嵐の前の静けさ
キール兄弟を倒し、こちらへ向かってくる2パーティーとの戦闘に入ります。
「くっそ!…コイツら強い……」
「早っ!……」
「どこから支援してるのよ!?…」
ベテラン2人+新人2人のパーティーとベテラン4人のパーティーでしたが、難なく倒せてしまいました。
「……呆気なかったわね」
「正直予選から思ってたけど、竜人の湿地帯で特訓してた時よりも、フィルちゃん達強すぎへんか?」
「そうかしら?…ステータスはそこまで上がってないわよ」
「ステータスやない…PS?…いや違うな…なんや間合いとか呼吸とか?…そんなんを感じて先読みしてる気がするねんなぁ……」
「そう言う事ね…パンダさんの感じてる通り、私達はモンスターと戦うよりもプレイヤーと戦う方が色々感じ取れるから強いわね」
「戦いの中で会話する…とか良く聞くでしょ?
やっぱり対人戦は情報が沢山詰まってるのよ…だからそれを読み取れる私達は先読みに近い行動が出来るって訳ね」
「……達人みたいやな。」
「パンダさんも似たような事をやってるでしょ?
そろそろ大技が来そうとかこの攻撃を嫌がってそうとか……」
「確かにやっとるな…」
「経験を積むともっと沢山情報が手に入って、戦いを有利に進められるわよ」
「そりゃ凄いな…どうやったらええんや?」
「相手…人をしっかり見ることね。
戦いだけでなく、普段から人の仕草、表情、行動など全てを見て経験するしかないわね。
人間観察を常に行うのが良いわね」
「なるほどなぁ…確かに営業の仕事でも人の考えてる事を予測するのはかなり重要やからな……」
「その歳でそれが分かってる君らってホンマ規格外やな……」
「ありがとう…褒め言葉として受け取っとくわね」
「ああ、そう思ってくれ」
フィルちゃんはなんて事ないように言っていますが、戦いの中で行うのはかなり難しいです。
私もフィルちゃんほど読み取れませんし……
「談笑している所申し訳ございません…現在私達のパーティーは225pt獲得していますが、順位は2番目でございます」
「225ptで2位やと!?……1位は何ptなんや…?」
「1位は235ptです」
「10pt差か…すぐに追いつけそうやけど向こうもpt伸ばしてくるとマズイな……」
「ちなみに1位のパーティー名は"食卓の騎士"です」
「「「!?……」」」
「それってまさか…?」
「ウチよりもpt稼いでてその名前…多分アーサーらの所やろうな……
て言うか同じブロックやったんか……」
「ふざけた名前ね……」
「プレイヤーの中で一番強い方…一度手合わせしてみたいです」
「戦うのは賛成やけど、残り15分ちょっとしかないから、あいつらを見つけて、倒すとなるとちょいキツいで……
だから、先にpt稼いでトップ取っといた方が良さそうかもな」
「確かにそうね…あの男達に固執し過ぎて負けるようじゃ本末転倒だもの……」
「もう少しで全員の居場所が分かるようになるので、それを見て動いた方が良さそうです」
「せやな。」
「念の為、空間把握も使いますね」
「頼むで」
空間把握を使用しても周囲にプレイヤーはおらず、この結果から少しでもエンカウント率を上げるべく、森のフィールドを抜けマップの中央である平原フィールドへ、一先ず進みます。
「そろそろ残り15分前やな…フィルちゃんとユキナさんは俺と一緒にマップ確認、フェリシアちゃんは周囲の警戒を頼む」
「分かったわ」
「分かりました」
「承知いたしました」
「食卓の騎士は少し遠い場所におるな…」
「近くに1パーティーがいるわね……」
「そのパーティーを狩りますか?」
「!?…1パーティーがこちらに迫ってきます!」
「言ってたら来たな…おっしゃ!このパーティ狩ろうか!」
「パーティー名は"凸撃粉砕"ですね…」
「!?…粉砕しちゃってます……」
「うちのパーティー名も大概だし、あまりツッコミは出来ないわね……」
「……せやな。」
私達が相手の方のパーティー名について考えていると、すぐ側まで来ていた凸撃粉砕さん達が、パーティー名通り突撃を行ってきます。
「せーの!『『『『クリムゾンチャージ』』』』!!!!」
「一気に来たわね!?…」
「ではこっちも揃えましょう!…せーの!『『『リフレクション』』』!!!」
「「「「ギャァァー!」」」」
「……散雪!!」「ギャー」
「「「良くも弟をやってくれたな!」」」
「えっ?……似てると思ったけど4兄弟なの?」
「「「そうだ!…お前は許さーん!」」」
「……」
『『『ライトニングチャージ』』』
「影花!!」
「「「き、消えた!?」」」
「息ピッタリですね…『セイクリッドランス』!」
