反乱
その日は冷たい雨が降る日だった。
いつものように、清嵐様と私が一緒に朝食を食べていると、いつも冷静な廉様が息を切らして慌てて部屋に入ってきた。
「っ殿下!申し上げます!...劉俊然、王明と共に謀り、帝を弑虐!」
「え.........?」
清嵐様は私に「絶対に部屋から出るな」と言って、部屋の外に控えていた護衛たちを私の側につけ、廉様と急ぎ向かわれた。
「俊然殿下が...?」
私は廉様が言ってたことが理解できず、ただ最後に会った彼の寂しそうな顔が思い出された。
「どうして.........」
私は椅子から動けず、ただ涙が溢れるだけだった。
----------
「状況は?」苛立った清嵐が剣を受け取りながら尋ねる。
廉も訳がわからない様子で答えた。
「現場は混乱の最中です。王明が陛下に謁見していたところ、俊然が私兵と共に大本殿を襲撃したようです。現在、国軍が私兵と交戦中です」
清嵐と廉たちが大本殿に着いたときには、国軍は壊滅状態で多くの者が倒れていた。
その先で、玉座のもとに帝の骸が転がっているのを眺めながら俊然が立っていた。
「やあ、清嵐。遅かったね」
「俊然!お前っ...どういうことだ、何故こんなことを...」
「何故?ははっ...君はおかしなことを聞くんだね。...君は妃もいて、子も生まれる。僕はどう足掻いたって今の状況では東宮にはなれないのだから、こうするしかないだろう?僕を帝に据えたい臣下たちをちょっと唆したら、すぐに計画してくれたよ」
横から王明やその従臣たちが現れる。
「これはこれは清嵐殿下...この度は妃殿下のご懐妊をお喜び申し上げます」
白髪混じりの男が恭しく挨拶をする。彼こそ皇后の実父で、この国で実権を握る王明だ。
「俊然殿下にはご即位いただいた後に、私の娘である皇后を皇太后にすることをお約束いただきました。私どもの政に反対している貴方様には、このまま妃とともに消えて頂きたく存じます」
その言葉に清嵐と廉たち少数の軍が臨戦体制をとる。数では圧倒的に清嵐たちが劣勢で厳しい。
王明が後ろの私兵に合図を送ろうとしたとき、俊然が言う。
「待て。本来の目的は達成した。帝は死んだしこれ以上の争いは無用だ。第一、清嵐を殺したら彼についている臣下たちが反乱するだろう。ここは清嵐と妃を生きたまま牢に入れておくのがいい」
「待て!勝手なことを...俺のことはどうしたっていいが、美雨だけには手を出すな!」
清嵐が俊然に叫ぶと、俊然は冷たい目で彼を見下しながら言った。
「君は自分が置かれている状況を理解できていないようだね、清嵐。このまま戦っても殺されるのは自分だとわかるだろう?」
そう言うと私兵たちに「連れて行け」と言い放ち、俊然は去っていく。
清嵐や廉たちは手を拘束される。暴れて抵抗する彼らは俊然の私兵たちと殴り合いになるが、数には勝てず結局連行されてしまった。
「俊然!おい!...俊然!」
清嵐は必死に叫ぶも、後ろ姿はそのまま消えていった。




