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慈愛の聖女  作者: クー
第2章 第三回公式イベント~予選編~
42/67

フィルちゃんとなら……


「シア、援護ありがとうね。」

「フェリシアちゃんホンマに助かったわ!ありがとうな!」


先の戦いを終え師匠とフィルちゃんと合流し、開口一番感謝の言葉を頂きました。


「いえ、今までサポート出来なかったので……」

「コツを掴んだので、これからはもっと皆さんのお役に立ちますね!」


「まだ発展途上やったんか……末恐ろしいな…」


「……私もシアに負けないように頑張らないとね…」


「ああ…お嬢様が戦闘中、私以外を見てしまうのですね…ヨヨヨ……」


「ユキナ……そんな泣き真似をされても……」

「でも、ちゃんとユキナの事も見てますからね!」


「お嬢様~!」


「今から周りを確認するので、抱き付くのはNGですよ」


「そ、そんな……」


「そんな絶望しなくても……」

「あ、後でいくらでも抱き付いて良いので……」


「本当ですか!? 嘘は無しですよ!!」


あっ……やってしまったかもしれません……

ユキナの目があまり見た事がないぐらい輝いてます。

抱き付かれるだけなのに、何だか凄く不安になってきました……


「シア……迂闊な発言は身を滅ぼすわよ……」


「ふ、フィルちゃん…不吉なことを言わないで下さい……」


「お嬢様、痛くはしません。そうですね…天井のシミを数えていれば終わりますよ」


「ユキナさん……それアウトよ……」


「お楽しみの所悪いけど、まだ試合中やから、もうちょい気を張ってもらえへんか?……」


「あっ…師匠、申し訳ございません……すぐに周囲を警戒します!『空間把握』!」


「フェリシアちゃんの空間把握には、ホンマに助けられてばっかやな。」


「皆さんのお役に立てたなら嬉しいです!

……空間把握の結果、南東にいた方達は遠ざかっていますね……それと周囲に人影はありません」


「ちとマズイか……? 現状うちが2位やからなるべく敵を倒したいんやけど周囲に敵がいないのはキツイ……」


「試合が開始して13分経過しているので、15分になればアレが使えるのではないかと…」


「5分毎に敵の場所が分かるアレか……

存在忘れてたな…ありがとうユキナさん」


「いえ、それほどでも……」


「あのユキナさん……」


何だか師匠とユキナが仲良さそうにお話をしています。

まさか!…前にフィルちゃんが師匠がユキナに好意を抱いているって言ってましたが、もしかして……?

邪魔をしないように少し離れて、ドキドキしながら耳を澄ませていると、フィルちゃんに話しかけられます。


「シア、ちょっと良いかしら?」


「何でしょうか?」


「ちょっと、こっちに来てもらえる?」


「別に構いませんが……」


ユキナと師匠の事は凄く気になりますが、フィルちゃんからのお誘いを断るなんてあり得ないので、おとなしくフィルちゃんについていきます。


「フィルちゃん、どこに行くのでしょうか?」


「こっちよ」


フィルちゃんに案内されたのは大きな木の樹洞で、幹に空いた隙間に私はすっぽりと入れられてしまいました。


「えっ?……」


樹洞に入れられた私にフィルちゃんが覆い被さるように蓋をし、フィルちゃんの綺麗な顔がどんどん接近してきます……


「ふ、ふぃ、フィルちゃん!?」 


「しっ~!」


あわや接吻といった所で、フィルちゃんが口許(くちもと)へ人差し指をもってきて、静かにするように伝えてきます。


「フィルちゃん?」


「少し二人っきりにさせてあげたいから、このままで……」


フィルちゃんも師匠とユキナを二人っきりにさせてあげたいと思っていたようです。


それよりも、改めてフィルちゃんの顔を至近距離で見ますが、凄く綺麗……

小さい顔に芸術品のように彩られた、ぱっちり開いた目とスラッとした鼻、ゆるりと弧を描いた口許……

綺麗な金髪と形の良い耳……

あまりの美しさに、なんだかドキドキしてきます……


「…フィルちゃん…綺麗……」


「えっ?……シア…? その蕩けきった顔は……もしかして発情しているの?」


「!?……そ、そんな事はありませんよ! ただフィルちゃんのお顔があまりに綺麗で見惚れてただけです!」


「なっ!……何恥ずかしい事言ってるのよ!

