ大河からの水路の引き込みが上手く機能しているらしく、問題はないようだった。
南部もこれまでのエリアに比べると大分マシな方だった。
二、三日活動して、私達は町の貧困層対策の方に力を入れることにした。
未開拓の雑木林を開墾して、町の貧困層に農家として移住することを勧めたのだ。
彼らの多くは、元農民だった人達であり、喜んで移っていった。
一週間ほど、この町で活動して、ある程度目途が立った後、皆で集まって、この後の予定を協議した。
ここから一日の距離に、包囲されている第二都市ウマラセドリがある。
すでに何度かサンパウリーナ王国軍とカスティリオ王国軍の間で、小競り合いは勃発しており、そろそろ腰据えて対処しないといけない時期でもあった。
「数では負けていないから、正面から対峙しても良い。だが、その後は王都にいるサンパウリーナ王国軍と戦う必要もある。ララ、何か良い案は思いつくか?」
もちろん一番良い案は、なるべく戦わないことだ。
敵も味方も死ぬ人を減らして戦いを終わらせることが一番良い案だと思う。
都市の周りに全面的に落とし穴を展開して、一気に落とすとか。
もう一つ考えるべきことがあるとすると、私達の目的はラージャスティ王国の人たちの支援という側面だ。
この国は既に機能停止している。
貧富の格差が収拾つかないほど広がってしまっており、食糧含めた富の配分が上手く機能していない。
それを解決しないと、農業問題だけ解決したとしても、根本対策にはならないと思うのだ。
「ゴールはどこに設定する? 一番良いシナリオ、ハッピーエンドは何?」
私は質問をしてきた中将のオジちゃんではなく、メーガンちゃん、ナスルのオジちゃん、姉に視線を向けた。
ここ数日の話し合いを経て、結論が出たのかを知りたかったのだ。
「ララ、それは、サンパウリーナ王国軍が撤退した後に、ラージャスティ王国をどう導くのか、どう変革していくのかを聞いているのかしら?」
「うん。アス姉、そうだね。それが決まっていれば、一番良い戦争の終わらせ方が決まる。それが決まれば方法論、HOWの話を考えられる」
姉はメーガンちゃんを見た。
ナスルのオジちゃんもだ。
つまり、議論はしたけど、メーガンちゃんはまだ決めかねているということだろうか。
それとも、結論は出ているのだから、それを言えと言っているのか。
私もメーガンちゃんを見る。
メーガンちゃんは、下を向いたまま考えている。
拳は強く握りしめられたままだ。
しばらく沈黙が続いた。
何度かメーガンちゃんは口を開こうとするが、決意が固まらないのか、言葉が出てこない。
それでも、私達はしばらく待った。
彼女が王位継承権者だ。
決めるのはメーガンちゃんだ。
「すみません。ララちゃん、実現可能かどうかはさておき、私の希望だけ言います。一番良い案は、この国から貴族がいなくなり、私がラージャスティ王国を継承したのちに、イフヤ共和国と合併して、ラージャスティ王国を終わりにすることです」
なるほど。
思ったよりも、大きなことをメーガンちゃんは考えていたようだ。
自分が王族ではなくなることも、当然視野に入れているのだろう。
でも分かる。
メーガンちゃんは民を率いる王の様なポジションよりも、民を支援するボランティア活動の方が合っていると思う。
その未来を私も一緒に思い描く。
そこに辿り着くための道筋も。
「わかった。私達も視点を変える必要があるみたいだね。つまり、敵はサンパウリーナ王国軍ではない。真の敵は籠城している都市の中に立て籠もっている貴族達ということだ。城壁の外にいるのは、それをただ邪魔しているだけの人達。中将のオジちゃん、発想を変える必要がありそうだよ」
「わはは。面白い話になってきたな。サミールよ。貴族さえいなければ、ラージャスティとの合併に問題はないのだな?」
