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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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手帳4-10

高校(こうこう)、三者(さんしゃ)面談(めんだん)

三者(さんしゃ)面談(めんだん)の日(ひ)


両親(りょうしん)は共(とも)に学校(がっこう)には来(こ)なかった。


「自衛隊(じえいたい)に入れるから必要(ひつよう)ない。」


たったこれだけの言葉(ことば)を学校(がっこう)からの電話(でんわ)で話(はな)したそうだ。


自衛隊(じえいたい)に入(はい)る事(こと)になったのは理由(りゆう)がある。


同級生(どうきゅうせい)が私(わたし)の住所(じゅうしょ)と名前(なまえ)を自衛隊(じえいたい)広報官(こうほうかん)に無断(むだん)で渡(わた)し、広報官(こうほうかん)が親(おや)と話(はなし)をして、私(わたし)の意志(いし)とは無関係(むかんけい)に書類(しょるい)にサインしてしまったためだ。


三者(さんしゃ)面談(めんだん)の進路(しんろ)指導室(しどうしつ)には、担任(たんにん)教員(きょういん)とは別(べつ)の教員(きょういん)が居(い)て、私(わたし)を大学(だいがく)へ推薦(すいせん)入学(にゅうがく)させたいと、私(わたし)の両親(りょうしん)に伝(つた)えたかったらしい。


私(わたし)は美術(びじゅつ)の学校(がっこう)へ進(すす)みたかった。

デザインの仕事(しごと)をしたかった。

打(う)ち砕(くだ)かれた夢(ゆめ)と将来(しょうらい)への絶望(ぜつぼう)で何(なに)も話(はなし)たくなかった。


「今(いま)からでも遅(おそ)くない。畜産(ちくさん)大学(だいがく)に進(すす)んで将来(しょうらい)獣医(じゅうい)になるという道(みち)もあるんだぞ?」

そんな言葉(ことば)を進路(しんろ)指導(しどう)の教員(きょういん)が言(い)っていたような気(き)がする。


私(わたし)は絶望(ぜつぼう)していた。

それ以外(いがい)の教員(きょういん)の話(はなし)を覚(おぼ)えていない。


消(き)えて無(な)くなってしまいたい。

当時(とうじ)ずっと、そう思(おも)っていた。



後日(ごじつ)



私(わたし)は自衛隊(じえいたい)の試験(しけん)と面接(めんせつ)を受(う)けた。


試験(しけん)は中学生(ちゅうがくせい)一(いち)年生(ねんせい)レベルの問題(もんだい)で、かなり簡単(かんたん)だったのを覚(おぼ)えている。


面接(めんせつ)では灰色(はいいろ)の制服(せいふく)を着(き)た、胸(むね)にたくさんのバッチを着(つ)けた人(ひと)たちの前(まえ)で、聞(き)かれた事(こと)に全(すべ)てをハッキリと答(こた)えた。


何(なに)を聞(き)かれたのかは覚(おぼ)えていない。

ただ、否定的(ひていてき)な言葉(ことば)は使(つか)わなかったと思(おも)う。


ただのAIのように、聞(き)かれた事(こと)に、相手(あいて)が喜(よろこ)びそうな事(こと)だけを答(こた)えた。


制服(せいふく)の面接(めんせつ)自衛官(じえいかん)たちは、とても嬉(うれ)しそうで、楽(たの)しそうな顔(かお)をしていたのを覚(おぼ)えている。


私(わたし)はかなりの上位(じょうい)の成績(せいせき)で入隊(にゅうたい)することが決(き)まったと、私(わたし)の担当(たんとう)自衛官(じえいかん)に告(つ)げられたのは、面接(めんせつ)から1ヶ月(げつ)ぐらい後(あと)の話(はなし)だった。


正直(しょうじき)、当時(とうじ)どうでも良(よ)かった。

なるようになれ。

そう思(おも)っていた。

2017.7.28 金曜日 平成29年

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