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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十三章 2人の蛾男
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有言不実行

「ん〜?」

何者かの気配を察知し、蛾男が上空を見上げると、数体の変異者が彼を取り囲むように、建物の屋上から、虎視眈々と見下ろしていた。

それぞれ、天狗、半魚人、猛禽類を思わせる姿をしていた。

「お〜っと、中ボス共のご登場か?何が起きてるのか知らねえが、ザコ共の相手も飽きてたところだ。面倒くせえから、まとめてかかってきなよ。指1本で相手してやるぜ?」

そう豪語すると、蛾男は小指を立てながら、羽根を大きく広げ、高々と飛翔した。

変異者達が、彼に一斉に飛び掛かる。

その時だった。

「あっ!羽根が滑ったぁ!!」

蛾男はわざとらしく言うと、回転して周囲に鱗粉を散布した。

それをモロに浴びた変異者達は、肉体がバラバラに崩壊して、真っ逆さまに地面へと落下して行った。

蛾男はそのまま、ビルの屋上へと華麗に着地した。

すると、彼の目と鼻の先から、何者かの声がした。

「はじめまして…かな?蛾男」

「あん?」

その呼びかけに、蛾男はおもむろに顔を上げた。





「…はっ!?」

流が目を覚ますと、見知らぬ家のリビングらしき場所で、黒いソファの上で横になっていた。

目を白黒させていると、直ぐそばで聞き覚えのある声がした。

「…目が覚めたかぁ?」

振り向くと、ベレー帽を被った若い男が、ティーカップを手に佇んでいた。

ご存知、吉見縁である。

「アンタが…僕をここに?」

「まあな、俺の作品を助けに向かわせたんだ。感謝しろよ?しかし…俺が居眠りこいてる間に、何やらとんでもないことになってたらしいな」

流はハッとした表情を浮かべると、部屋中をキョロキョロと見回した。

「彼女は…?」

「心配ない、二階でグッスリさ」

突然、上の階からバゴォン!!と大きな音がした。

「い、今のは!?」

「気にするな、ただの寝相だ。いつものことさ。な〜に、家の周りには見張りをつけてある。そう簡単には誰も入っては来れないだろう。イチモツの不安はあるがね」

「一抹では?」

縁は紅茶を一口啜ると、続けて言った。

「どうやら蛾男が現れたようだ。今頃、街でド派手にやってるだろうな」

「…ヤツが?」

流の表情が、一気に険しくなった。

「そりゃ、あれだけデカい騒ぎになればな。外のことなら任せていいんじゃないか?彼なら1人でこの事態を解決してくれるかもしれないぞ?なんせ最凶最悪の変異者様だからな。最近はどういうわけか、ヒーローに転向したのかもしれんが」

「…ちょっとトイレ借ります」

そう言うと、流はソファから立ち上がり、部屋の出口へと向かった。

「おい待て」

「ぎくっ」

縁に呼び止められ、流はその場で固まった。

しまった、こっそり抜け出そうとしてるのがバレたか…?

焦る流に、彼は続けて言った。

「部屋を出て右だぞ」

「あ…ああ」

なんだ、焦らせやがって…。

「…とでも言うと思ったか?黙って抜け出そうって気だろ?もしも蝶男の復讐でも考えているのなら止めておけ。君じゃ蛾男には勝て…」

その時、再び上階からドゴォン!!と音が鳴った。縁はビクッと身体を震わせた。

「うおっ!?ビックリしたぁ!!」

流はその隙をついて、縁の背後に回り込むと、当て身により彼を昏倒させた。

「がぼっ」

流は彼を見下ろしながら、淡々とした口調で言った。

「悪いな、アンタはいいヤツかどうかは分からないが…頼りになるヤツだよ。それじゃあ…やることがあるんでね」

そう言い残すと、流は頭上を少しだけ見上げ、部屋から去って行った。



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