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第52話 復活の是非

「さて、じゃあ、まずはある程度お腹を膨らませてから話そうか。」

 作戦成功の祝いか、パトリックが昨日より少し豪華な夕食を手配してくれた。

 

 パトリックのオフィスに戻った後、潜入班は夕食まで一旦休憩することにし、パトリックとマリットは例のメモリースティックの解析を進めていた。

 ちなみに、「嬉しい叫び声宣言」をしていたマリアの、入室後の第一声は、

『いえーい!みんな、お疲れー!!フゥーーーーー!!!』

だった。


「いやぁ、働いた後の飯はうまいねえ!」

「ソーレン、お前さんは受付でごねたぐらいなんだろうに・・・。」

「いや、本当に助かったんですよ。ソーレンさんいなかったら終わってました。マジで。」

『ワタシの完璧なサポートにも言及してよ!おいしいところだけ持ってったソーレン、ずるい!』

「とりあえず、あの子の相手は、・・・もうしたくないわねえ・・・。」

 まだ会話に潜入作戦の興奮が残る中、賑やかに食事が進んだ。


「さて、あのメモリースティックを解析した結果だが・・・。」

 料理を一通り食べ終え、マリットが話し出す。

「一言で言えば、あれは鍵だな。おそらくは、『アレルヤ』の。」

 「アレルヤ」の鍵。その言葉の意味をはかりかね、スタン達は続く言葉を待つ。

「Record”A”の記録に寄れば、現在の社会システムは、アレルヤのコアシステムの一部を復旧して使っている、となっていたな。つまりおそらく、『アレルヤ』そのものは死んでいない。」

「じゃあ、なんだ・・・?つまり、そのメモリースティックがあれば、『アレルヤ』は復活するってことか?」

 ソーレンが身を乗り出して確認する。

「おそらくは、そうだろうね。」

 パトリックがマリットに代わり答えた。

「僕としては、すごく興味があるよ。政府や調停者が必死に否定して隠蔽する存在。でも、もし復活したら、今の世の中をひっくり返しちゃうだろうねえ・・・。」

 パトリックが示唆したのは、革命の可能性。

 今まで白いとされていた物が黒かった、となれば、本当に、世の中はどうなってしまうのか。ついこの前、政府や調停者と向き合うことを決心したスタン達ではあったが、「アレルヤ」について追求する先が、社会変革に行き着くという事実に、ひるんでしまう気持ちが自覚された。しみじみと言ったパトリックの後に続く言葉を、なかなか皆、紡ぐことが出来ない。

「私としては・・・」

 マヤが沈黙を破る。

「『アレルヤ』を復活させられるというなら、してみても良いと思う。変化を恐れて何もしないというのは、政府が、調停者がやっていることを肯定することと同じじゃないかしら。」

 鋭い語気で言った。その口調から、政府や調停者への怒りが感じられた。

「その変化の結果、誰かを傷つけたとしたら、我々のやっていることが、調停者と変わらないということになりはしないかね?」

 マリットが問題提起すると、マヤは少し眉をひそめる。迷いが全くないわけというわけでもないのだろう。

「いや、それはそれとして置いておいて。そのメモリースティックを、どうすれば『アレルヤ』を復活させられるんですか?」

 行き詰まりそうな大人達を尻目に、スタンが素直な疑問を口にする。

「おそらく『アレルヤ』の本体データに接続できれば・・・。でも、『アレルヤ』本体のデータの保管場所が、分からないんだよねえ。」

 パトリックが、暢気な声で言った。

「なんだよ。じゃあ、どうにも出来ない話で揉めたって仕方ねえじゃねえか。ウォズの残した手がかりも、もうないし、どうするよ?」

 ソーレンがある意味、前向きに議論を諦めるよう主張し、今後の行動について問う。

「しばらくは、調査だろうな。幸い、ここバルデニアはいろいろな情報にアクセスしやすい。しばらく滞在しながら調べを進めよう。」

「・・・。それでいいわ。」

 マリットの提案にマヤも同意を示し、他の一同も頷いた。

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