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雫から始まる物語  作者: あまやすずのり
40/70

第40話

「ただいまー、っと」

 誰もいない室内へいつものように声を響かせる。

 平日はおろか休日すら日中はほぼ人がいない家で

 万が一の侵入者と鉢合わせないために始めた儀式的な行動も

 今日はどことなく億劫でならなかった。

 だからいつものように手洗いうがいを済ませ、

 無造作に鞄を投げ出すと進は間髪入れずにソファーへ身を投げ出していた。

 触れた瞬間、小さく響いた空気が抜ける音がなる。

 それに呼応するように体がゆっくりと沈んでいき、

 心地よい布の感触が進の体と心に浸み込んでいく。

「ふぅ……」

 小さく息を吐きながら瞼がそのまま落ちそうになる寸前、

 進はそれを阻止するかのように体を回転させた。

 仰向けになった視線の先の天井を見上げながら、

 思い出したかのように学生服のズボンから

 スマホを取り出し操作する。

 ゆっくりとスライドしないくメールを眺め、

 そして、唐突にその手は一つのメールで止まる。

 五月から送られてきた仲直り出来たメール。

「……もう2週間以上も経ったのか……」

 確認した日付に酷く懐かしさが感じられる。

 それはつい最近の出来事のような気がしたのに。

 それくらい進にとって大きな出来事で

 印象に残ったやりとりがあの頃は続いた。

 だからこそ、今日来た最新のメールへの戸惑いは大きかった。

 今一度確認すべくまた指で目的のメールを拾い上げ

 画面に映す。

 差出人は『柊 紗英』

 あの日、小雨降る日曜日に

 二人で話し終えた後に教えてもらったアドレスからだった。

 授業が終わり、部活前の束の間に届いたメール。

 それは紗英からの始めてのメールだった。

 だからだろうか、

 当初は一度内容を見送ろうかとも躊躇した。

 なぜかは分からない、

 本能がどことなくその内容に警笛を鳴らしていた。

 しかし、好奇心にも似た誘惑には勝てず

 その場で内容を確認してしまい、そして後悔した。

「あぁ、もうどうするんだよ、俺は……」

 その内容は進にとってはチャンスであった。

 紗英と交わした約束、それを果たす良い機会になるのでは、

 そう思えた。

 だが、如何せんそこまでの道がまだ出来ていなかった。

 現状、まだ五月ともまともにしゃべる機会がないのに、

 それを通り越して、

「……でも、いつまでも紗英さんを待たす訳にもいかないし」

 そう、紗英は約束についていつまでも待つ、

 とは言ってくれた。

 だが、それは進にとって、

 いや、男としてあまりにも格好悪いのではないか。

 そう進には思えて仕方なかった。

 だから、今回の件を足掛かりに、

「あぁっ!もう足掛かりじゃなく一気にっ!……」

 手に持ったスマホを投げ出し髪をかきむしる。

 何ともうまくまとまらない自分の頭にむしゃくしゃしながら

 誰もいない一軒家に大声を響かせる。

 そして、そのまま進の悩みは深夜まで続くのだった。

こんばんわ、作者です。


長い、長いですねー

なんと40話まで来てしまいました。

正直びっくりしてます(笑)

でも、まだ続きます、

結構終わりには近づいてはいるのですが、ね(笑)

ペースは相も変わらず週1ですが、しっかり守って

最後まで突っ走りたいと思いますので

お付き合い頂けると幸いです。


ここまでお読み頂きありがとうございます。


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