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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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日記1-3

生活費(せいかつひ)とは?

家(いえ)の中(なか)へ入(はい)ると母(はは)が怯(おび)えた顔(かお)で私(わたし)を出迎(でむか)えた。


「ちょっと、お父(とう)さんに何(なに)をしているの」

母(はは)が震(ふる)える声(こえ)で私(わたし)に聞(き)いた。


「生活費(せいかつひ)はどうした?親父(おやじ)は貰(もら)ってないと言(い)っていた。」

母(はは)の顔(かお)が引(ひ)きつる。


「聞(き)き間違(まちが)いよ。」

母(はは)の目(め)が泳(およ)いでいる。


「私(わたし)の通帳(つうちょう)を出(だ)せ。どこだ?」

私(わたし)は、やや早足(はやあし)で母(はは)に詰(つ)め寄(よ)る。


「嫌(いや)よ!あれは私(わたし)のお金(かね)よ!」

次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)、私(わたし)は母(はは)の襟(えり)を左手(ひだり)で掴(つか)んで引(ひ)き寄(よ)せながら、母(はは)の顔面(がんめん)に右(みぎ)ひじを入(い)れていた。


母(はは)はそのまま崩(くず)れ落(お)ち、うずくまった。


私(わたし)は母(はは)をそのままして、リビングの引(ひ)き出(だ)しを物色(ぶっしょく)した。

あった、私(わたし)の通帳(つうちょう)と印鑑(いんかん)だ。


「なんだこれは…」

残金(ざんきん)861円(えん)

600万円(まんえん)あった金(かね)が全(まった)く残(のこ)っていない。


私(わたし)は再(ふたた)び母(はは)の襟(えり)を掴(つか)み立(た)ち上(あ)がらせた。


「カネは?」

純粋(じゅんすい)な疑問(ぎもん)だった。


「無(な)いわ。使(つか)ってしまったもの。」

私(わたし)の顔(かお)を母(はは)は見(み)ていない。

再(ふたた)び頭(あたま)の中(なか)が白(しろ)くなる。


「この嘘(うそ)つきの泥棒(どろぼう)が!」

私(わたし)は母(はは)をそのまま片手(かたて)で、背負(せおい)い投(な)げてリビングの机(つくえ)に叩(たた)きつけた。


叩(たた)きつけた勢(いきお)いで振(ふ)り回(まわ)し、今度(こんど)は柱(はしら)に母(はは)を叩(たた)きつけた。

更(さら)に脚(あし)が折(お)れたリビングの机(つくえ)を両手(りょうて)で持(も)ち、倒(たお)れていた母(はは)へ叩(たた)きつけた。


「うおお殺(ころ)してやる!」

私(わたし)は雄(お)たけびを上(あ)げた。


「お前(まえ)の…育(そだ)て方(かた)を…間違(まちが)えた…」

母(はは)の言葉(ことば)が私(わたし)を正気(しょうき)に戻(もど)した。


同時(どうじ)に涙(なみだ)が出(で)た。


こいつらは、最低(さいてい)だ。

最低(さいてい)な親(おや)が私(わたし)の両親(りょうしん)なのだ。

私(わたし)は何者(なにもの)なのだ?


私は…何(なん)なのだ?


私(わたし)の心(こころ)はひどく傷(きず)つき、少(しょうしょう)々焼(や)けた手帳(てちょう)を手(て)にして、涙(なみだ)を流(なが)しながら自分(じぶん)の部屋(へや)へ戻(もど)った。


私(わたし)をこの記憶(きおく)が責(せ)める。

父(ちち)と母(はは)をこの手(て)で打(う)ちのめした。

私(わたし)の中(なか)では正(ただ)しい事(こと)だが、常識(じょうしき)では、世間(せけん)様(さま)では、この行為(こうい)は悪(あく)なのだ。

私(わたし)は悪(あく)なのか。

その事実(じじつ)がトゲとなり、心(こころ)に刺(さ)さって抜(ぬ)けない。


痛(いた)い。


心(こころ)が痛(いた)い。


書き溜めています。時間がかかるかも

2017.7.10

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