第22話 接触
3人は静かに車を降り、廃屋の玄関に向かった。そっとドアノブに手を掛けると、鍵は掛かっていないようだ。
「前はロックが掛かってた。間違いないわね。誰かがいる。」
そのとき、再びマヤの端末にメッセージが届いた。
【キッチンの隅の床に地下室への入り口がある。入ってきて。そこでワタシ達は待ってる。】
「少なくとも相手は2人以上いるようね・・・。」
マヤはソーレンとマリットに画面のメッセージを見せながら、廃屋の中に入っていった。
キッチンへ向かうと、大きなカーペットがめくられて、地下室への入り口があらわになっている。
「行きましょう。」
3人はうなずき合い、果敢に地下室への階段に踏み入っていく。
1段、2段、下っていくと地下室の床に座っている人間の足が見えた。ジーンズと派手な靴下。予想よりもカジュアルな出で立ちに違和感を感じる間もなく、全身が見えて3人はさらに驚いた。
「え、子ども・・・?」
スタンは虚勢混じりに明るく、
「こんばんは!」
と手振り付きで挨拶をした。
「おいおいおい、どういうこった!?なんでガキ?なんでガキがウォズの拠点にいるんだ?」
ソーレンが訳の分からない状況に少し苛立ちながら言った。マヤが声を掛け制止する。
「落ち着きましょう、ソーレン。確かに予想外で訳が分からないけど、失礼よ。えーと、あなた?」
自分の方に声を掛けたマヤに、スタンは答える。
「俺・・・、いや僕は、スタンって言います。」
「ほう、スタン君か。私はマリット。こっちのうるさいのはソーレンと、この美人さんはマヤだ。・・・ところで、君は何者だ?」
マリットが自己紹介をして応えるとともに、鋭くスタンに聞いた。
「えーと、俺は・・・」
スタンが、いざ聞かれて何から説明しようか迷っていたところで、マリアが口を挟んだ。
『はい!はい!ワタシもいるよ!』
スタンのウェアラブル端末から響いた声にマヤ達3人は一瞬ビクッとなったが、すぐに端末からの声だと理解して、聞いた。
「そういえば、『ワタシ達』・・・あなたの他に、もう一人いるのよね?その声は女の子?どこか離れた場所にいるのかしら?」
聞かれたスタンは、ウェアラブル端末と3人を交互に見て、少し考えてから言った。
「目の前に・・・います。」
スタンの回答にソーレンが食いつく。
「おい、ふざけてんのか?お前1人しかいないだろうが!」
『スタン、選択間違ったんじゃない?ちょっと頼りにならなそうじゃない?このおじさん。』
「んなッ!?おじさん!?」
マリアの言葉に、さらに激高しそうになるソーレンを、またマヤがなだめた。
「まあ、待ってソーレン。スタン君?ここには確かにあなた1人よね?後ろに誰か隠れてる様子もない。後ろの壁は一面コンピュータじゃない。」
「その、コンピュータです。」
スタンは、3人に向かって言った。
「後ろにあるスパコンが生み出したAI、それがマリアです。」
『よろしく!』
マヤ達3人は、一瞬掛かってスタンの言葉を理解した後、目を見開いて驚愕した。