(じょ、冗談で聞いたらまさかこんな返答が来るなんて…シア恐るべし……)」


「フィルちゃん、最後の方声が小さくて聞き取れないです……」


「聞き取れなくていいの! 

私はシアと違って、そっちの趣味はないって言っただけよ」


「私だってありません!……でもフィルちゃんだったら……」


「ちょ、ちょっと待って!……最後まで否定してよ……

ま、まあ、私もシアなら別に悪い気はしないけど……」


「フィルちゃん……」「シア……」


「お二人はそこで何をやっているのでしょうか?」


「「きゃっ!!」」


「ゆ、ユキナ!?……な、何もしていませんよ!……」

「ゆ、ユキナさん!?……な、何もしていないわよ!……」


「本当でしょうか?」


ユキナにじーっと凝視されて、徐々に居心地が悪くなってきた頃、師匠が救いの手を差し伸べてくれます。


「そろそろ15分経つで! マップの準備をせなアカン!」


師匠が気をそらしてくれたお蔭で先程の件が有耶無耶になり、フィルちゃんと私はホッとするのでした……


「お嬢様…この確認が終われば先程の続きを聞かせて下さいね」


……話を流すことは出来なかったようです。

マップ確認後、私とフィルちゃんは一生懸命誤解を解くのに奔走するのでした……












「さっきのマップスキャンでは南東側に敵がいっぱいおったからそっちに向かおうか」


「そ、そうね!」

「は、はい!それでいきましょう!」


「じーっ」


誤解が解けた筈なのにユキナがじっと見つめてくるせいで、謎の緊張感が生まれてしまいます……

早く敵さんを見つけてこの空気を無くしたいです…


「そ、そろそろ周囲を探索しますね。『空間把握』!」


気まずさを紛らわせる為に、空間把握を使い周囲を調べると、南東にあれだけ居た筈のパーティーがほとんどいなくなっていて、丁度2人の反応が消えてしまいました……


「えっ!?……」


「フェリシアちゃんどうしたん?」


「先程沢山いたパーティーが殆どいなくなってます……」


「なんやって!?」


「しかも、丁度2人の反応が消えてしまいました……」


「穏やかじゃないわね……」

「かなり強いパーティーが居るみたいですね。」


「そうや!…今の順位を調べたらある程度状況が分かるかもな!」


私達が順位を調べてみると、既に5チームしか残っておらず、一位のパーティーが断トツのポイントを稼いでいました……


一位:T4…獲得ポイント280pt

二位:お嬢様と共に…獲得ポイント75pt

三位:Wizard Army…獲得ポイント30pt

四位:エンジョイワッショイ…獲得ポイント10pt

五位:総務課窓際チーム…獲得ポイント0pt


「おいおい…すでに3チームが退場してるんか…

それでこのT4って所がヤバいな……」


「私は5位のチーム名が気になるのだけど……

哀愁が漂ってるわね……」


「やっぱりこのチーム名恥ずかしいですね……」


「恥ずかしがってるお嬢様…可愛いです……」


「君らときたら……T4のポイントは結構ヤバイやろ?……

気にならへんの?」


「別に気にならないわね……だって私達、一回戦で425pt取ってるのよ。

たかが280ptぐらいでは驚かないわね」


「フィル様の仰る通りで、私達の周囲に敵が沢山いればもっと稼げた筈です」


「ホンマに君ら…心強いな……」


「師匠…T4さんのパーティー編成は2人がベテランさんで、2人が新人さんのようですね」


「なんでそんなん分かるんや?」


「簡単な計算です…T4さんのパーティー編成ですが、280pt獲得してるとなると、2.5倍と1.5倍では割りきれないのでこの時点でベテランさん4人か、ベテランさんと新人さんが2名ずつのパーティーに絞れます。」


「フェリシアちゃんはベテラン2人と新人2人で断言してたけど、ベテラン4人の可能性もあるよな?」


「それだとT4さんが28人…つまり7パーティーを退場させている事になります。」


「確かに5パーティー残ってる時点でそれはあり得へんな……

新人とベテランが2人ずつか……ベテラン4人よりかは大分マシやけど手強そうやな……」


「でも、挑まないと、このまま時間切れになって負けるわよ?

そんな情けない真似は出来ないわよね?」


「当たり前や! 相手はこの大会で今まで一番強い敵やと思うけど、俺らの方が強いって所、証明してやるで!」


「もちろんです!」


強敵との対決に胸を踊らせ、南東へ向かいます……














戦いまで書くと長くなりそうなので分割します。

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