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慈愛の聖女  作者: クー
第2章 第三回公式イベント~予選編~
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悲しい勝利


予選三回戦の天王山となる戦いに赴くため、私達は南東へ向かいます。


「相手はかなり強敵みたいやから油断大敵やで!

もしかしたらランカーの可能性もあるかもな……」


「ランカーとは何でしょうか?」


「ああ、掲示板で勝手にプレイヤーが決めてる順位みたいなもんや。」


「そんなのがあるのですね……私もその掲示板を見てみたいです」


「あー……フェリシアちゃんは見ない方がいいかもな……」


「えっ…? どうしてでしょうか?」


「えーと……掲示板には一応モラルとかマナーは存在してるけど、言葉遣いが悪いヤツもいるからな…フェリシアちゃんの教育に悪い……」

(それに前に掲示板覗いたけど、フェリシアちゃん達の話題で持ちきりやからな……中には品のないヤツもおるし……)


「師匠…後半が聞き取れませんでした……」


「大したこと言ってないから気にせんといて」


「……分かりました。それと、もう私も高校生なので言葉遣いが悪い方がいても、へっちゃらですよ!」


「スマン、スマン…フェリシアちゃんはもう立派な大人や もんな。」


「その通りです!」


「…………。 それでランカーの話に戻るわな。

掲示板でどのプレイヤーが強いか1位から100位までランク付けされてるねんやけど、掲示板の奴らが勝手に付けてるくせに結構信憑性が高いから参考になるんや。」


「そのランキング、パンダさんは何位なのかしら?」


「フィルちゃん…俺が100位以内に入ってると思ってるん?」


「思ってるわよ。それに私達の師匠をやってるのだから、それぐらい入ってもらわないと」


「厳しいなぁ……まあ一応ランキングには入ってるがな……」


「師匠凄いです!」

「お嬢様の師匠を名乗るのですから、トップ100ぐらいは入って頂かないと」

「へぇ…それで何位なの?」


「ユキナさんは相変わらず厳しいな……順位は前に見た時は確か42位やったかな…リアルタイムで結構変わるから何とも言えんけどな」


「師匠は200万人中42位って事ですよね!?……凄いです!」

「微妙な順位ね」

「トップ10に入ってないのですか……」


「あの爺さんではないけど、フェリシアちゃんが天使すぎる……俺は褒められると伸びるタイプやねん…」


「そんな事より、1位はもしかしてあの男なの?」


「……そんな事で流されるのか……

お察しの通り、1位はアーサーや」


「じゃあ、私達があの男を倒せばランキング1位を奪えるって事ね」


「いや、そうはならんな……

ランキングはこういった大会の実績であったり、ユニークロールやオモイカネ化に至ってるかであったり、クランの実績であったり、様々な角度から見られるんや。

だからそう簡単にホイホイ上がるもんじゃないで」


「それは残念ね……」


相変わらずフィルちゃんの向上心が凄いです!