中将のオジちゃんが、イフヤ共和国の元首であるナスルのオジちゃんに聞いた。
ナスルのオジちゃんは大きく頷いて肯定する。
「その合併案を邪魔するのがいなくなる訳だからな。あとは手続きと、運営をどうするかを考えることだけだ。そこはメーガン王女殿下と考えるさ」
「では、どう貴族街を制圧するかをワシらは考えよう。ララ、都市の中へ侵入するプラン、何かあるのだろう?」
「うん。大丈夫。それはララが考えるよ」
「オスカー中将、名目はどうするのですか? 同盟軍ですよね? 救援に来たのにサンパウリーナ王国軍と戦わずに都市の中で貴族を捕縛したら、後で問題になりませんか?」
「チャールズ、その通りだ。だから、都市の中で暴れまわるのは、カスティリオ王国軍ではない。サンパウリーナ王国軍だ。貴族を捕縛して拘束した後、都市から連れ出して、正規のサンパウリーナ王国軍に捕虜として渡せば良いだろう」
何を言っているのか分からない。
皆が首を傾げた。
最初に理解したのは、マリーだ。
大きな笑い声を上げて、手を叩いて喜んだ。
「それよ! つまり、カスティリオ王国軍の軍服を奪うって言っているのよ! それを着て、街に突入するってことよ!」
なるほど。
私は悪い案ではないと思ったが、姉とメーガンちゃんは、バレた場合のリスクを議論し始めた。
でも、バレたとして誰が何を言ってくるのか。
何か言ってくるのは、掴まえた貴族とサンパウリーナ王国軍だけだろう。
無視すれば良いと思う。
要は大義名分さえ通れば良いのだ。
「中将のオジちゃん、何名くらいのサンパウリーナ王国軍を捕まえてくれば良いの?」
「最低三千だな。可能ならば一万人だ」
「了解。今日の夜にララとチャールズで走り回ってくるよ。都市への突入は明日やる。細かい作戦は考えておいてね」
「ララ、都市への侵入はどうするの?」
「アス姉、今、考えているやり方は三つ。一つは結界で壁に穴を開ける。二つ目は壁を越えたトンネルを掘る。三つ目は飛行魔法で頑張って超える」
「ララちゃん、何千人もの兵士の飛行魔法は無理だよ。絶対にバランス崩して落下する」
「うん。だから、中に突入する兵士さん達は収納魔法で一度しまう。ララが向こうに到着したら、収納から全員取り出す」
「ララちゃんが一人で壁を超えるだけなら、十数フィートの横移動で済むか……。飛行魔法でも何とかなりそうだね」
「ララ、壁まではどうするの?」
「透明魔法と落とし穴で壁まで近づく。そこで壁に穴を開けても良いんだけど。今後のことを考えると飛び越えた方が良いかも」
その後は細かい調整を全員が始めた。
中将のオジちゃんは、メーガンちゃんから貴族街の地図と内容を聞き出している。
チャールズは、カスティリオ王国軍の斥候部隊の人のところにいって、第二都市の周辺にいるサンパウリーナ王国軍の配置を確認しに出かけた。
姉とナスルのオジちゃんで、貴族たちを追い出した後の手順を議論している。
私は夜の作戦に備えて、空間部屋への裂け目を通って、自室のベッドに向かった。
ひと眠りしておこう。
※
夜中、星明かりの下、私達は作戦を開始した。
とはいえ、私はチャールズの背中に背負われているだけである。
前後左右に広めの落とし穴を作り、その移動と維持に集中する。
チャールズと私には透明魔法を念のためにかけておく。
あとは走り回れば、落とし穴の範囲に入った人たちが勝手に落ちていくだろう。
どこをどう走るのかは、チャールズに任せるつもりだ。
百人落ちたら、新しい空間に繋げ直す。
可能ならば百回は繰り返したい。
私は頭の中で一生懸命落ちた人をカウントすれば良い。
それだけの作戦である。
斥候部隊の情報を元に、部隊を駐留させている場所をターゲットにした。
夜間は、約一万の兵士が第二都市ウマラセドリの城壁の周囲を囲んでいる。
