↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20XXの人間失格者  作者: 来栖総一郎
17/78

手帳1-8

私(わたし)は自分(じぶん)の顔(かお)の傷(きず)が嫌(きら)いだ。

顔(かお)にある醜(みにく)い傷(きず)。


私(わたし)は自分(じぶん)の顔(かお)が嫌(きら)いだ。


特(とく)に右(みぎ)目下(めした)から額(ひたい)まで伸(の)びる裂(さ)けたような傷跡(きずあと)。

お世辞(せじ)にもカッコイイ傷(きず)とは思(おも)えない、この醜(みにく)い顔(かお)の傷(きず)が私(わたし)は嫌(きら)いだ。


物(もの)心(ごころ)ついた頃(ころ)にはこの傷(きず)は顔(かお)に既(すで)にあった。

他(ほか)の子(こ)たちとは違(ちが)う、自分(じぶん)の顔(かお)にある大(おお)きく醜(みにく)い傷(きず)。


私(わたし)は醜(みにく)い。


これが私(わたし)の顔(かお)かと思(おも)うと、毎日(まいにち)鏡(かがみ)の前(まえ)でうんざりするのだ。


祖母(そぼ)に聞(き)いた話(はな)しだが、まだ私(わたし)が立(た)って歩(ある)けない、だが動(うご)き回(まわ)れる時(とき)に、分解(ぶんかい)清掃(せいそう)中(ちゅう)のストーブの部品(ぶひん)が並(なら)べられている場所(ばしょ)に、私(わたし)が顔面(がんめん)から突(つ)っ込(こ)んだ時(とき)に出来(でき)た傷(きず)らしい。


「お前(まえ)の顔(かお)の傷(きず)かい?あれは大介(だいすけ)の母(かあ)さんが悪(わる)いんだあ。」


「お前(まえ)動(うご)き回(まわ)れるようになっているんに、目(め)を離(はな)した隙(すき)にお前(まえ)が怪我(けが)をしてしまったんだ。」


「ひどく腫(は)れ上(あ)がって、病院(びょういん)に連(つ)れて行(い)ったんよ。」


「お前(まえ)の母(かあ)さんにばあちゃんは怒(おこ)ってなあ。もちろんじいちゃんも怒(おこ)ったよ。」


「だけどアレは、「勝手(かって)に大介(だいすけ)が怪我(けが)をしたのが悪(わる)い。」て言(い)い張(は)ってなあ。」


「母(かあ)さんは何(なん)の反省(はんせい)もしとらんかったわ。ごめんなあ。私(わたし)も居(い)たのに一生(いっしょう)残(のこ)る傷(きず)が出来(でき)てしもうた。」

祖母(そぼ)は何度(なんど)も同(おな)じ話(はなし)をする。

直接(ちょくせつ)会(あ)っても、電話(でんわ)で話(はな)しをしても。


この顔(かお)の傷(きず)は、私(わたし)が悪(わる)いものなのか、母(はは)が放置(ほうち)したために傷(きず)をつけた母(はは)が悪(わる)いのか、私(わたし)には分(わ)からない。


私(わたし)は鏡(かがみ)を見(み)る度(たび)に、何(なん)とも言(い)えない、自分(じぶん)の醜(みにく)さと、傷(きず)の責任(せきにん)の所在(しょざい)が分(わ)からない事(こと)で、とても残念(ざんねん)な気持(きも)ちになるのだ。

手帳1終了です。


2017.7.19 水曜日 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。