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変態野郎との再戦


首都アクアリス(Aquaris)に向かって、馬で八日間、ひたすらに進んだ。

町に入るのは、教会の尖塔から自動機械を除去する時のみ。

ほどんどを透明魔法で通り過ぎるだけの日々だった。


首都アクアリス(Aquaris)。

『水の都』という意味を持つ都市である。

カスティリオ王国北部の山々から流れる川が、カスティリオ湾に流れる場所に建てられた都市。

都市の周囲は、深い水堀に囲まれており、外壁はない。

堀だけではなく、都市の中にも外にも、小さな水路が流れている。


統一街道がセレニカーナ王国首都セレニティアから、真っすぐと東に続いており、

アクアリスを超えて、北に九十度折れるように曲がっている。

アスファルトで舗装された大きな馬車道が、都市の南側と東側を囲っていた。


「カラフルなのは、セレニカーナ王国と似ている。でも、あそこに比べると統一性はない」


「そうね。ララの言う通りだわ。雑然と色々な色が混じり合っている。わたしは好きだな」


「私もお姉様に賛同するわ。こっちの方が自然な感じがする。建物のコンクリートも全部塗られているから、灰色とか白はあまり無いのね」


「あっちの王宮と教会は白みたいだよ」


チャールズに言われた方向を見た。

都市の北部。

かなり遠いところに、白い尖塔が見えた。

手前のが教会で、奥が城かもしれない。

港から北に向かって、緩やかな坂になっている。

その坂の上に建てられているみたいだ。


港町と都市の間には、統一街道が走っていた。

港はセレニティア港やリュミエール港と同じくらい大きい。

沢山の船が停泊していた。


「旗艦船が見えない」


「そうだね。僕も探しているのだけど、見つからないんだよね。ひょっとしたら、港の奥の方に停泊しているのかもしれないね」


「一旦、冒険者組合に行きましょう」


姉に言われて、私達は、統一街道を渡って、都市の中に進んだ。

南側には、統一街道に沿って水堀が作られており、都市に入るには橋を渡る必要があった。

この橋が門の代わりをしているようだ。

門の向こう側には兵士たちが入場チェックをしていた。

身分証を確認し、大きな荷物は中を検めている。


私達は兵士の横を静かに通る。

透明魔法は単純に光を屈折しているだけだ。

良くみれば、少し違和感を感じる。

それでも、特に問題なく、私達は通過できた。


「人が多い……。カラフルな人たちばかりだ」


私は小さな声で、周りに声をかけた。

この街の人たちも、長ズボンの上にチュニックを着ている。

ただ、カウニアやサンテール王国の様に、足首まである長い物ではない。

膝丈の短いチュニックだ。

それを腰の部分でベルトで締めている。

その上に腰までの短いケープを羽織っていた。


「街中に音楽が流れているけど、どこかで演奏しているのかしら」


「フローレンス、奥から聞こえるみたいだよ。あっちに広場があるんじゃないのかな」


私は姉とフローレンスと手を繋いで歩いている。

後ろには、チャールズとレオンがピッタリと付いてきていた。

人込みが多いから、三列だと人にぶつかってしまうかもしれない。

姉を先頭に横歩きするように、縦になって進んだ。


港の方面にも市場が見えたが、橋を渡った街にも沢山の商店が並んだ市場がある。

たまに店の人が、店の横に座ってマンデリンやシュトローを奏でていた。

街中に流れている音楽は、この人たちが奏でる音だろう。

シュトローには拡声器みたいなものも付いているので、賑やかな雑踏でも良く響いた。


広場はさらに賑やかだった。

水路に囲まれた中央広場の真ん中には噴水まである。

綺麗な芝生が敷かれた場所も多く、そこに寝転んでいる人たちもいた。


「あれだね、冒険者組合は」


広場の東北の角にあると聞いていた通り、少し無粋な建物が見つかった。

この街に似合わないレンガ色の武骨な三階建ての建物だ。


私達は広場を通りぬけ、透明魔法を纏ったまま、冒険者組合本部の扉を潜った。

少し時間をかけて、部屋の中に魔力を展開する。

監視の自動機械が飛んでいないのを確認してから、透明魔法を解いた。


「閑散としている冒険者組合ね……。誰もいないわ」


「アス姉、どうする? ここで待つの?」


「ちょっと奥に行ってみるわ。誰か組合の人がいるでしょ」


姉が受付のテーブルを超えて奥の関係者エリアに行こうとしたところで、奥から人が出てきた。

モグモグと何かを口に入れて食べている。

