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雫から始まる物語  作者: あまやすずのり
38/70

第38話

『ありがとうございました、無事仲直り出来ました。』

 それは午前の授業の合間に届いた1通のメールだった。

 差出人はやりとりを始めたばかりの気になる女性。

 普通であればそれこそ飛び上がるくらい喜ぶものだが、

 簡潔にまとめられた文章を見た進は

 人知れず小さなため息をついていた。

 昨日の段階で予想は出来ていた事、

 五月と紗英を取り持つ役割はこれにて終了した。

 それ自体進は多少残念、ではあったが、

 それ以上にこの後に控えた約束をどう果たすかを考えると

「全く、本当に……」

 自然と吐息が漏れてしまうのだった。

 そして、そんな彼を目敏く見つける一人の人物がいた。

 バンドでまとめたポニーテールを優雅に揺らしながら、

 狙いを定めた獲物の視線で進の背後へとスススッ、と近寄ると

「元気ないね、遠藤 進」

「うぉっ!……って、なんだ楓か」

 小さく叩かれた肩に反応して振り向いた先には

 ヒラヒラと手を振る同僚がいた。

 進を驚かせたことに悪びれる様子もなく

 今日も女子生徒の黄色い声援を背中に受けながら佇む楓。

 中学時代から同じ部活で過ごした仲間は

 いつもと変わらぬ少し意地悪な笑顔で進の様子を覗き込む

「ふむ、悩みごと、かな?」

「別に、そんなもんじゃない」

 そう言いながらそっぽを向き歩き出す進。

 ぶっきらぼうに突き放す態度、

 その外見とは裏腹に心の中はざわついていた。

 それは今一番合いたくない相手だったからだ。

 何かと世話焼き、というか、からかうのが好きな楓、

 中学時代、特に親友であるはずの雫で散々遊んでいた事は

 記憶にも新しい。

 しかし、当の雫とは高校進学時に別々となり、

 新たなターゲットが必要となった。

 その生贄が実は進であった。

 楓曰く、

『雫よりはさっぱりしてるけど、どこか濃厚で美味しい』

 意味不明であったが、ターゲットにされてしまった進は

 幾度となく酷い目にもあっていた。

 だから今もネタを提供しまいとサッサとその場を退散しようとしたのだが、

「まーまー、お姉さんに任せないって」

 しかし、楓もそう易々と逃がしてはくれない。

 進の態度で全てを読み取ったように

 後をつけ、さらに追い打ちをかけるように言葉を放つ。

「五月ちゃんの事ならお姉さん詳しいから」

「なっ!……んで」

 五月という単語に思わず足を停め反応してしまった進、

 そして、後悔した、だがもう逃げられない。

 目の前には陰謀抱えた側近のようなニッコリ笑顔で

 楓がある所を指さしていた。

 その先にある場所、それは校内の学生なら誰しもがわかる場所。

 そして、認めたくないがそこそこの付き合いになる

 楓が求めているものを理解し、進は気が重くなる。

 それこそ先程よりも深いため息が漏れながらも

 視線で小さく頷く道しか進には残されていなかった。

こんばんわ、作者です。


2017年ももう終わりですね。

まずは今年から始まったこの小説にお付き合い頂きありがとうございます。

来年も引き続きお付き合い頂けると大変嬉しいので是非よろしくお願いします。


さて、来年の始動ですが、1週お休み頂きまして

1月11日に投稿予定です。

私の都合で申し訳ないのですが、どうぞよろしくお願いします。

それでは、よいお年をお迎えください。


ここまでお読み頂きありがとうございます。

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