その人達が突然消えると流石にパニックになるだろう。
だから、テントで寝ている人たちを、テントごと収納してしまう予定だ。
第二都市には、サンパウリーナ王国軍五万人が侵攻してきている。
単純計算で、四万人の人がテントで休んでいるはず。
そのうちの四分の一を私達は狙う。
星明かりを頼りに、部隊の拠点となる平野に走った。
所々に篝火が焚かれており、想定以上に明るい。
十フィート間隔でテントが配置されているようだ。
そのテントの大きさから、概ね五人程度が休めるようになっていると思う。
一万人確保するとなると、二千個か……。
ちょっと嫌になる個数だな。
後の処理を楽するために、二十個のテント毎に違う空間へと切り替える。
透明化しているとは言え、地面は雑草の生えた草地だ。
走れば土埃も舞うし、草も揺れる。
チャールズは速度を上げて、碁盤目状に並ぶテントの間を縫って走った。
翌朝、百人単位で軍服を毟った。
手順は簡単だ。
まず広めの結界を作る。
結界に百人取り出す。
魔力を結界内に広げて、洋服と武器だけを残して人体だけを再収納する。
結界を解除する。
カスティリオ王国軍の兵士さん達が、剣やテント、軍服等を回収する。
それを百数回繰り返した。
第二都市ウマラセドリへの侵入は、斥候としての能力が高いレオンと二人で行った。
昨日はチャールズ、今日はレオン。
ほぼ同じ体格の二人だから、背負われている分には違いを感じない。
チャールズの方が言葉をかけてくれる頻度が高く、
レオンは言葉は少ないが漏れ出る気持ちが温かい。
この二人が兄だったら、さぞかし、その妹は幸せだろうと、ペタっとレオンの背中に張り付きながら思った。
既に日中の間に、第二都市ウマラセドリに侵攻するカスティリオ王国軍一万は選別されている。
夕方、百名単位で整列するカスティリオ王国軍の兵士たちを、私は収納しておいた。
彼らは昨夜奪ったサンパウリーナ王国軍の軍服で偽装している。
全員リュックに自分の軍服も保有しており、作戦終了後には、そのまま第二都市ウマラセドリで、カスティリオ王国軍として活動する予定だ。
私は夕食を食べて、仮眠させてもらった。
姉に優しく起こされて、レオンと二人で行動を開始する。
貴族街に近い城壁に透明化して近づいた。
周囲はサンパウリーナ王国軍に包囲されているが、暗い中、不自然に揺れる地面に注意を向ける人は殆どいない。
「昨日、いきなり一万人消えちゃったことは、どう扱われたんだろうね?」
「ああ、夜、オスカー中将が帰ってきて教えてもらったぞ。逃走したと思われたようで、大規模な捜索隊が出されたようだ」
「ありゃ。でも、襲撃された訳じゃないからね。そう思われるのが当然か」
「こっちに投降したと思われたのか、かなり大きな戦闘もあったみたいだぞ」
「なるべく戦闘を起こさせない作戦が、逆に戦闘を引き起こしてしまったってことか」
「ララ、これは戦争だ。被害をなるべく出さない、そのララの考えは立派だと思うが、完全には無理だ。仲間も敵も死ぬ。それが戦争だ」
耳元でコソコソと話しながら、城壁に近づいた。
私達の周囲を結界ボールで囲い、そのまま浮かす。
レオンはバランスを崩さないように、両足を肩幅に広げて姿勢を保った。
私もギュっとレオンの背中にしがみつく力を強める。
二十フィートくらいの大きさの城壁を超えると街の中が見えて来た。
城壁には等間隔で兵士がいる監視所の様なものが設置されていて、そこにラージャスティ王国軍の兵士が数人ずつ配置されているようだ。
おそらく、あの監視所の下が階段となっているのだろう。
夜中だからか、町は暗く、人通りは全くない。
私達の目の前にあるのは貴族街だ。
三階建ての洋館が立ち並ぶ、綺麗な区画。
馬車がすれ違えるだけの道幅。
全ての道がアスファルトで舗装されている。