遅めの朝ごはんか、早めの昼ご飯を食べていたのか。

明るそうな若い女性だった。


姉が挨拶をすると、モグモグしながら受付の女性が応対した。


「エッジ・シーカーの皆様! 大変……、失礼いたしました。二階の大会議室に案内しますので、暫くお待ちください。シグナル・ライトの方々を直ぐにお呼びしますから」


モグモグさんは、無理して食べ物を飲み込んだのか、ゴホゴホと咳込みながら、二階の会議室まで案内してくれた。

そのまま、しばらくお待ちくださいと言って出て行った。


「この建物だけが、この街に浮いている気がするわ」


「そうね……。建物の外観も。部屋の中も飾り付けもない。少し武骨な感じがするわね」


「あの、モグモグさんもカラフルじゃなかった。アースカラーだった」


「モグモグさんって……。まあ、誰を指しているのか分かっちゃったわ」


チャールズとレオンが、窓のカーテンを少し開けて、外の様子を眺めていた。

ここからだと、広場が一望できるはず。

何かあれば、すぐに気づくだろう。


「あ、来たね。あのカラフルな帽子が違和感なく街に溶け込んでいるのが、僕には違和感だよ」


チャールズが外を走って来る信号機トリオを見つけたのだろう。

しばらくすると、廊下をパタパタ走って来る音がした。


「良かった! 無事に着いてよかった! 待っていましたよ!」


赤信号が部屋に入るなり、大きな声で言った。

両脇がウンウンと大袈裟にリアクションしている。

すぐに目の前のソファに座って、情報交換が始まった。

チャールズとレオンは、引き続き、外を警戒している。


「まず、一番大きな動きとしては、城に一万の兵士が集められました。門を閉じられ、厳重に中で警護されています」


「お城? ナタリアさんがやっぱり幽閉されているの?」


「いえ……。それが、俺らの聞き取り調査だと、まず、ここにはいないだろうと思えるのです」


彼らは色々な人から、聞き取りしたそうだ。

殆どの人が、女王陛下も宰相も、この街にはいないと言ったらしい。

数年前の夏に、避暑地オリベイラに行幸したまま、戻っていないそうだ。


「何を守っているの?」


「分かりません。ただ、旗艦船から、大きな木箱が搬送されていくのは確認されています。ひょっとしたら、ララさんが言っていた自動機械というヤツかも」


「ララ、罠って可能性もあるわ」


「罠……。ララ達がやってくるのを待っている?」


フローレンスが頷いた。

姉は顎に手を当てて、何やら考えている。

信号機トリオは、フローレンスの意見に同意しているようだ。


姉が顔を上げて聞いた。


「旗艦船は何処に停泊しているのですか? そちらに兵士は?」


「旗艦船は軍用のドックに格納されています。兵士の監視は、まぁ普通ですね。俺らでも中に忍び込んで確認することが出来た程度の監視体制です」


「旗艦船を調べる。なければ、お城に行く」


「いや、ララさん、一万人だよ?」


「まあ、問題ない。ただ、女神に空から攻撃されれば、その人たちは死んじゃうけど」


「ララちゃん、落とし穴魔法で進むつもり?」


「うん。それで十分かなと」


信号機トリオも、盲目の剣士との戦いを見ていたのだ。

落とし穴魔法という言葉を聞いて、理解したようだ。

珍しく異なる表情を三人がしていた。

青はウキウキと。

赤は目を瞑り残念そうに。

黄色は驚愕の表情を浮かべていた。


チャールズがソファテーブルに、この街の地図を広げて、旗艦船の位置を確認し始めた。

姉がその周囲の様子を詳しく聞いている。

『ドッグ』と表現したのは、船を格納する大きな倉庫みたいな建物らしかった。

港から、そのまま、その倉庫に船を入れられるみたいだ。


私は話を聞きながら考える。

倉庫の中を結界に囲んじゃうのはどうかなと。

時間はかかるだろうが、空からの攻撃が防げるだろう。

集中して、中で捜索が出来そうだ。


「行こう。トリオは待っていて」


「いや、俺らも行くよ。忍び込み方は案内した方が早い」


「んー。わかった。じゃ、立って」


彼らにも結界を纏わせた。

姉が私の代わりに説明してくれている。

透明化魔法もかける。


「「「ウォー!」」」


三人の反応の声が綺麗にハモった。

青と黄色って、低音と高音にパート分けされているのか。

これ練習しているのかな。

笑える。


「これ、味方の場所が分からなくなっちゃうの。それがデメリット。だから、トリオは港に出てから、透明化させるね。ララ達はトリオの後ろについて歩く。見えないけど、付いていくから心配しないで」


