第39話
放課後、久々に部室を訪れた雫は
テキパキと仕事をこなしていた。
既に何人かはそれぞれのトレーニングを開始し
グラウンドで汗を流している。
それに合わせるように必要になるであろう
用具や機材を予め準備をしてる、
そんな最中の彼女へとそれは唐突に訪れた。
「……せーんぱいっ♪」
「きゃっ!って五月ちゃんっ!」
気配を完全に消し去る見事な技で
雫を後ろから抱きすくめる五月。
もちろん、いつも通りの小さめな胸への挨拶も忘れない。
ぷにぷにと揉みこむ感触に恍惚とした五月、
その隙に雫はすかさず緩んだ手からすり抜け
五月へと対面する。
「全くもう……本当に五月ちゃんは……」
「えへへっ、すいません雫先輩♪」
悪びれる様子もなく、でもいつも以上に楽しそうな五月、
それに気づいた雫はその疑問を素直に口にした。
「五月ちゃん、なんだかいい事でもあった?」
「えっ?わかります?」
普段ならもっと雫をからかいながら本題に入るところ、
なのに、今日はそれを素っ飛ばしている。
本人すら気づいてないそのことから
五月からは話したくて堪らないオーラが出ているのを感じた。
なので雫は無駄に問いかける事なく無言で先を促した。
「実は、紗英と仲直り出来まして、」
「本当にっ!?よかったね、五月ちゃんっ!」
ハイッ!と元気な返事を返しながら嬉しそうに微笑む後輩に
雫もどこかほっこりした気持ちになる。
それも当然であった。
ここ暫く会話をしてもどこか上の空だった五月。
それこそ雫をからかいながらも、ふと見せる顔は
寂しげで雫の心をも暗くさせた。
明るくひまわりのように笑う五月を取り戻すため
彼女から事情を聞いて、友人にまで頼んで解決したかいはあった。
それが報われた笑顔が目の前にあり嬉しくないはずがない。
そのことをゆっくりと噛みしめながら
脳裏に浮かんだ楓のほくそ笑んだ顔に背筋を凍らせる雫であった。
あけましておめでとうございます、作者です。
そんな訳で今年一発目の投稿です。
内容は短めですが(笑)
引き続きお読み頂けると幸いです。
今年もよろしくお願いします。
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