道の両脇には歩道があり、木が植えられていた。
そこから、各洋館の敷地まで芝生が敷き詰められている。
これまで見た中でもトップクラスに綺麗な街だと思う。
この街の綺麗さが、誰かの犠牲で成り立っていないのなら、諸手を挙げて称賛したいと思う。
城壁を超えて、しばらく進んだところで、ゆっくりと空間ボールを降ろした。
着地して結界を解除すると、レオンが足音を立てないように、奥に進む。
貴族街の中央部まで進み、そこで止まった。
「ララ、まずは空間部屋だ」
「了解」
空間部屋の裂け目を出すと、中将のオジちゃんが直ぐに出て来た。
サンパウリーナ王国軍の軍服を着ている。
カスティリオ王国軍の軍服は、モスグリーン色で結構カッコよいのだが、サンパウリーナ王国軍の軍服はカーキ色だ。
それぞれの国旗に近いという理由なのだろうけど、私からすると砂漠にいる兵隊さんに見える。
「ララ、では百名単位で出してくれ。すぐに移動させるから、次々と出して構わん」
「はーい」
オジちゃんに言われた通り、百名単位で収納から取り出した。
オジちゃんは、彼らにまず現在時刻を伝え、時計をセットさせる。
作戦開始時刻を伝えると、サッとそれぞれの作戦開始場所へ移動していった。
統制が取れた軍隊とは、かくも美しいのか。
各部隊が配置終わった後、私たちの周りには三百名ほどの兵士が残った。
おそらくラージャスティ王国軍が作戦に気付いて駆け付けてきた時のためだろう。
なるべく来ないで欲しいと私は願う。
まあ、私だけで無く、みんなが願っていると思う。
こっちはサンパウリーナ王国軍の軍服を着ているのだ。
間違いなく戦闘になってしまうだろうから。
ガシャン!
大きな音が貴族街の色々な個所から一斉に聞こえた。
キャー!
悲鳴も聞こえてくるが、大きな騒ぎになっている感じはしない。
むしろ突入時以外の音が殆ど聞こえないくらいだ。
ガンガンとかドンドンとか、少し音は聞こえてくるけど、戦闘が行われているとは思えないくらいだ。
制圧が終わったところから、次々と捕らえられた貴族が運び込まれてくる。
手は身体の後ろで縛られ、口には猿ぐつわ。
全員がパジャマ、ネグリジェ、下着姿、素っ裸の男女までいる。
侍女や執事も含めて捕らえられた様だ。
中将の前で全員が整列して座らされている。
数百人、千人近くいるだろうか。
思ったよりも、多いと思う。
その後、侍女と執事だけ何度か尋問させられた後、仕分けされていった。
何を基準にしたのかは分からないけど、半数近くが解放されていく。
残りの半分は貴族列に並ばされていた。
「ララ、これで全員だ。収納してくれ」
「了解」
予め展開していた魔力を使って、全員を収納した。
この後、再び城壁の外に行って、彼らを解放する予定である。
カスティリオ王国軍では確保しない。
サンパウリーナ王国軍の捕虜として提供するつもりだ。
「総員、担当した家で着替えた上で休め。早朝から捜索を開始し、1030に本場所に再集合せよ」
オジちゃんが兵士さん達に小さく指示を飛ばす。
近くにいた兵隊さんが、小さな声でそれを周りに伝達していった。
静かに散開する兵隊さんたち。
凄くよく教育されていると思う。
「ララ、ワシも同行しよう。レオン、ララを背負うのはワシがやろう。斥候は頼む」
「了解です」
私たちは再び来たルートを引き返した。
城壁を超え、統一街道まで出たところで、貴族の人達を解放した。
彼らからすれば、サンパウリーナ王国軍に自宅を襲撃された上に、ここで解放されるのだ。
全く意味が分からないだろう。
それでも、彼らの行く先など、どこにもない。
ここから先の町は、既に他国の軍が接収しているだろう。
カスティリオ王国軍が受け入れない以上、サンパウリーナ王国軍に投降するしかない。
私たちは再び、貴族街に戻った後、空間部屋に戻った。