「「「了解」」」


透明化された見えないトリオから、ハモった声が聞こえた。

私は透明化を一旦解除して、仲間達を見渡す。

皆、大丈夫そうだ。

では行きましょうか、と姉が声をかけた。


冒険者組合を出る時に、私達だけ透明化魔法をかけ直した。

私は、姉とフローレンスと手を繋ぐ。

冒険者組合まで来た道を、港に向かって引き返す。

信号機トリオが先に進んでくれているので、行きよりも歩きやすかった。

彼らの後ろをついていくだけ。

私は彼らの足元だけを見て歩いた。

革のブーツだけど、中にファーが付いているのだな。

おそらく冬山用の装備なのだろう。

厚手の毛糸の靴下が、赤、青、黄色なのが可笑しい。


「あの兵士達がいるバリケードの奥なんだ。ちょっと歩きにくいけど、裏の林から回り込める」


港町を超えて、桟橋の方を進みながら、赤信号が小声で伝えてきた。


「大丈夫。三人とも透明魔法かけるよ。そのまま進もう。姿が消えるから、迷子にならないでね。あと、足音気を付けてね」


三人の姿が目の前から消えた。

石畳をジッとみると、彼らが歩くと、小さな砂が舞うのが見える。

それを追って、私達も前に進む。

バリケードの隙間を抜ける。

顔を上げて兵士の顔を見るけど、彼らに注視されていることもない。

それに彼らは何処も見ていなかった。

ただ、前の方に顔を向けているだけだ。


しばらくすると、道は入り組んだ感じになった。

ちょっと奥まったエリアがあり、そこに旗艦船を格納するようになっているみたいだ。

大きな三角屋根の建物が見える。

思ったよりも大きな建物だった。

監視の兵士がいると聞いていたが、どこにも見えない。


「誰もいないみたいだね」


「ララさん、ひょっとすると中にいるのかも知れません」


「もしくは……。ララ、これも罠かも知れないわ」


「アス姉、どういう意味?」


「旗艦船の自動機械を除去しにきた私達を攻撃するとか……。入って来てくださいって、言っているように感じるの」


「なるほど……。分かった。倉庫ごと結界で囲む。少し時間を頂戴」


魔力を包むように展開した。

少しずつ倉庫の周囲を私の魔力が囲う。

数分で倉庫を囲う結界を作れた。


あ、通信反応があるな。

やっぱり通信の自動機械は、ここにあるんじゃないかな。

じっくりと時間をかけて、囲った結界で反応を探ると、かなり小さな通信反応だった。

とても大型の自動機械の反応ではない。


皆には、もう少し待ってくれと小声で伝えた。

さらに十数分。

魔力を結界の中に散らして、結界の中を探る。

その内に中の様子が分かってきた。


人が二人いる。

船の甲板だ。

自動機械が……。

二十個以上あるじゃん。

大きな自動機械は、飛行の自動機械だろう。

それが十五個。

小さな自動機械は、監視の自動機械。

五個。

船底まで調べたけど、通信の自動機械は無し。


私は分かったことを皆に共有した。


「完全に待ち伏せね……」


「うん。通信の自動機械はないよ。戻って、お城に行こう」


「ララちゃん、その二人って、アイツらじゃない? 火神とチェンソーの二人」


「あ、そうかも。チャック、ナイスだ。じゃ、やっつけよう」


「飛行の自動機械が十五台いたら、まともに戦えないわ。ララ、収納できない?」


「ララ、あの二人も、ここから収納出来ないの?」


「うーん。フロが言う通りにララもしたいけど……。もう少し近づかないと難しい。あの止まっている自動機械ならやれるかも」


収納魔法をかけるには、身体全体に鎧魔法と同じように魔力を纏わせる必要がある。

今は結界の中に魔力を浸透させているだけだ。

診断魔法をかけているだけと言っても良いだろう。

ウロウロせずに、どこかにジッとしていてくれれば、何とかなるかもしれないけど……。


