予選開始です!
公式イベント当日
昨日は早く寝れましたが、今日は少し早く目が覚めてしまいました……
最近こんなのばかりです。
早く起きた事を隠しても恥をかくだけですので、開き直って起床します。
「おはよう香織。今日"も"早いね」
階段を降りてると、お兄様と鉢合わせます。
「おはようございますお兄様。今日"も"は少し意地悪です。」
「どうせ、私はイベントが楽しみで早く起きてしまった、お子様ですよー」
「少し意地悪だったかな…ごめんね。
膨れてる香織も可愛いけど、笑顔の香織の方が何倍も可愛いから、機嫌を直してくれないかな?」
「もうお兄様ったら…そんな甘い言葉外で言ってはいけませんよ!」
「おや、香織が私に注意してくれるのかい?
香織も立派なレディだね」
「えへへ、もう高校生ですから」
「あっそうだ…午前中は父さんの所で、予選は観に行けないけど、午後は空いてるから本戦は行けそうかな」
「本当ですか!? 桃花ちゃんも喜びます!」
「それに、君達の師匠にも会ってみたいしね」
「師匠となぜお会いしたいのでしょうか?」
「まあ色々とね」
「そうですか……」
お兄様はなぜ師匠と会いたいのでしょうか?
聞いてもはぐらかされそうですし……
あっ!もしかして私達がお世話になってるので、お兄様も挨拶したいのかも……?
私が通路の真ん中で考えていると、後方から声がかかります。
「おはようございますお嬢様。通路の真ん中でどうなさいましたか?」
「おはようございます静華。いえ、何でもありません」
「左様ですか……」
「お嬢様いよいよですね。」
「はい! 本戦はお兄様も来られるそうなので、より一層頑張らないとですね!」
諸々準備を済ませ、気合いを入れてログインします。
「イベント開始2時間前なのに、もう人が沢山います!」
アインベルグの街はすでに沢山のプレイヤーで埋め尽くされており、このイベントの参加者が多い事が伺えます。
「やはりこのイベントは一筋縄ではいかないかもしれませんね。お嬢様はこれを見ても優勝狙いますか?」
「もちろんです! 沢山の方と約束しましたし、あの女の子には絶対に勝たないといけませんから」
「フェリシアちゃん。気合い十分やな」
「師匠! 早いですね!」
「フェリシアちゃんも早いやん」
「待ちきれなくて、早く起きてしまったので……」
「それだけ本気って事やからええんちゃう。
そう言えば、フィルちゃんはまだみたいやな」
「先ほどメッセージを送ったら、もうそろそろログイン出来ると返信がありました。」
「フィルちゃんが来たら、もう一度ルールの確認と作戦を練ろうか」
「分かりました」
暫く待つと、フィルちゃんがログインし、いつものカフェで作戦会議を行います。
「ここ隠れ家的な所で良かったのに、イベントの影響か…めっちゃ人増えたな……」
「なるべく端の席を確保したいわね」
何とか端の方の席を確保出来て、ケーキとお茶を頼みます。
「さて、まずはルールの再確認やな」
師匠はそう言うと、公式イベントのルールが載ったページを可視化します。
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ユーディストオンラインをプレイする皆様。いつもご利用頂きありがとうございます。
ユーディストオンライン運営事務局です。
第三回公式イベントの概要についてご説明致します。
本イベントはパーティー同士のバトルロイヤル形式で行われます。
プレイヤーを倒すことでポイントの獲得が出来ます。
時間内に、このポイントを最も多く獲得したパーティーの勝利とします。
~詳細~
・本イベントは予選と本戦、更に決勝戦の3つに分かれています。※参加人数によって、予選、本戦は複数試合することがあります。
・予選開始は午前10時。 試合時間は45分間
試合毎に15分のインターバルが設けられてます。
※参加人数によって午後に突入する場合は、1時間の昼休憩を挟みます。
・試合開始と同時に各パーティーは専用のフィールドへ転送されます。その際の転送先はランダムです。
パーティーが纏まった状態で転送される訳ではありません。
