表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/19

第3話 森の奥の師匠

クロと一緒に森の奥へ進んでいく。

「クロ、さっき感じた嫌な匂いはこの先だよな?」

「グルッ」

クロが頷くように首を動かした。

しかし――

しばらく進むと、ハルの鼻に別の匂いが届いた。

香水。

それも、かなり強烈な香りだった。

「……なんだ、この匂い?」

クロも鼻をひくつかせる。

すると森の奥から――

「ちょっとぉ~! 遅いじゃないの!」

突然、声が響いた。

「誰!?」

ハルが振り返る。

木々の間から、一人の人物が歩いてきた。

フリフリのレースがついたエプロン。

胸元には大きなハート。

そこには――

『LOVE & SMELL』

と刺繍されている。

さらに、髪は見事な縦ロール。

顔立ちはかなりゴツい。

そしてエプロン姿とは思えないほど、鍛え上げられた立派な体格。

ハルは思わず固まった。

「…………」

クロも固まった。

人物は腰に手を当てる。

「まあ! ずいぶん失礼な顔をするじゃない!」

「す、すみません……」

「アタシはキャサリンよ」

「キャサリン……?」

「そう。キャサリン」

キャサリンはにっこり笑った。

「本名は……まだ秘密よ」

「なんで?」

「秘密だからよ」

即答だった。

ハルは困惑する。

「じゃあ、なんで俺のことを知ってるんですか?」

キャサリンの表情が変わった。

「……やっぱり気づいた?」

「何に?」

「あなたが、この世界に降りてきたことよ」

ハルの顔がこわばる。

「俺が……?」

「そう」

キャサリンは森の奥を指差した。

「あなたがここに転移してきた瞬間から、ずっと見張っていたの」

「ずっと?」

「ええ」

キャサリンは胸を張った。

「なぜなら――」

一拍置いて、

「鼻の勇者が降臨したからよ!」

「…………え?」

ハルは目を丸くする。

「俺が勇者?」

「そう。あなたはまだ知らないでしょうけどね」

キャサリンはハルの顔をじっと見る。

そして、ふっと笑った。

「あなたの鼻は、この世界ではとんでもない力になるわ」

「鼻が……?」

「ええ」

キャサリンは自分のエプロンを指差した。

「だから、このアタシが鍛えてあげる」

ハルはクロを見る。

クロもハルを見る。

「……どうする?」

「グルッ」

クロは尻尾を振った。

どうやら賛成らしい。

キャサリンは満足そうに笑う。

「決まりね!」

「よろしくお願いします、キャサリンさん」

「先生と呼びなさい!」

「先生?」

「そう。今日からアタシがあなたの師匠よ!」

こうして――

鼻の勇者ハルは、森の奥に住む謎の人物・キャサリンの弟子となった。

だがハルはまだ知らない。

この一見変わった師匠が――

かつて世界中の冒険者から恐れられた、伝説級の達人だということを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