私は甲板上に止まっている自動機械を魔力で包んだ。

十五台。

多分、出来ると思う。

収納。

出来たと皆に言う前に、中から大きな声が聞こえた。


「おい! 来たぞ! 機械がなくなった! 奴だ!」


「ララちゃん、突入するよ!」


あのノコギリ野郎の声が聞こえたと同時に、チャールズが走り出した。

私は全員の透明魔法を解いた。

相手は二人。

正面から戦っても勝てる。

信号機の三人に、フローレンスを守ってとお願いしてから、私も後を追った。


入口の扉の前で待っているチャールズに追いつき、倉庫の結界を一度解いて中に入る。

もちろん、もう一度かけるのは忘れない。


チャールズが甲板に登る階段に足をかけようとしていたところ、甲板の上から、樽を投げ込まれる。

姉が顔を出したノコギリ野郎の顔面をかすめるような矢を放った。


「ちっ」


ノコギリ野郎が顔を引っ込めた隙にチャールズが跳躍して甲板に上がった。

レオン、そして、私が続いた。


甲板に登り切った時には、チャールズが加速しながら、チェーンソーを振り回しているノコギリ野郎を前から後ろから、左から右から、タコ蹴りしていた。

速度が全く違う。

チェーンソーを振るよりも、チャールズの移動の方が早い。


レオンは燃える変態裸野郎の上に馬乗りになって、タコ殴りをしていた。

結界を纏っているので、炎は全く効かない。

全く影響なく、ボコボコと殴りまくっていた。


「おま、な、なんで、熱く、ない、ん、だ、よ!」


殴られながら、何かを叫んでいるが、レオンは全く容赦なく、殴りまくっている。


「これ、あっと言う間に決着がつくわね」


「うん。アス姉、ララの出番はないみたいだ。せっかく、中距離の断裂魔法を練習したのに」


「わたしもよ。ボウガンの出番は最初の一発だけだったわ」


二人とも気絶するまで、止めるつもりはないようだ。

やはり年齢もあるのだろう。

最初にダウンしたのは、ノコギリ野郎だった。

チャールズは甲板に落ちたチェーンソーを、蹴とばして距離を離した。

仰向けに倒れたノコギリ野郎の股間を執拗に蹴りまくっている。

よく見ると、涙ぐんでいた。

あぁ、そうか。

片目の剣士のオジちゃんのカタキ討ちか。

やれ、チャック。

殺しちゃっても良いくらいだ。

思いっきり、やっつけちゃえ。


レオンが立ち上がった。

もう変態放火魔の火も消えている。

気絶したのだろう。

静かに見下ろしていた。


信号機の三人組が近づいていった。

青信号が首の脈を調べて、頷いている。

どうも、まだ生きているようだ。

フローレンスも一緒になって近づいて、ジロジロ眺めていた。

何を見ているかと思ったら、股間を真剣に見ていた。


「ララさん、この二人はどうするのですか?」


「うーん。そう言えば、盲目の剣士の人も、ララが収納したままにしている。どうするべき?」


「そうですね……。冒険者組合に渡すのは如何ですか?」


「この国の冒険者組合で問題ない?」


「はい。地下室に牢もあるのです。おそらく、セレニティアが欲しがると思います」


「分かった。じゃあ、三人並べるから、縛ってくれる? 頭の自動機械を取り除くね」


カール・ツー・フランケン (Karl zu Franken)。

九十三番。殺戮の使徒。


マルコ・モレノ(Marco Moreno)。

三十三番。一級冒険者。盲目の剣士。


ラファエル・モレノ(Rafael Moreno)。

八番。選ばれし使徒。火神。


盲目の剣士も並べて、頭の自動機械を除去した。

信号機の三人が厳重に手足をロープで縛った。


「ララ、その火神の使徒は、意識を取り戻したら、火でロープを消しちゃうんじゃない?」


「う。そうだね。鉄とかが必要かな?」


「魔石を奪ってみたら?」


