日記1-1
私に生きている資格などない。
私は生きている資格はない。
父に「この仕事を辞めたら死ね」と言われていた仕事を辞めた。
だが死のうとして迷っている私に父は「さっさと就職しろ」と言い、私を殴った。
私が死なない事、死を実行出来ない事に腹を立てた父が罰を下したのだろう。
母は私の貯金を「管理してあげる」と全て没収した。
私にあるのは車の免許と中古の車だけだ。
ガソリンもガス欠になる前に母に言ってお金を貰い、ガソリンスタンドで入れてくる。
残ったお金で履歴書を買い、高校で習った書き方で履歴書を作った。
大学へ行きたかった。
美術の大学へ行ってデザインの仕事がしたかった。
高校3年生の進路相談で美術の大学を希望した。
父が激怒した。
「お前に大学へ行かせるカネなどない!ふざけるな!」
父に怒鳴りつけられた。
父は私の意志とは関係なく自衛隊の応募に申請し、そして私は受かった。
そして3年勤めた、私は自衛隊を辞めた。辞めさせられたと言うべきか。
私が持っていた貯金があれば大学へ行ける。今からでも遅くないと思ったが、もう何もしたくない。
ずっと前の事がどんどん、今起こっているように私の前に現れる。
私はこれから最初からこの「何度も現れては私を責める記憶たち」を手帳に書いてゆく。
多分楽になれると思う。
文章として固定してしまえば、私の頭の中から出て行ってくれるような気がする。
根拠などない。
ただ、私は楽になりたい。
楽になる。
死ぬ事は楽になる事ではない。
罰だ。
だが罰を受けなかったら更なる罰が私に降りかかる。
それが「何度も現れては私を責める記憶たち」なのだ。
許して欲しい。
だから私から離れて、この手帳に移って欲しい。
最初の記憶。痛み。
父の罵声と理不尽な暴力。
多分2歳ぐらいだろう。
母に私は「よるになるとくる、あのこわいひとだれ?」と聞いた。
「あれはお父さんだよ。何を言っているの?」
動物の持っている勘というものだろうか、私はその怖い人がどうしても好きになれなかった。
「あのひとこわいよ」
「お父さんを怖いなんておかしいよ。」
「だけどこわいよ」
「仕方ないわね。じゃあお父さんが帰ってきたら、お父さんおかえりと言って今日あった楽しかったことを話してみなさい。」
「いやだよ」
「やりなさい。これは命令。やらなかったら絶対許さない。」
私はしぶしぶと夕方、父が帰ってくるのを待って、母が言った事を実行した。
帰宅した父に話をしている最中に目の前が真っ赤になった。
この世の終わりのような痛みが頭にあった。
2回目の痛みがあった。
私は泣き出した。
3回目の頭への拳が降りかかろうとした時、母が「何をしているの!」という絶叫で、身体を使って私に覆い被さることで、父からの暴力から逃れられた。
「死ねクソガキ!」
父の罵声。
良く覚えている。
私はクソガキで、死んでしまえば良い存在なのだ。
今でも良く覚えている。
この世界で一番最初の記憶。
「何度も現れては私を責める記憶たち」これらの中の1つで、今も時々出てくる。
現在私は暴力に支配されている。
今もだ。
暴力で勝てたら、この現状は変わるのだろうか。
自衛隊で鍛えた身体は父よりも強くなったと思う。
今度殴られそうになったり、怒鳴られたら父を殴りつけてみよう。
きっと死という罰から逃れられる。
そんな気がする。
続けます。2017.7.7