私も見倣わなくてはいけませんね。


「おっ!…あそこに人影が見えるで!警戒や!」


私達は奇襲を警戒し相手の出方を待っていると、男性1人と女性3人のパーティーと対峙します、


「おや?貴方はパンダモンさんでは?」


「やっぱお前か…トワイライト!」


「師匠…相手の方とお知り合いなのでしょうか?」


「ああ、アイツはトワイライト…前回の第二回公式イベント8位の男や」


「8位ですか!?」


「7位の貴方に言われても、あまりインパクトはありませんがね…不死身のパンダモンさん」


「よう言うわ!…ほとんど成績変わらんかったやんけ!」


「えっ!?…師匠…前回のイベント7位だったんですか!?」


「そうやけど、あれは俺と相性の良いイベントやったからな…」



「ああ、私としたことが…そちらのお嬢様方に自己紹介していませんでしたね。

私の名前はトワイライトと申します。

メインロールは白煌騎士で、クラン光翼の騎士団の団長をやってます。

どうぞよろしくお願いします。」


「ご丁寧にありがとうございます。私の名……」「こんなヤツに自己紹介なんて要らんで!」


「えっ!?…」


「アイツの毒牙にかけられた女性プレイヤーが何人いることか……

光翼の騎士団はアイツを除くと全員女性プレイヤーしかおらへんしな……」


「やだな…人聞きの悪いことを言わないで下さいよ。

粗暴な男性プレイヤーに迷惑していた子達を助けたら、こうなったんですから……

それに今のうちのクランに男性プレイヤーを入れると、女性プレイヤーの皆さんが怖がってしまいますからね。」


「チッ!…このイケメンめ! 爆発してしまえ!」


「要するにパンダさんの僻みって事ね……」


「ち、違うわ!…アイツ絶対クランメンバーの何人かと寝てるで!」


「なっ!?……それは下品でクズの所業ね……」


「?……フィルちゃん…どうして寝るだけで下品になるのでしょうか?」


「……シアはまだ知らなくて良いのよ。そう言うものだと思っておきなさい。」


「…はい」


「パンダモンさん一つ訂正を…クランメンバーの何人かと寝てるって所です。」


「なんや。寝てないって言うんか?」


「いえ、何人かではなく"全員と"に訂正して下さい。

僕がそんな不公平な事をすると思っているのですか?

あり得ませんね。全員平等に愛していますよ」


「なっ!……」

「清々しいほどのクズね……」

「お嬢様の教育に悪いです。ちょん切ってあげましょう。」

「???……」


「お前はそれでええんか? 副団長のタリアさんよ?」


「少し思う所はあるけど、彼に愛してもらえるならそれでいいわよ。

でも、貴方達は凄く綺麗だから、彼の興味を無くすために惨たらしく苛めてあげるから、不細工な泣き顔のまま消えてね」


「言ってくれるじゃない…逆に叩き潰してあげるわよ」


「初心者風情が…やってみなさい小娘が……」


「僕は女の子に手荒な真似をしたくないから、貴方だけ狙うね。パンダモンさん。」


「俺は別に誰が相手でも斬るだけや!」


「パンダモンさん…そんなのだからモテないのでは…?」


「……お前だけは潰す!」


師匠とフィルちゃんから不穏な空気が出てますが、獲得ptトップのT4さんとの勝負が始まりました。


「作戦通り、俺がパーティーリーダーのトワイライトをやる。フィルちゃんはもう一人のベテランプレイヤーのタリアをやってくれ。

フェリシアちゃんとユキナさんは初心者2人を任せる。」




この戦いで重要なのは、私達が出来るだけ早く初心者プレイヤーの2人を倒すことです。

この2人を後で倒すと、試合終了まで逃げられて負ける可能性が高いので、早めに倒して、援軍という形で向こうからこっちの戦場に戻ってもらうのがベストなのです。





「ユキナサポートお願いします!」


速攻で倒す為、私は黒雪を装備しアッタカーとして相手倒します。


「参ります。」


「き、来たよトルダちゃん…どうする?」


「カエデ落ち着いて。まずは貴方の魔法で足を止めてみて」


「は、はい!『リーフバインド』!」


私に向かって蔓が伸びてきますが、これぐらいなら容易に回避出来ますね……


「はひっ!…避けられちゃいました……」


裂風(さきかぜ)!!」


「させない!『カバーシフト』! くっ!……鋭い……」


「トルダちゃん!? よくも『シードバレット』!」


追撃をかけようとしましたが、カエデって子が放った種の弾丸に阻まれ、一度後退します……


……先程の戦いから周囲が凄くよく見えます……

あっ!…あそこ師匠がピンチです……


師匠が不利な状況だったので、そちらの方に手を翳し『リフレクション』を発動します。


「どこに魔法を撃ってるのよ?」


「でも、トルダちゃんこの人強いよ……」


「そうね…ふわふわしてるお嬢様かと思ってたけど、結構強い相手みたいね……

カエデ、マスターの力を借りるわよ!」


「は、はい!」


あれは...パーティーリーダーのステータスを1つ借りられるシステムですね……

トワイライトさんのどのステータスを借りたのでしょうか?

魔法使いとタンクみたいなのでINTとDEFの線が濃厚でしょうか……?


あまり時間を掛けられないので、こちらも師匠のステータスのATKをお借りします。


「も、もう一度いきます!『リーフバインド』!」


先程と同じ技ですが、蔓の太さや本数、そして早さが段違いに上がっています。


これは回避するのが難しそうですね……いっそのこと全部凪払いましょう!

パッシブスキルの『心声』の効果でスキル名を発声せずに『ハイスラッシュ』を発動し、"月"の型「明月(めいげつ)」で一掃します。


「う、嘘!?……」


「カエデ切り替えなさい!」


「う、うん。これなら!『リーフブレイド』!」


葉っぱで出来た鋭利な剣が襲ってきますが、私は気にせず前進します。


「えっ!?…直撃します…大丈夫でしょうか…?」


向こうの女の子…確かカエデさんが私の心配をしてくれます……

でも、そちらも2人で戦っている様に、こちらちもユキナと言う強力な仲間がいることを忘れていますよ。


『パリィ』


「くっ!…もう一人はタンクなのね……とりあえずカバーに入るわ!

