俊然殿下とデート!?
清嵐様と想いが通じ合ってからしばらく経ったが、命が狙われたのが嘘のように穏やかな時間が過ぎていた。
清嵐様はあれからずっと私のことを真綿で包むように大事にしてくれる。以前にもましてスキンシップが多くなった彼に、廉様のため息が聞こえてくるのもいつもの光景だ。
今朝は朝議がないらしく、清嵐様と一緒に翠青宮の中庭で朝食を食べていた。
清嵐様が私の唇についたソースを拭う。
「ついてる」
フッと笑う彼が眩し過ぎて、私は放心状態になりそうだった。
「あ、ありがとうございます」
真っ赤になった私は気を逸らすため顔を横に向けた。
すると、目を向けた方向から誰かがやってくる。
「あ......」
私が見ている方を清嵐様も見る。
「よ!元気?」
そこには俊然殿下がいた。
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「お妃ちゃん、命狙われちゃったんだって?大丈夫だった?かわいそうに」
俊然殿下が「これお見舞い」と綺麗な花束を私に差し出す。
「わ!綺麗なお花...ありがとうございます」
そう言うと、明らかに不機嫌な顔の清嵐様が私たちを見ていた。
「...なんの用だ。美雨のこと、お前の臣が仕組んだことじゃないのか?」
清嵐様が俊然殿下に掴み掛かる勢いで言った。
「...そんなことはしないよ。第一、お妃ちゃんを消してもお前が無事なら意味ないし。そんな回りくどいことしない」
俊然殿下の真面目な顔を初めて見た。
清嵐様がまだ疑った目で俊然殿下を睨む。
「きっと僕のことを疑っているんだろうな〜と思って、仕入れてきたよ、情報。聞きたい?」
俊然殿下がニヤリと笑う。その笑みは私に向けられていた。
「タダでは教えてあげないけどね〜。んー...そうだな、お妃ちゃんとデートがしたいなぁ。清嵐のためには嫌だけど、お妃ちゃんのためなら教えてあげてもいいよ」
「は?許すわけないだろそんな条件...」
清嵐様が隠しきれない怒りを露わにする。
「えー?じゃあいいの?このままお妃ちゃんが誰かさんに狙われ続ける生活が続いても...」
「俺がなんとかする。とにかく美雨とデートなんて許さない!」
そう言って清嵐様は俊然殿下を追い払った。
渋々中庭から出ていく彼が、私だけに見えるように「またね」と言った。
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あれから数日。
妃教育を受け終わった私は護衛の武官と廊下に出た。
「やっほー、お妃ちゃん」
「げ、この声は...」と振り向くと、俊然殿下がいた。
護衛が私の前に立ちはだかるが、相手は皇子だ。「どいていいよ」と睨まれ、あまりの迫力に下がった。
清嵐様から俊然殿下と二人にならないようにと言われているので、正直逃げたい...けれど、この方は知っている。私を狙うのが誰なのか。
私は知りたい気持ちが勝ち、俊然殿下に尋ねた。
「清嵐様から護衛を必ず側につけるよう言われているので、彼らから見える場所で話しませんか」
「いいよ。二人っきりになったら後で清嵐から怒られちゃうもんね」
殿下は笑いながら中庭にある東屋まで私を連れた。