「おわっ!……」『セイントランス』「ほぎゃ!……」
「「弟よ!~」」
「宵月!!」
「兄者ぁぁ!!……ウォォオ!!…『パワーチャージ』!!」
「……甘いで!『ソウルキャリバー』!」「ギャー」
えっと…4兄弟全員すぐに倒せちゃいました
色々な方がいらっしゃるのですね……
「あの男達と戦う前で気合いを入れてたのに、拍子抜けね……」
「他のパーティーとかやったら結構刺さったかもしれんけど、フィルちゃん達のPSやったらカモやからなぁ……」
「!?…4人パーティーがこちらに近づいて来ています!」
「多分アーサー達やろうな…アイツら以外がこの終盤にフルパーティで残ってるとも思えんしな」
「楽しみね!」
「とりあえず先にアーサー達の情報でも共有しとくか?」
「そうね…お願い出来るかしら?」
「へぇ…意外やな…フィルちゃんなら正々堂々と戦うから情報なんていらんとか言いそうやのに……」
「情報は武器よ…手に入るのにそれを手放すなんて愚かじゃない…
これは私の持論だけど、得た情報をどうやって活用するのかがその人の資質が問われると思うのよ」
「ただ情報を得てもそれを活用出来ないのであれば意味は無いし、だけど、人から聞いた情報を鵜呑みにしてしっぺ返しを受けてもダメね。
人から得た情報と自身の五感で受けた印象や今までの経験を合わせてやっとその情報を生かせるのよ。」
「…フィルちゃん本当に高校生なん?」
「厳密には来週から高校生ね」
「…さようか。とりあえず時間も無いし本題に戻るで。
ぶっちゃけアイツらのパーティーメンバーを知らんから何とも言えんけど、クラン円卓の騎士のメンバーで注意するヤツとアーサーの情報だけ伝えるで」
「ええ、お願い」
「師匠お願いします」
「お願いします」
「まず、アーサーやけど…知っての通り全プレイヤーの中で最強と呼ばれてるぐらい強い。
ユニークロール"騎士王"と"正義"のオモイカネ化に成功しとる」
「正義?…そんなもの人によって変わるものじゃないの?」
「何や良く分からんけど、アーサーが言うには、自分の信念を絶対に曲げないことが重要らしいで。」
「そもそも正義って感情ではないでしょ?…それなのにオモイカネ化って良く分からないわね……」
「エパクトシステムが判断しとるからな…行動や品格ってもんが反映されてるんやろ…多分な」
「話に戻るで…アーサーは完全なオールラウンダーや。
近距離、中距離、遠距離はもちろん、回復やタンクや支援…何でも出来るバケモンや」
「……ゲームバランスおかしいわね。
その中で一番得意なのは何かしら?」
「沢山あるけどやっぱりインファイトやろうな……」
「私達も武器での打ち合いなら負けません!」
「せやな…PSなら君らの方が上かもしれん。
もちろんアーサーもかなりプレイヤースキル高いけど、アイツはVRゲームの動きがヤバいだけで、リアルで武術とかやってる訳ではなさそうやしな。」
「そこが糸口になりそうね…他のメンバーの情報もお願い出来るかしら?」
「もちろんや。アーサー以外で注意すべきは、円卓の騎士NO.2の男ランスロットとNO.3の男ガウェインや」
「……クラン名通り、実際の円卓の騎士に準えているのかしら…?」
「そうみたいやで。ランスロットとガウェインはわざわざ高額な課金アイテムで名前を変更したらしいしな……」
「筋金入りね……」
「ランスロットはぶっちゃけアーサーの下位互換や。
まあ、下位互換って言ってもかなり強いから気をつけや!…ちなみに掲示板の全プレイヤーランキングでは4位をマークしとるで」
「4位…普通に強いわね……」
「次はガウェインな…コイツはちょっと変わったヤツでな、アーサーやランスロットみたいに正統派の強さじゃなくて、邪道に近い強さやねん」
「どういう事かしら?」
「簡単に言うと、コイツはフィルちゃんが最初目指してたデバッファーに近いな」
「敵のステータスを下げるのは勿論、状態以上もバンバン打ってくるし、普通にインファイトもこなしよる。」
「面倒そうな相手みたいね……」
「面倒やろうな…ちなみにランスロットもガウェインも全プレイヤーで17人しかいないユニークロール持ちや」
「ランスロットは"精霊騎士"でガウェインは"奇術騎士"や」
「精霊騎士はまだ分かるわ…でも奇術騎士って良く分からないわね……」
「まあ、ユニークロールってそんなもんやからな……」
「ユニークって言うぐらいだから、独特なものもあるのね……」
「せやな…おっ!人影が見えてきたな……
お喋りはこれぐらいにしてそろそろ迎え撃つ準備をするで!」
私達は全プレイヤーの中で最強の方が率いるパーティーと戦う為に準備をするのでした……




