作戦会議
清嵐と廉がいつものように深夜まで政務にあたっていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「誰です?こんな夜更けに」
廉が扉を開けると、そこには美雨が立っていた。
「雨!どうしたんだこんな夜に...護衛がついているとはいえ、危ないだろ。早く中へ」
清嵐が慌てて美雨を中へ引きつれる。
「...あの、お二人にお話があって。俊然殿下が、今日お話ししてくださったのですが...」
美雨は躊躇いながらも、俊然が教えてくれた暗殺未遂事件の犯人の話を二人に伝えた。
「孫家ですか...確かに孫美花は殿下のお妃候補に入っていましたね。それにしても妃の暗殺を企てるとは、大胆な行動に出ましたね」
廉が冷静に続ける。
「孫美花の父親は、宰相である王明の下につく財務卿です。宮廷の財政を司る官たちのトップで、清嵐殿下とはしょっちゅう対立されて...」
「孫子洋は今の財政状況を作った張本人だからな...昔から王明の下について皇后の好き勝手を許してきた。...何か確証があれば、それを使って孫家の者をまとめて排除できるのだが...」
清嵐は考えを巡らせていた。いくら俊然が教えてくれた情報だとしても、証拠もなしに帝の重臣を罷免することはできない。
「私が...もう一度ひとりになれば、相手も隙を見せるのでは?」
清嵐が慌てて否定する。
「危険すぎる!何かあったらどうするんだ!」
思わず立ち上がった清嵐を鎮めるように席に戻し、廉が言った。
「...確かに、それが一番手っ取り早いでしょうね。まだ妃殿下の懐妊の噂は否定していませんし、機会があればおそらく再び妃殿下のお命を狙うかと」
「...ばっ、そんな危ない真似させられるわけないだろ!次はもっと危ない目に遭うかもしれないんだぞ!」
清嵐は断固として反対しているが、美雨はもう覚悟を決めていた。
「清嵐様、私いますごーく腹が立ってるんです!私が妊娠したなんて噂を流されて、階段から落とされて...犯人には私特性のセンブリ茶を飲ませたいです!」
「セ、センブリ茶...?」
清嵐は思わぬ怒り方に唖然とし、廉は眉間に皺を寄せて「お妃教育が不十分なのか...」と呟いた。
「まあ、妃殿下がこんなにやる気に溢れておられるのですから...一度、罠を仕掛けましょう。もちろん妃殿下のお命が危なくなった際には、この私が命にかえてもお守りいたします」
頼もしい廉の言葉に、美雨は「よろしくお願いします!」と息巻いた。
清嵐が「ダメだと言っているだろう!」と叫ぶ。
「...清嵐様。私、戦いたいんです。あなたの妃で居続けるために」
覚悟を決めた美雨の顔が近づく。完全に弱点を突かれた清嵐は、「......わかった。でも、危険なことはやめてくれ。君に何かあったら俺は...」と言った。
「もちろんです、私以外の妃はあり得ないのでしょう?」美雨は不敵に笑ったが、横から廉に「調子に乗りすぎです」と突っ込まれた。
そんな二人の様子を見て、清嵐も覚悟を決めた。




