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20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
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手帳4-9

恋(こい)の終(お)わり

先輩(せんぱい)からの手紙(てがみ)から、どれくらい経(た)っただろうか。


「告白(こくはく)したらいいじゃん。お膳(ぜん)立(だ)てしてやるよ」

恋心(こいごころ)の話(はなし)を振(ふ)られて、私(わたし)は正直(しょうじき)に中学(ちゅうがく)の時(とき)に抱(いだ)いた、恋心(こいごころ)を話(はな)してしまった。

中学(ちゅうがく)で憧(あこが)れた彼女(かのじょ)は、同(おな)じ学校(がっこう)に通(かよ)っていた。


「花束(はなたば)を買(か)って来(こ)いよ。俺(おれ)から彼女(かのじょ)に話(はな)してセッティングしてやんよ。」

見(み)た目(め)は不良(ふりょう)漫画(まんが)に出てくるような奴(やつ)だが、とても親切(しんせつ)な奴(やつ)だと私(わたし)は思(おも)っていた。


私(わたし)はスクールバスで帰宅(きたく)した後(あと)、花束(はなたば)を買(か)い求(もと)めた。

母(はは)の日(ひ)が近(ちか)く、カーネーションの花束(はなたば)を買(か)ったのを良(よ)く覚(おぼ)えている。


気持(きも)ちを伝(つた)えるだけでもいい。

フラれて当(あ)たり前(まえ)。

でも気持(きも)ちを伝(つた)えたい。

そう思(おも)っていた。



告白(こくはく)当日(とうじつ)


体育館(たいいくかん)に多(おお)くのギャラリーが居(い)た。

私(わたし)は彼女(かのじょ)に花束(はなたば)を渡(わた)し、「中学(ちゅうがく)の頃(ころ)からずっと好(す)きでした。」と伝(つた)えたのだ。


「…遅(おそ)いよ。」

彼女(かのじょ)は残念(ざんねん)そうな声(こえ)と表情(ひょうじょう)で私(わたし)から目(め)を逸(そ)らせた。

どう言(い)う事(こと)だろうかと、固(かた)まっている私(わたし)にゲラゲラとギャラリーが笑(わら)っていた。


「じゃーん!ドッキリでしたー!」

私(わたし)に告白(こくはく)しろと、セッティングしてやると、花束(はなたば)を買(か)って来(こ)いと、そう言(い)った彼(かれ)が彼女(かのじょ)の肩(かた)に腕(うで)を回(まわ)して、私(わたし)の顔(かお)を、今(いま)でも忘(わす)れられない悪意(あくい)の塊(かたまり)のような表情(ひょうじょう)で、言葉(ことば)を続(つづ)けた。


「実(じつ)はコイツ、オレの彼女(かのじょ)なんだよねーハハー!」

更(さら)にゲラゲラとギャラリーも笑(わら)い、私(わたし)は何(なに)が可笑(おか)しいのか分(わ)からなかった。


少(すこ)し考(かんが)えた。

つまり、彼(かれ)は自分(じぶん)の彼女(かのじょ)に私(わたし)を告白(こくはく)させて、笑(わら)いものにしたかっただけだったのだと、考(かんが)えが至(いた)った。


「ほら、ムカつくだろ?来(こ)いよ!殴(なぐ)って来(こ)い!ほら!」

挑発(ちょうはつ)してくる彼(かれ)に私(わたし)は大(おお)きくため息(いき)を突(つ)いて、背中(せなか)を向(む)けて体育館(たいいくかん)を後(あと)にした。



数日(すうじつ)後(ご)


「あれからよぉー、オレの彼女(かのじょ)がお前(まえ)の話(はなし)しかしねーんだわ。ムカつくんだよテメー!」

私(わたし)は彼(かれ)に距離(きょり)を置(お)かれてツバを掛(か)けられた。


自業(じごう)自得(じとく)じゃないか、このチンパンジーが。

そう思(おも)っていた。


だが口(くち)に出(だ)さず、相手(あいて)にもせず、黙(だま)っていた。

掛(か)けられた服(ふく)のツバをそのままにして、私(わたし)は授業(じゅぎょう)に集中(しゅうちゅう)していた。

彼(かれ)は他(ほか)にも何(なに)か言っていたような気(き)がしたが、正直(しょうじき)覚(おぼ)えていない。


その後(ご)、彼(かれ)は自動車(じどうしゃ)の窃盗(せっとう)と道路(どうろ)交通法(こうつうほう)違反(いはん)、つまり、他人(よそ)様(さま)の所有(しょゆう)物(ぶつ)である車(くるま)を盗(ぬす)み、無免許(むめんきょ)運転(うんてん)で逮捕(たいほ)され、退学(たいがく)になった。


彼女(かのじょ)の方(ほう)は、それから妊娠(にんしん)が発覚(はっかく)し、不純(ふじゅん)異性(いせい)交遊(こうゆう)の校則(こうそく)違反(いはん)として退学(たいがく)処分(しょぶん)になった。


何(なん)と言(い)うか、我(われ)ながら雑(ざつ)な恋(こい)の終(お)わり方(かた)だった。


男(おとこ)もそうだが、憧(あこが)れた女(おんな)の子(こ)がやっぱりチンパンジーだったのが、少(しょうしょう)々ショックだった。


女性(じょせい)に対(たい)しての考(かんが)え方(かた)が、私(わたし)の中(なか)で変化(へんか)した時(とき)がこの辺(あた)りなのだ。

2017.7.28 金曜日 平成29年

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