撃ちにくいと思うけどカエデは私の後ろから攻撃して!」


「させませんよ。『シールドケージ』!」


「なっ!……カエデの方にいけない……これは…盾で出来た檻…?」


「トルダちゃん!?…大丈夫ですか?」


カエデさんがもう一人の女の子…トルダさんの心配をしてシールドケージに触れてしまいます。


「きゃ!……」


シールドケージは触れた相手を弾く性質があるので、カエデさんはびっくりして尻餅をついてしまいます。


「隙ありですね」


私が距離を詰めると、カエデさんも気付いて手をこちらに向けますが、なぜか悲しい顔をしただけでスキルを使いません……


「えっ!?…どうして魔法を使わなかったのでしょうか?」


「やっぱり私は人を傷付けるのは向いてないから、もう良いかなって……

傷付けるぐらいならこのままリタイアした方が……」


「そんな!?……」


「もう人を傷付けたくないから、早く私の事を倒してくれないかしら?

リタイアするとあなた達のポイントにならないでしょ?」


「そ、それはそうですが……」


「カエデ!そんなのダメよ! 私がここから脱出するから粘ってよ!」


「トルダちゃん…ごめんなさい……

私は今日人を沢山傷付けた…その報いを受けるだけよ……」


「そんな!……カエデ!、カエデ!、カエデー!!!」


「分かりました……カエデさんごめんなさい……」


「なんで敵のあなたがそんなに泣いてるのよ……

ゲームだから痛くはないと思うけどなるべく優しくしてね」


「ッ……カエデさん……」「裂風(さきかぜ)……」


カエデさん、本当にごめんなさい……

あんなにも優しい方なのに……

リタイアしていただく手もあったのに、皆さんとの勝利の為に私が倒してしまいました……

本当にごめんなさい……ごめんなさい……



「カエデー!…………

よくもやってくれたわね!!!『シールドバッシュ』!」


シールドケージの効果が切れたトルダさんが私に向かってシールドバッシュで突進してきますが、避ける気が全く起こりません……


これが無抵抗なカエデさんを倒してしまった罰なのですね……私もカエデさんと同じで報いを受けなければなりません……



「お嬢様!!…『ファランクス』!」


「きゃぁぁ!……」


私を庇うようにユキナがファランクスでトルダさんを弾き返します。


「ゆ、ユキナ…どうして……?」


「しっかりしてくださいお嬢様!!!

あのアーサーとか言う男とエリサとか言う女に勝たないといけないのでしょう?

思い出して下さい!お嬢様は沢山の人の想いを受けてここに立っていると!」

「お嬢様がここで敗退すると、応援してくれてるユーピョンさん、マーガレットさん、司様、あとあの変態……

それと、私、パンダモンさん、フィル様…全員の想いを踏みにじるのですよ!」


!?……そうです…ここに私がいるのは、応援してくれている皆さんのお陰です。

確かにカエデさんのような優しい方を倒さないといけないのは心が引き裂かれるぐらい悲しいですが、今までもそうでした…勝負とは勝者がいれば敗者がいる事を忘れてはいけません……

私は今まで負けてきた方の分までベストを尽くさないといけないのです!!


「ユキナ…もう大丈夫です…ありがとうございます」


「初心を思い出して頂けたようでなによりです。」


「トルダさん…ごめんなさい……

沢山の方の想いを踏みにじる訳にはいきませんので、ここで倒させて頂きます。」


「……そう来なくっちゃ!! カエデを倒したくせに、先みたいな情けない顔されてたら敵討ちをしてもつまらないわ!」


「2対1で申し訳ございませんが、全力で倒させて頂きます!」


「望むところよ!」


トルダさんはタンクと言う事もあり、私達を倒す事は出来ませんでしたが、驚異的な粘りをみせて、トルダさんを倒した時にはヘトヘトで体が動きません……


「やはりお嬢様…お顔が優れませんね……」


「はい…勝負なので仕方ありませんが、あんなに優しい方達を倒さないと次に進めないのは辛いです……」


「そうですね。でも勝たなければなりません。」


「はい……カエデさんとトルダさんの分まで負ける訳にはいきませんので!」



初心者同士の戦いは私達の勝利で幕を降ろしましたが、

決して気持ちの良い勝負とはなりませんでした……












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