表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/70

第44話 バルデニアヘ

『うーん。やっぱりなんか、玄関から道路に出るまで無駄に遠くなったって感じがする・・・。』

 マリアがよく分からないたとえで、不満と違和感の入り交じった声を出す。

「我慢しろよ。捕まって消されるよりマシなんだから。」

 以前に比べると一瞬の間が空いて、マリアが言い返す。通信にタイムラグが発生しているようだ。

『助かったことに感謝はしてるけど、QOLって大事だよ?人間だったらストレスで生活習慣病になるよ?』

マリアとスタンのやり取りを聞きながら、マリットが半分呆れを含んだ感心の声を出す。

「まさか、あのわずかな間にバックドアを仕込んでいたとはな。」

 マリアがウォズの館から逃げた先は、ついこの前忍び込んだ、「旧クラッグフェル空軍研究所」のコンピュータだった。

「『調停者』に追われ始めたときから、あの館が見つかったら、マリアが逃げられないなと思ってて。緊急避難先について考えてたんですよ。あそこなら、警備は万全だし、スパコンの性能的にも申し分なかったから・・・。」

 電波の届かない地域ではあったが、研究所の施設は有線通信がつながっていたことを確認し、いつでもマリアが逃げ込めるように準備していたのだ。

「しかし、あのいたずらはやり過ぎだったんじゃないか?いまごろ『調停者』達もキレ散らかしてるかもしれないぜ?」

 言葉とは裏腹に、ニヤニヤしながらソーレンが言う。

「思いついたのはスタン君でも、最後はあなたの方がノリノリだったじゃないの。・・・でも、私達の反撃の狼煙としては、悪くなかったんじゃない?」

 いつもは窘めるマヤも、今回は少し楽しそうだ。「調停者」に立ち向かう決心が、気持ちを高ぶらせているのかも知れない。

「何にせよ、危機は脱することが出来たし、こちらの行動を読みにくくさせることも、ある程度出来ただろう。上出来だよ。」

 マリットがまとめ、スタン達は明日のバルデニア・サイエンス・シティ行きに向けて、各自準備を整えるのだった。


「さて、ではまた出掛けるよ。ローサ。」

「行ってらっしゃい。みんな、無事に帰っておいでよ。」

 翌朝、にこやかにローサに送り出され、スタン達を乗せた車は、少し離れた街の、ターミナル駅に向かう。バルデニア・サイエンス・シティへは距離があるが、鉄道が通っているので、高速鉄道で向かうことにしたのだ。

「俺とマリットさん、一応変装っぽいことはしてますけど、大丈夫ですかね?監視カメラとか。」

 帽子とメガネを掛けたスタンが言った。マリットは長髪のカツラにマスクを付けている。

「まあ、大丈夫じゃないか?警察に指名手配されてるわけじゃ」

『大丈夫だよ。ワタシが途中のカメラをハックして良い感じにごまかすから!』

 ソーレンが考えを言っている最中に、マリアの声がかぶる。昨日、研究所のスパコンに本体を移してからというもの、時々こういう事態が起こる。

「悪い、マリアちゃん。」

『いや、ワタシもごめん。・・・でも、こういうことよ、スタン。思い通りおしゃべりできないのはストレスなのよ!』

 思いもしない当てつけを食らい、スタンも少しムッとするが、マヤが口を挟んだ。

「マリアちゃんのQOLは、まあ・・・置いておいて、このタイムラグは、バルデニアで次期先端技術研究所に忍び込むときに、ネックにならないかしら?」

 ややあってマリアが返す。

『置いておいてって、マヤさん、ひどーい・・・。けど、そうだよ。このタイムラグは何とかしないと不安要素だよ!』

 マヤの不安にマリアが乗っかったところで、マリットが言った。

「こういうとき、持つべきものは頼りになる仲間だよ。バルデニアにはパトリックがいる。エクスキタティには優秀な人材がそろっとる。」

 新しい仲間との出会いを予感させ、一行はバルデニア・サイエンス・シティへ向かう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