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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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手帳4-11

戸籍(こせき)謄本(とうほん)

自衛隊(じえいたい)に入(はい)るにあたり、戸籍(こせき)を証明(しょうめい)するものが必要(ひつよう)になった。


私(わたし)は疑問(ぎもん)に思(おも)っていた。

社会(しゃかい)の仕組(しく)みではない。


「本当(ほんとう)に両親(りょうしん)は自分(じぶん)の親(おや)なのか?」

この疑問(ぎもん)があったのだ。


世間(せけん)様(さま)が普通(ふつう)とする親(おや)とは全(まった)く違(ちが)う両親(りょうしん)。


私(わたし)に攻撃(こうげき)する両親(りょうしん)。


無慈悲(むじひ)と言(い)って差(さし)し支(つか)え無(な)い行動(こうどう)と言動(げんどう)を取(と)る両親(りょうしん)。


これらが私(わたし)を疑問(ぎもん)へ導(みちび)いていた。


戸籍(こせき)謄本(とうほん)、住民票(じゅうみんひょう)は本人(ほんにん)が申請(しんせい)しないと交付(こうふ)されなかった。

なので私(わたし)は自分(じぶん)で申請(しんせい)することになって、役所(やくしょ)に来(き)ていたのだ。


私(わたし)の疑問(ぎもん)と、「養子(ようし)であったらどんなに良(よ)いか」という期待(きたい)が、その時(とき)の行動(こうどう)を後押(あとお)ししていた。


そして戸籍(こせき)謄本(とうほん)の申請(しんせい)を終了(しゅうりょう)して、役所(やくしょ)で謄本(とうほん)を良(よ)く見(み)た。


間違(まちが)いなく私(わたし)の両親(りょうしん)は、完全(かんぜん)に、確実(かくじつ)に、法律的(ほうりつてき)に、逃(のが)れる方法(ほうほう)も無(な)く、私(わたし)の血(ち)の繋(つな)がった両親(りょうしん)だった。


養子(ようし)だったとかではない。

私(わたし)はあの両親(りょうしん)の実(じつ)の息子(むすこ)なのだと、現実(げんじつ)を突(つ)きつけられた。


残念(ざんねん)で仕方(しかた)なかった。

養子(ようし)ならば両親(りょうしん)を断罪(だんざい)して、切(き)って捨(す)てる事(こと)ができるのにと、私(わたし)は残念(ざんねん)で仕方(しかた)なかった。


これは世間(せけん)様(さま)が許(ゆる)す考(かんが)えではない。

「自分(じぶん)が養子(ようし)だったら良(よ)かったのに」などと考(かんが)える私(わたし)は、本当(ほんとう)に養子(ようし)縁組(えんぐみ)で家族(かぞく)になっている人(ひと)たちへの冒涜(ぼうとく)であり、許(ゆる)されるものではない。


この記憶(きおく)は私(わたし)を責(せ)める

2017.7.28 金曜日 平成29年

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