※後述の初心者マークが表示されてるプレイヤーの転送はパーティーリーダーと同じ場所になります。
・試合中、専用のフィールドのマップが公開され、
味方パーティーの位置が常に表示されます。
更にフィールド内のプレイヤー全ての位置が5分毎に10秒間だけ表示されます。
・1パーティーの人数は2~4名。1試合8~12パーティーで試合が行われます。
・プレイヤーを倒すことでポイントが獲得出来ます。
プレイヤー1人につき10ポイント
※初心者マークが表示されてるプレイヤーは後述の通りとする。
※獲得ポイントが同数の場合、各パーティーの残りのHPの総量の割合が高い方が勝利とする。
・パーティーが全滅した場合、獲得している全てのポイントを失います。
・本イベントではプレイヤーのHPが全損した場合、蘇生は出来ません。
・本イベントではアイテムの使用を禁止します
なおイベント期間中、このゲームを開始して1ヵ月以内のプレイヤーには、名前の横に初心者マークが表示されます。
この初心者マークを持つプレイヤーは様々な特殊ルールを採用しています。
・初心者マークがついたプレイヤーを倒した場合、獲得出来るのは5ポイントとする。
・初心者マークがついたプレイヤーがいるパーティーは、獲得ポイントが1人につき50%アップする。
・初心者マークがついたプレイヤーは、パーティーリーダーと同様のステータスを1つ得られる。
※時間は10分間 1試合3回まで 併用不可
・初心者マークがついたプレイヤーは1度HPを全損しても1度だけ復活することが出来る。ただし復活場所はランダムとする。
・初心者マークがついたプレイヤーはパーティーリーダーにはなれない。
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「分からんところあったら答えるから、何でも聞いてや」
「改めて確認すると、初心者に有利ですよね」
「そうね。私達のパーティーだと初心者マークが3人いるから、プレイヤー倒した時の獲得ポイントが2.5倍だものね」
「いやいや、それはフィルちゃん達やからそう思うねんで。
普通の初心者はこのルールでも結構キツイはずや。」
「そうなの?」
「ベテラン1人と初心者3人のパーティーで、ベテラン4人のパーティーと渡り合えると思うか?」
「無理ね……」
「だから、初心者が多いパーティーの戦術は敵が揃う前に素早く叩くことや。
初心者以外はパーティーがバラバラに転送されるから、浮いたプレイヤーを狩ることが出来るねん」
「確かに、1対4に持ち込めばこちらが圧倒的に有利ね」
「そう言うことや。ただ、このパーティーは初心者詐欺やから開幕から狩るのはもちろん、そこら辺のベテランパーティーでも勝てると思うで」
「初心者詐欺って……他の所より有利なのは違いないわね」
「ああ、くじ運にもよるけど予選は楽勝やないかな」
「師匠! 油断は禁物ですよ!」
「お、おう……」
「シア。昨日よりもずっとやる気満々ね」
「だって、本戦にはユーピョンさんだけじゃなく、お兄様も応援に駆けつけてくれるそうなので」
「えっ!? 司さんが!?」
「司君ってのが、フェリシアちゃんの兄ちゃんなん?」
「あっ……リアルネーム出してしまったわね……シアごめんね」
「いえ、私もお兄様のプレイヤーネーム知らないので……」
「フェリシアちゃんの兄ちゃんはこのゲームいつからやってんの?」
「ユーディストオンラインが発売した頃からプレイしてるそうです」
「リリース直後か……フェリシアちゃん並みにプレイヤースキルが高いならかなり有名なプレイヤーか…?」
「お兄様は私よりもずっと強いですよ」
「マジか……大体誰か目星ついたわ」
「そう。」
「あれ? フィルちゃんは知りたくないのですか?」
「午後になれば分かるでしょ」
いつもだとお兄様の事となると夢中になるのに……
師匠の手前、恥ずかしくて控えめになってるのかな?
そう思いフィルちゃんの方をチラッと見ると、集中した横顔が見えます。
フィルちゃんも気合い十分ですね。
私も負けてられません!