「お疲れ様でした。温かいコーヒーがありますよ。オスカー中将もレオンも如何ですか? ララはもう眠い?」
超絶美人の姉に出迎えられただけで、私の疲れは吹っ飛んだが、正直言うと眠い。
メーガンちゃんとナスルのオジちゃんが、作戦結果を聞きたがっているが、もうオジちゃんに任せよう。
私は早々にベッドに行って寝ることにした。
私のベッドには、何故だかマリーとジョヴィに占拠されており、二人の間に割り込む様に潜り込んで、早々に目を閉じた。
※
翌朝、私の顔の近くには誰かの足があった。
お腹の上にも、足がドンと置いてある。
ノソっと起き上がると、マリーとジョヴィが全く違う方向に頭を向けて寝ている。
ジョヴィは直角の向きになっているし、マリーは正反対だよ。
マリーはネグリジェが捲り上がって、お腹もペタンコの胸も見えちゃっているよ。
「まったく……」
私はベッドから起き上がって、そのままお風呂場に向かった。
身体を湯船に浸けて、目を瞑り、疲れを癒す。
頭まで湯船に沈めてブクブク息を吐いた。
今日は第二都市ウマラセドリの実行支配と、サンパウリーナ王国軍との交渉だ。
ああ、教会から自動機械を除去しないとな。
それを朝一でやらないと危なくてしょうがない。
そんなことを考えながら、回復効果のある湯船に全身を浸した。
遅めの朝ごはんを食べてから、私達は全員で第二都市ウマラセドリに入った。
姉、メーガンちゃん、ナスルのオジちゃんが兵士達と共に、第二都市ウマラセドリの兵士たちのところに、まずは行く。
その後は役人たちのところだ。
事情を話すのと、これからの都市管理について協議するのは彼らの仕事だ。
私はナスルのオジちゃん達と一緒に、教会に向かった。
教会で働く司祭やシスターは、ナスルのオジちゃん達に任せる。
フローレンス、マリーとジョヴィもそれに同行している。
医療活動や貧困街への支援活動。
それを早々に立ち上げるための打ち合わせだ。
私はチャールズと一緒に、教会の自動機械の除去を行った。
チャールズはフローレンスたちの護衛に付けて、私は貴族街へと再び戻った。
担当の兵士さんに案内されて、早朝からの捜索で集められた金銀財宝や書類関連を回収して歩く。
ついでに綺麗なベッドやソファ、ロッキングチェアを頂いた。
まあ、世界の平定のために役立てるつもりなので、泥棒とは言わないで欲しい。
教会の講堂に戻っても誰も帰ってきていない。
しょうがないので、接収したロッキングチェアを取り出して、そこでブラブラと揺れながらお昼寝させてもらった。
正直、ここから先、忙しくなるのは私以外の人たちだ。
私は手持ち無沙汰になるだろう。
役立たずララのターンである。
午後、遅めになってから、皆が戻って来た。
その場で今後の方針が定められた。
カスティリオ王国軍は貴族街に駐留する。
作戦司令本部も今回はそちらに設置するそうだ。
役所の大会議室をメーガン王女殿下の拠点とする。
そこで都市の運営に関する協議はなされ、姉、ナスルのオジちゃんが日参することになった。
護衛はレオンを付ける。
冒険者組合支部が貧困層の支援を手伝ってくれるらしい。
医療室もそこで準備してくれると言うので、フローレンス、チャールズ、マリーとジョヴィはそちらで活動すると言う。
これまで通り、女神の講堂を私達の拠点として使って良いそうなので、空間部屋の裂け目はここに用意する。
講堂の入口はカスティリオ王国軍が守ってくれるそうだ。
うん。
理解した。
でも、やっぱり私の仕事は特になさそうだな。
皆が、ララはゆっくりしてくれとか、
後は俺たちに任せろとか、
色々言ってくれるけど、あまり暇なのは辛いんだよな。
とりあえず、今日はノンビリしよう。
そう思って、私はノッキングチェアに揺られ、目を閉じた。




