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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十三章 2人の蛾男
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ヒーローは大体遅れてやって来る?

「あれ…?私死んで…ない?」

由香里が恐る恐る目を開くと、傍らに変身した流が佇んでいるのを発見した。

「ぎゃわあああ!!助けて流さ…ばひゃ」

由香里は走り出した矢先に、電柱に顔から正面衝突して、転倒した際に後頭部を強打し、気絶した。

「はぁ…よく気絶するヤツだな」

流がそう呟いた途端、近くの店のウィンドウを突き破って、数体の小柄な変異者が飛び出して来た。

その姿は、まるで変異が不完全だったかのように、どことなく人間だった頃の名残を留めていた。

どうやら、変異する前はまだ幼い子供だったようだ。

皆、操られているかのように、彼の方へジワジワと歩み寄って来る。

「…クソッ。確か変異するのは14歳を過ぎた者だけのはずだが…やはり何か特別な力が働いているのか…?」

流は非情になり切れず、一歩後退りした。

変異者達が一斉に襲いかかって来る。すると、流の背後からサソリの尻尾のようなものが現れ、恐ろしい速度で変異者達を軽く一突きした。

変異者達はみるみるうちに、ごく普通の子供の姿へと戻っていった。

少年達は流の姿を見ると、慌てふためいて泣き叫びながら、反対方向へ逃げ去って行った。

「この力は…」

振り返ると、10数メートル程先で、荒井奈美がユラユラと尻尾を揺らしながら、得意気な笑みを浮かべていた。

「そんな甘ちゃんだとやられちゃうよぉ?ガー君」

「…君はいつも急に現れるな」

「そりゃ当然でしょ?君のファンなんだからぁ♪」

「はっ………ん?」

流は、すり鉢状の渦のようなものが、地面をゆっくりと移動して、彼女の足元に向かって行くのが見えた。

次の瞬間、渦の中から蟻地獄のような姿の変異者が現れ、その大きな顎で彼女の胴体を真っ二つにした。

「あれっ?」

奈美はアッサリとしたセリフとともに、笑みを浮かべたまま、動かなくなった。流は唖然としながら、小さく呟いた。

「……これも、前みたいな悪い冗談なのか?」

返事はなかった。

初めから分かってはいたが。

「…そうであってほしかったよ」

そう言うと、彼は猪突猛進、前方へ突っ込んで行った。

蟻地獄男は、渦から外へ出ると、奈美の上半身を掴んで、盾にするように流へと差し出した。

流は躊躇した一瞬の隙をつかれて、脇腹をすれ違い様に切り裂かれた。

「ッ………」

膝から崩れ落ちると、流は吐血しながら気を失った。それと同時に、彼の変身も解除された。

「…まったく、本当にとんだ甘ちゃんだな。悪く思うなよ?これもあのお方のためだ」

奈美の遺体を無造作に放り出すと、蟻地獄男はトドメを刺すべく、流目掛けて腕を振り下ろそうとした。

その時、彼の背後から謎の黒い影が猛スピードで通り過ぎて行った。その直後、蟻地獄男の全身が爆散した。

黒い影の正体である、蛾を思わせる容姿をした怪人は、足を止めて振り返ると、軽い調子で呟いた。

「…っちわ〜〜」




その様子を高みから見物していた『あのお方』は、部下達に淡々と告げた。

「やっぱり来たか…。順番は彼からにしよう」

その言葉に、部下達は肉体を変異させると、それぞれバラバラに飛び去って行った。

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