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第17話 キャサリンのオカマ拳法、炸裂の巻!

真夜中の町。

黒い霧が広場を包み込んでいた。

「来る……!」

ハルが剣を構える。

クロが低く唸る。

「グルルル……」

リリアはペンダントを握りしめ、ミルフィーユは発明品を構えた。

ネズミもキャサリンの隣に立つ。

「キャサリン様!」

「何?」

「私が前に出ます!」

「ダメよ」

「なぜです!」

「あなたは鼻を使いなさい」

「……はい!」

ネズミは地面に鼻を近づける。

「右……いや、左……!」

「どっちよ!」

「両方です!」

「役に立たないわね!」

その瞬間――

黒い影が飛び出した!

「来た!」

ハルが斬りかかる。

しかし――

スカッ!

「消えた!?」

影は煙のように散った。

「ハル、後ろ!」

クロが飛び出す。

ガッ!

クロの爪が影を弾き飛ばす。

「グルァッ!」

「クロ、ナイス!」

影が再び立ち上がる。

その姿は、人の形に近い。

だが顔はない。

ただ、ぽっかりとした暗闇だけがある。

「……香りを……」

低い声が響く。

「香りを……よこせ……」

リリアが震える。

「怖い……」

その瞬間。

キャサリンが前へ出た。

「あなた」

「……?」

「さっきから、香り香りってうるさいのよ!」

拳を握る。

「人の大切なものを勝手に奪うんじゃないわよ!」

「キャサリンさん……?」

キャサリンが構えた。

ハルが目を丸くする。

「師匠、その構え……?」

「見せてあげるわ」

キャサリンがニヤリと笑う。

「私の――」

一歩踏み込む。

「オカマ拳法を!」

「名前がすごい!」

ミルフィーユが叫ぶ。

「いくわよ!」

キャサリンが突進!

「オカマァァァ――」

ドンッ!

「――パァァァンチ!!」

ズドォン!

影が吹き飛んだ。

「…………」

全員が固まる。

ハルが呟く。

「……強すぎない?」

ミルフィーユが震える。

「僕の発明品より強い……」

クロも、

「グル……」

と微妙な顔をしている。

ネズミだけは大興奮。

「さすがです! キャサリン様ぁぁ!」

キャサリンは華麗に着地する。

「まだ終わってないわよ!」

影が起き上がる。

「グォォォ……!」

「しつこいわね!」

キャサリンが腰を落とす。

「奥義――」

ハルが叫ぶ。

「師匠! まだ技あるんですか!?」

「当然よ!」

「まさか……!」

キャサリンが回転する。

「乙女の――

「乙女!?」

「――回転拳!!**」

ズバァン!

影が空中へ吹き飛んだ。

「すごい……」

リリアが呆然と見つめる。

「キャサリンさんって……何者なんですか?」

ハルも答えられない。

「俺にも分からない……」

そのとき、影が最後の力を振り絞った。

黒い霧が一気に広がる。

「まだ来る!」

ハルが構える。

だが――

ネズミが叫んだ。

「キャサリン様!」

「何!?」

「その霧、左下から集まっています!」

「よくやったわ!」

キャサリンが地面を踏み込む。

「そこね!」

ドンッ!

地面が揺れる。

黒い霧が散った。

影が消えていく。

「……香り……」

最後に声だけが残る。

「……また……奪いに来る……」

静寂。

ハルは剣を下ろした。

「倒した……?」

キャサリンが腕を組む。

「一時的にね」

ミルフィーユが恐る恐る尋ねる。

「師匠……今の拳法って、誰に習ったんですか?」

「秘密よ」

「僕も習いたい!」

「あなたには十年早いわ」

「十年!?」

ネズミが目を輝かせる。

「私は!?」

キャサリンが見る。

「あなたはまず走り込み」

「はい!」

ネズミが走り出す。

「キャサリン様ぁぁ!」

ハルはその背中を見送る。

「……なんだかんだで、すごい仲間になってきたな」

クロも頷く。

「グル」

リリアは小さく笑った。

だが――

キャサリンだけは、地面に残された黒い花びらを見つめていた。

「……この影」

「師匠?」

「以前にも、似たものを見たことがあるわ」

キャサリンの表情から笑みが消える。

「そして、そのときも――」

風が吹く。

黒い花びらが舞う。

「香りが、一つ消えた」

ハルは静かに花びらを拾った。

鼻を近づける。

「……まだ終わってない」

キャサリンが頷く。

「ええ」

そして遠くの闇の中。

誰かが、こちらを見ていた。

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