お茶会への誘いは挑戦状
今日はイッちゃんと二人でお茶会に行きます。
残念ながら旦那様は一緒ではありません。
イッちゃんは旦那様がお城に行く時に着るような格好をしています。変ではありませんが変なのです。
「しかし、よく嬢ちゃんが茶会に行くのを了承したな。絶対に面倒だから行きたくないって言うと思ったのに………あっ、こら動くなっ!」
イッちゃんに髪を引っ張られて痛いのですよ。
「まだなのですか?やっぱりクルクルのがいいのです」
「縦ロール悪女風より若妻風まとめ髪がいいつったのは嬢ちゃんだろ………ほら、出来たぞ」
リンの長い白髪がサイドの髪を残し、青リボンと一緒に編み込みでまとめられスッキリとした上品な髪型に仕上がった。
「むぅ……若妻風は髪が邪魔じゃありませんが禿げそうなのです。顔が髪に引っ張られて痛いのです」
「文句言うなよ。だからマァムにやって貰えば良かっただろ」
「マァムは旦那様の支度で忙しいのですよ」
「いや、それこそ若妻の務めだろ」
「いつもの服なら着せられるのですよ。今日のは無理です。破きたくなるほど面倒です」
「お願いだから破かないで!」
そもそも若妻はいってらしゃいのチューとおかえりなさいのチューをするのが務めなのですよ。わかってませんね。
「それで、その面倒臭がりな若妻がお茶会なんて行くんだよ?あーゆうの嬢ちゃんは嫌いだろ」
「イッちゃん、人は成長するのですよ。お茶会に参加してこそ淑女なのです」
お茶会はサバイバル!喰うか喰われるか弱肉強食!お茶会を制する者が真の淑女と『悪女の条件』に書かれていました。
言わば公式決闘場なのです。
私は呼ばれた参戦者なのですよ。この私に挑戦を挑むなど片腹痛いのです。その根性を粉砕するのです。
このリン・アレストファに招待状を送ったのが運のつき、後悔するが言いのです!おーっほっほっほっほっ!なのです。
「なんだろう………不安だ。かなり不安だ。淑女のお茶会の意味合いに隔たりを感じるのは僕の気のせい?気のせいだよね。気のせいであって欲しい」
イッちゃんがブツブツ言ってるのです。これだから悲劇ヒロインは嫌になります。不幸面して同情を誘うとは高等技を取得したものです。
私が淑女として成長したようにイッちゃんも着実に成長しているのです。
でも旦那様はあげません。
「支度は出来たの?」
旦那様が部屋に入ってきました。
今日の旦那様はキラキラのビラビラです。やっぱり破きたいのです。
カーテンみたいなのです。
「おいっ!待てやっ!カーテンと一緒にするんじゃない!!このシルエットは今年の流行の…………」
声に出てました。失敗、失敗なのです。
イッちゃんの蘊蓄はいらないのです。お腹一杯なのですよ。
服なんて着れればいいのです。服は下着さえあれば十分なのですよ。
「イチ、煩いよ」
「まったく落ち着きのない淑女なのです」
「煩くもなるわ!僕の作品がカーテンと同様に扱われて煩くならないわけないだろ!しかも淑女違うっ!僕はいつまで自称ヒロイン役をやらさせる気だよ」
「「一生?」」
「やらんわっ!ハモるなボケがっ!!」
イチの突っ込みは健在だが既にその突っ込みで燃え尽きたのか、膝をついて項垂れた。
「そういえばシュークも連れて行くの?」
「はいです。ペット自慢したいのです。駄目ですか?」
最近はシュークもハイハイだけでなく、空に投げても浮いて戻ってくるほど成長しました。
お披露目なのです。
「別にいいけど、どうせお茶会の参加者に君達以外いないだろうしね。人数が増えても問題ないよ」
「えっ、何それ?今さらシュークの扱いには突っ込まないけど、お茶会だろ?僕達以外にも他の招待客がいるのが普通だろ」
「ああ、説明してなかったっけ?」
今回のお茶会の主催者はランスロット侯爵令嬢だがお茶会事態は親にも内密で行う事。
招待客もリンとイチのみ。本来ならシュークは部外者になるが、お茶会事態内密で行う予定になっているし、招待客も二人だけとは知らされていない立場なのだから問題ない。
先に失礼な対応したのは向こうだ。
急な内密なお茶会、二人だけの招待客、公爵家を侮辱したと考えられても可笑しくない。
「ちなみにランスロット侯爵令嬢は自称聖女だよ。ようは教会の駒で偽善者」
「はぁ!?」
「リンは問題ないけど、イチは騙されないことだね」
新たな情報にイチは唖然とした。
だから気付かなかった。
リンが聖女の意味を正しく理解出来ていなかったことに。
イチは後に後悔する。
たが既に遅い。波瀾万丈なお茶会の序章は既に始まっていた。
リンが聖書『悪女の条件』を手に入れた時から。




