表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
61/78

日記7

本物ほんもの裁判さいばん 2/2

強盗傷害ごうとうしょうがい実刑じっけいさんねん執行猶予しっこうゆうよごねんか。初犯しょはんにしては随分ずいぶんおもたい処分しょぶんだね。」

グレーのスーツを老紳士ろうしんし書類しょるいている。


報酬ほうしゅうは1いちわりでいいかな。」

老齢ろうれい弁護士べんごし先生せんせいと、わたし交渉こうしょうしていた。


わたし弁護士べんごし事務所じむしょた。


会社かいしゃ部長ぶちょう土下座どげざして、弁護士べんごし先生せんせい紹介しょうかいしてもらったのだ。


課長かちょうには「民事裁判みんじさいばんなんて時間じかんかる!そんな時間じかん使つかうぐらいならはたらけ!じゃなきゃめちまえ!」などと罵声ばせいもらった。


「それはおまえ都合つごうであって、おれ都合つごうじゃねえんだよ!無能むのう営門えいもん幹部かんぶが!ひと都合つごう口出くちだすな!」と天下あまくだりで入社にゅうしゃした元自衛官もとじえいかん幹部かんぶのおかざ課長かちょうに、わたしってかってだまらせた。


わたし元自衛官もとじえいかん大嫌だいきらいだった。

くちばっかりで仕事しごと出来できない。

かえせば簡単かんたんだまる。

現場げんば気分きぶんまわす、害悪がいあくばっかりだった。


わたし休職きゅうしょくねがいをして、民事裁判みんじさいばん専念せんねんすることにした。


一億いちおくぐらいってやれ。」

部長ぶちょうわたしあおってくれた。



そして弁護士べんごし事務所じむしょはなしをしていた。



「それでかまいません。わたしはおかねしいんじゃないんです。かれらがまった反省はんせいしていないのがゆるせないのです。」

わたし感情的かんじょうてき言葉ことばを、しずかに先生せんせいつたえた。


かった。まかせたまえ。」

弁護士べんごし先生せんせいゆがんだわらいをせて、わたし安心あんしんさせてくれた。


わたし貯金ちょきんくずし、現金げんきんあるいていた。

先生せんせい提示ていじした金額きんがくを、先生せんせいまええるようにかぞえ、どさりとテーブルにいた。


契約成立けいやくせいりつだ。きみあくたいして、すべ円満えんまんに、きみのぞむように解決かいけつしてあげよう。」

先生せんせいはおかねにせず、タバコをはじめた。


「ありがとうございます。」

わたし弁護士べんごし先生せんせいあたまげて、こころそこから、あくに対して社会的しゃかいてき復讐ふくしゅう出来できことで、笑顔えがおおさえること出来できなかった。



地方ちほう裁判所さいばんしょ調停室ちょうていしつ


わたし先生せんせい合流ごうりゅうして、加害者かがいしゃ関係者かんけいしゃっていた。


「いいかい、くあるのだが、感情的かんじょうてきになって、相手あいて直接ちょくせつ攻撃こうげきしてはいけないよ。とく暴力ぼうりょくはいけない。」

弁護士べんごし先生せんせいしずかな部屋へやで、ささやくくようにわたしった。


「わかっています。」

わたし復讐ふくしゅう暴力ぼうりょくではない、金銭きんせんによる経済的けいざいてき制裁せいさいくわえることにあった。


しばらくしてから、ガラのわる未成年みせいねん男性だんせい、その両親りょうしんおもわれる3さんにんが、調停室ちょうていしつはいってきた。


ほかにはだれなかった。

刑事裁判けいじさいばんうそをつき、ヒステリックにさけんだ加害者かがいしゃ母親ははおや親族しんぞくも、だれなかった。


強盗犯ごうとうはん全員ぜんいんで6ろくめいだったのだが、実行犯じっこうはん先日せんじつ刑事裁判けいじさいばんの2にめいまえ未成年みせいねん1ひとり

のこりの3さんめい実行じっこうにはくわわらず、警察けいさつから厳重注意げんじゅうちゅういをされて見逃みのがされたのだ。


未成年みせいねん男性だんせいは、強盗傷害ごうとうしょうがいくわわりながらも、19さいという年齢ねんれい考慮こうりょされ、補導ほどうというかたち保護観察ほごかんさつとなっていて、こうして調停ちょうてい出廷しゅっていしたのだ。


かれはガムをみながら、一切いっさいわたしわせず、椅子いすにふんぞりかえっていた。


そのクソ野郎やろう両親りょうしんが、わたしまえちいさくなっている初老しょろう男性だんせい女性じょせいだった。


今更いまさらながらおもうが、少年法しょうねんほうというものはクソだなとおもう。

たった1さいちがうだけで、法律ほうりつまもられ、どんなわることをしてもゆるされる。

新聞しんぶんやテレビに名前なまえさらされることもなく、成人せいじんしたらぬくぬくと就職しゅうしょくなり、仕事しごとち、家庭かていてるのだとおもうと、苛立いらだちで全身ぜんしん逆立さかだつような気分きぶんだった。


わたしはムカムカしていたが、結局けっきょくなにもせず、無言むごんでその3にんていた。


「ホフマン係数けいすうによって1千万円せんまんえん請求せいきゅうを…」

そんな言葉ことば先生せんせいからこえたようながする。



なつあつ日差ひざしと、セミのこえひびいていたのをおぼえている。

2017.7.29 土曜日 平成29年

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