「優勝まで大体何回ぐらい勝てば良いのでしょうか?」
「うーん、概要には予選と本戦は何回かやるって書いてるから何とも言えんけど、今のユーザーが約200万人やから、その内の3割…60万人が参加したとすると…えー大体15万パーティーが参加する計算になるな……」
「3割も参加するかしら?」
「前回のイベントは参加率4割やったで」
「4割……このゲームやってる人は暇なのかしら」
「辛辣やな……
計算の続きや、1組8~12パーティーらしいから平均して10パーティーで計算するか……
仮に15万パーティーやと、4回戦えば15パーティーまで絞れるな。
そこからどう絞るか分からんけど、大体5回か6回勝てば優勝できそうやね」
「5回か6回ね……1試合45分だから結構長引きそうね」
「まあ、あくまでも俺の予想やから、増減はあると思うで」
「予想よりも多いと面倒ね……」
それから私達は、作戦の確認やスキルの確認を行い、最終調整を行いました。
イベント開始10分前になると急にメニュー画面が開き音声と映像が流れます
『にゃんにゃにゃーん♪』
『プレイヤーのみんにゃおはようにゃー』
「なんなの…この全力で媚びたような猫は」
「えっ!? 可愛くないですか?」
「あの死んだ魚のような目と全身真っ黒の猫のどこが可愛いのよ……」
そこが可愛いと思うのですが……
『にゃーは黒猫騎士団団長のエスパーニャだにゃ』
『今回のイベントの進行役にゃので、よろしくにゃー』
『今回のイベント参加申請をあげたパーティーの数は
ダン!ドュルルルルルルルルルルルルルルル パン!
111万5,136パーティーだにゃん!』
「マジかよ!? 多すぎやろ!」
「ドラムロールを口で言うのね……」
『全プレイヤーの大体半分の数にゃん。
多すぎだにゃん。暇なヤツばかりだにゃー』
「あの猫中々辛辣ね……良い所ないじゃない」
あれ?……フィルちゃんも似たような事言ってませんでしたか…?
『こんにゃに人数が集まるにゃんて思ってにゃかったから、組分けが大変だったにゃ……』
「猫さんも大変そうですね……」
「いやいや、アイツが組分けしてる訳じゃないで」
「でも、あんなに疲れた顔をしてます……」
「そういう演技や……」
『今回のイベントは予選3回、本戦2回、決勝戦1回で行うにゃ。
予選1回目は11パーティーが競い、トップだけが次に進むにゃ
予選2回目は9パーティーが競い、トップだけが次に進むにゃ
予選3回目は8パーティーが競い、トップだけが次に進むにゃ
ここまでが予選にゃ。
予選が終わると昼休憩1時間があるにゃ。』
「初戦は11パーティーもいるんか……」
「フィールドの広さによっては運も必要になってくるかもね……」
『次は本戦にゃ。
本戦1回目は11パーティーが競い、上位2パーティーが次に進むにゃ。
本戦2回目は8パーティーが競い、トップだけが次に進むにゃ
それで、決勝戦は8パーティーで戦い、1位から8位の順位を決めるにゃ。
あと、棄権等は組分けが面倒にゃので考慮しにゃいぞ』
「本戦1回目は2位でも通過出来るのはありがたいな」
「あら、私は一度も負けるつもりはないわよ」
「私もです!」
「当然です!」
「……うちの女性陣は頼もしい限りやで」
『あと、ルールを読んでにゃい愚か者はいにゃいと思うから飛ばすにゃ。
あと5分で予選1回目が始まるので、準備するにゃ。
準備不足で敗退にゃんて無様をさらしたヤツは叩き切るにゃ!』
猫さんの言ってたように、私達は最終準備を行い時が来るのを待ちます。
時計が10時になると、ゲームをログインした時みたいに、目の前が真っ白になり、見知らぬ草原に降り立ちました。
『第三回公式イベント 826組 予選1回目開始にゃ!』
こうして戦いの火蓋が切られます!




