第41話 マリアのプラン
「さて、では次の行動だな。ウォズの残した最後の座標・・・。これもまた、厄介な場所だな。国立次期先端技術研究所だ。」
マリットが地図上で示した地点。国立次期先端技術研究所は、広大な敷地を持つ複合研究拠点都市内にある。大学と研究施設、それを支える発電所、それらに関係する人材が暮らす街が一つになった「バルデニア・サイエンス・シティ」という都市だ。
「クラッグフェルに比べれば、バルデニア・シティへの潜入自体は簡単だろうな。でも、先端技術研究所の中に入るのは難しそうだ。現役で動いている施設だもんな。」
ソーレンも難易度が高いと考えて顔をしかめる。
「大丈夫ですよ。」
スタンが心配する2人の言葉をよそに言った。
「バルデニアなら、電波もバッチリです。マリアの力が100%発揮できます。」
「あ、そうか!」
ソーレンがマリアの力を思い出し、明るい顔になる。
『もう、クラッグフェルで力になれなかったからって、ワタシが超優秀だってこと、忘れないでよね!』
マリアがソーレンに抗議し、ここぞとばかりに主張した。次の機会に協力できそうなことが、マリアもうれしいのだろう。
「でも、人目はクラッグフェルに比べると確実に多いわよ?マリアちゃんの助けを借りたとしても、本来いるべきでない人間が見つかれば、怪しまれるのは間違いないわ。」
マヤがなおも残る不安点を挙げた。しかし、マリアは自信満々に
『まっかせて!超優秀なマリアちゃんは、幸運にも恵まれていて、こんな情報をキャッチしたのです!マリットさんのノートPC、借りるよ!』
と言うと、マリットのノートPCに、あるwebページを表示した。
「ふむ・・・。『国立次期先端研究所オープンデー』?明後日の日曜日か。なるほど、学生達の学年末が近いから、こういうイベントが予定されているんだな・・・。」
マリットが画面の内容を読み呟く。
「つまり、このオープンデーの参加者として潜り込めば、怪しまれることなく、ひとまず内部には入れるということね。良い情報を見付けてくれたわね。マリアちゃん。」
『今回は、大いにワタシを頼らせちゃうからね!』
マリアは得意満面な笑みだ。
「つまり、俺がオープンデーに参加した学生ってことで、潜入するんだよな。」
スタンはマリアの計画を想像して確認する。
『そ、マヤさんがお母さん役で、スタンが学生役。あんまり大勢でも変だから、今回はマリットさんとソーレンが待機組ね!』
もう具体的な潜入プランまで考えているマリアに、脱帽という表情をするスタン達だった。
「マリア君のプランそのままでいけそうだな。よし、準備を整えて、明日、バルデニア・サイエンス・シティへ向かおう!」
マリットが次の行動を宣言すると、マリアがノリノリで応じる。
『おお~~っ!・・・お?おわあ!わっわわわわ!!』
威勢の良いかけ声の後半が素っ頓狂な声に変わる。
「なんだよ?マリア。ふざけてんのか?」
スタンがため息をつきながら聞く。だがマリアは真剣な声で返した。
『ふざけてなんかない!まずいよ!ウォズさんの館に、トレイス先生が、「調停者」が来た!!』




