表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/19

第6話 ポンコツ発明家とのナイスタッグ

森を進んでいたハルたちは、突然足を止めた。

クロの耳がピンと立つ。

「どうした?」

「グルル……」

ハルも鼻を動かした。

「……来る」

森の奥から、獣の匂いがいくつも近づいてくる。

「囲まれてるわね」

キャサリンが腕を組む。

「十……いや、十五匹以上」

ポンコツ発明家が震えながらリュックを開けた。

「ぼ、僕の出番だ!」

「大丈夫なの?」

「たぶん!」

「たぶん!?」

発明家が取り出したのは、手のひらサイズの筒だった。

「これは『スメル・バスター一号』!」

「名前からして不安なんだけど……」

「大丈夫! 昨日三回爆発したけど、今日は成功する!」

「余計不安!生き残れる要素0だろ?」

次の瞬間、茂みから魔物たちが飛び出してきた。

「来た!」

ハルが叫ぶ。

クロが前へ飛び出した。

「クロ!」

角狼の咆哮が森に響く。

魔物たちが一瞬ひるんだ。

その隙に発明家が装置を構える。

「今だ!」

ボシュッ!

白い煙が噴き出した。

「うわっ!」

ハルが顔を覆う。

すると魔物たちが一斉に立ち止まった。

「……?」

魔物たちは鼻をひくひくさせる。

そして――

「ギャウッ!」

一目散に逃げ出した。

「え?」

ハルは呆然とする。

「何をしたの?」

発明家は胸を張った。

「強烈な嫌いな匂いを作ったんだ!」

「えっすごいじゃないか!」

「僕、天才だから!」

「さっきまで自分で失敗するって言ってなかった?」

「細かいことは気にしない!」

その直後。

ボンッ!

装置から小さな煙が上がった。

「……あ」

「また?」

「ちょっとだけ故障した」

「ちょっとじゃないだろ!」

二人で慌てて装置を直す。

ハルが部品を押さえ、発明家が工具を回す。

「そこ!」

「分かった!」

「右!」

「右ってどっち!?」

「そっち!」

「こっち!?」

「反対!」

「ええい!」

ガキン!

装置が復活した。

「やった!」

ハルと発明家は拳を合わせた。

「ナイスタッグ!」

クロは少し離れたところから二人を見ていた。

まるで、

『……この二人、大丈夫なのか?』

と言いたげな遠い目だった。

ところが――

「ハル! ちょっとこっちに来なさい!」

キャサリンが呼んだ。

「何ですか?」

「勇者なら身だしなみも大切よ!」

「え?」

キャサリンが持っていた服を取り出す。

「これを着なさい!」

「いや、それ師匠の趣味じゃ――」

「いいから!」

「待って! それは嫌だ!」

ハルは逃げた。

キャサリンが追いかける。

「待ちなさーい!」

「嫌です!」

「弟子でしょう!」

「それとこれとは別!」

その騒ぎに巻き込まれ、発明家まで逃げ出した。

「僕も逃げる!」

「なんで!?」

「キャサリンが怖いから!」

「ちょっとぉ!」

森の中を三人が走り回る。

その途中、ハルの服が木の枝に引っかかってしまった。

「うわっ!」

ビリッ。

「……」

ハルは固まった。

発明家も固まる。

キャサリンも固まる。

「……ハル」

「何も言わないでください」

ハルは慌てて服を拾い集める。

そして――

「うわぁぁぁ!」

恥ずかしさのあまり、そのまま森の奥へ逃げていった。

発明家も追いかける。

「待って! 僕も行く!」

クロは二人を見つめた。

「…………」

そして、深いため息をついた。

だが――

クロの耳が突然動いた。

「グル……?」

森の奥。

二人が走っていった方向から――

ハルにもまだ感じ取れない、奇妙な匂いが漂ってきた。

クロが立ち上がる。

「……グルル」

木々の隙間。

そこには、黒く枯れた花が一輪だけ咲いていた。

本来なら香りを持つはずの花。

しかし――

匂いが、完全にない。

そして花の奥から

誰かの声がした。

「……勇者が来たか」

クロの目が鋭くなる。

森の奥で――

何かが、目を覚ました。

ところでポンコツ発明家の名前は誰も聞かない(涙)次話は名前が分かるよー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