「フローレンス、ナイスアイデアだ。じゃあ、ちょっとやってみるね」


診断魔法をかけて、魔石の位置を探る。

そのまま、魔力を纏わせて収納した。

気持ち悪いので、手には出さない。


放火魔の身体が、ビクっと一瞬だけ痙攣した。

ギョッとして、私は離れた。

逆にフローレンスは近づいて、ジロジロ眺めていた。

局部ではない。

診断魔法をかけているようだった。


「ララ……。死んじゃったわ」


「え? マジで?」


「うん……。魔石を失うと死んじゃうみたい……」


「うう……。信号機トリオよ、すまぬ。殺してしもうた」


「信号機……? ああ、俺らのことですね。はい、大丈夫です。遺体を持ち込みましょう」



冒険者組合で、先ほどいなかった本部長と挨拶した。

地下の牢に一緒に降りて、二人を引き渡す。

遺体も渡しておいた。


その後、先程の会議室に戻って、皆で話をした。

旗艦船の状況や戦闘の詳しい話を、本部長に報告する。

後ろで、モグモグさんがメモを取っていた。


私達は依頼を受けていた訳ではない。

でも、シグナル・ライトのパーティと合同で討伐したという扱いになるそうだ。

報酬は、四百五十万Gという破格の額だった。


渋るシグナル・ライトを説き伏せて、何とか折半にした。

彼らの情報が無ければ、私達だけだとスムーズに進まなかったと姉が主張した。


「なぁに、構いません。彼らはこのままエッジ・シーカーの皆様の支援任務を継続させます。その任務の代金も含めてという扱いにしましょう」


本部長は笑顔でシグナル・ライトに無茶ぶりをしていた。

姉も、この国にいる間だけでも、そうしてもらえると助かると、その提案を受けた。

シグナル・ライトとしても、最初から、そのつもりなので問題ない。


「シグナル・ライトのパーティは、これで一級冒険者パーティだな。一級冒険者のマルコ・モレノを討伐して達成したのだ。誇って良いぞ」


「いや……。俺ら、エッジ・シーカーの人たちを見て、身の程を知りました。強さも決断力も……。何よりも肝の座り方が全然違います。俺らはこれまで通り、地道な依頼をフットワーク軽くこなしますよ」


「ははは! そうだな。北黒の森の調査だけでなくて、街の調査まで幅が広がったからな。冒険者組合としても使い勝手の良い一級冒険者パーティがいてくれると助かる」


本部長は、豪快に笑ってから、これから打ち上げをやりましょうと提案してきた。

美味しいレストランを知っているので、是非と。

信号機トリオも、私達の仲間も喜んだ。

何よりも一番喜んでいるのは、モグモグさんだった。


でも、それは私と姉が断った。

断ったというか、ちょっと待っててほしいと告げた。


「美味しいレストランは是非行きたい。でも、ララは先に城に行ってくるね。自動機械を除去してくる」


「はい。妹の言う通りです。わたし達が、この街で大手を振って歩くためにも、それが必要なのです。夕食までには帰りますので、是非、皆さま、レストランでお会いしましょう」


姉が、ちょっと買い物に行ってきます的な感じで、そう言って立ち上がった。

私達全員で立ち上がる。

本部長も信号機の三人も愕然としているけど、本当にちょっと行ってくるだけだよ。

そんなに心配しないで欲しい。

モグモグさんはキラキラした目で姉を見ていた。


本部長は何か言いたげな様子だったが、私達は冒険者組合を出た。

すぐに透明魔法で身を隠す。

城に着くまでは、空から攻撃される訳にはいかない。

あんな理不尽な雷を喰らったら、この明るい街が壊滅してしまう。

私は、いつも通りに姉とフローレンスの手を握って進んだ。

坂道の上の方に見える白い尖塔がある方向に向けて、歩を進めた。



世界地図

挿絵(By みてみん)

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