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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十三章 2人の蛾男
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偽物コンビ

作戦の詳細を語らぬまま、偽蝶男は蛾男へと間合いを詰めると、両の拳による猛烈なラッシュを放った。

蛾男はそっぽを向きながら、電話に対応したままで、それらを片手で正確に捌いた。

「…ウザいっちゅーの」

蛾男はそう呟くと、通話の邪魔をするなとばかりに、偽蝶男に蹴りを放ち、彼を遠くへ引き離した。

「いやいや違う違う、こっちの話だって。お前に言ってないから。そんなことより…今ちょっと金欠でさ、家賃滞納してるせいで退去予告くらっちっまったんだよ。悪いんだけどお前…あっ!クソッ!切られた!!」

携帯を仕舞うと、蛾男はようやく偽蝶男の方へと向き直った。

「お前…やっぱただの偽物か、本物に比べりゃ動きが大分トロいぜ。ん?もう1人はどこ行った?」

「ここだ」

いつの間にか背後に回り込んでいた流に後頭部を殴打され、体勢を崩したところを、さらに偽蝶男に追い打ちをかけられ、蛾男は派手に吹っ飛んで行くと、遠くのビルの壁をぶち破り、そのまま建物の中へと姿を消した。

流がビルから立ち込める粉塵を凝視していると、彼のそばで偽蝶男が抑揚のない口調で言った。

「…ヨシ、作戦通リダナ」

「あ………ああ」

…どんな作戦だったんだ?

突然、流は手の甲にふと冷たいものを感じた。

「…雨、か」

直後、滝のような雨が空から降り注いだ。

「マズイナ…」

ずぶ濡れになりながら、偽蝶男がポツリと呟いた。

「マズいって何が…!?」

「君モ知ッテノ通リ…私達、吉見縁ノ作品ハ水ニ弱インダ。ナンセ、絵ダカラナ」

「いやいや、初耳だからそんな設定…!」

「トコロデ…ソロソロコノ口調ヤメテイイカ?」

「勝手にやめればいいでしょ、やめれるものなんですか?それ」

その時、粉塵の中から、蛾男が投擲したと思われる、巨大なビルの破片が、流のもとへと真っ直ぐ飛んで来た。

「…余所見スルナ」

偽蝶男は流の盾となると、破片を食らって水風船のように弾け飛んだ。それでも破片の勢いは止まらず、流の体に食い込んだ。

「ごほっ」

流は撃ち落とされた鳥のように、真っ逆さまに墜落すると、地面へと無様に叩きつけられた。

「クソッ…ん?」

そのまま、しばらく地べたで這いつくばっていると、急に辺りが薄暗くなった。胸騒ぎを覚えて顔を上げると、真上からタンクローリーが落下して来るのが見えた。

「ヤバい…!」

脱出する間もなく、彼はその下敷きになった。




「…ホントはロードローラーがよかったんだけどなぁ、近くに無かったからそれで妥協してやったぜ。あれ?もしかしてくたばっちまったか…?」

蛾男はタンクローリーの近くに降り立つと、流の生死を確認するために、車体を持ち上げようとした。

「…あん?」

足下に渦のようなものが出来ているのに気付いた瞬間、そこから蟻地獄の大顎のようなものが飛び出し、彼の頭部を挟みこんだ。

「痛ッデデエエェェ!?」

続いて、渦の中から流の声がした。

「第二ラウンドといこうか、クソ野郎」





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