オギャー!
「う…生まれるゥ〜〜!!」
街が大混乱に陥っている最中、とある総合病院の分娩室で、1人の女性が分娩台の上で、滝のような汗をかきながら、しかめ面で叫んだ。
その傍らでは、夫と思われる地味な男が、彼女の様子を固唾を呑んで見守っていた。
そう、今まさに、新たな命がこの世に生まれ落ちようとしていた。
助産師の1人が、女性に優しげに声をかけた。
「はい深呼吸してくださいね〜、ひっひっふー。ひっひっふー」
突然、女性がカッと目を見開くと、その助産師の腕を鷲掴みにして、大声を上げた。
「生まれ…ギャアアアアア!!」
その直後、女性の腹をエイリアンのように突き破って、小さな羽とツノを持つ、紫の体色をした、まるで悪魔のような姿の赤ん坊が、血しぶきとともに、威勢よく飛び出して来た。
医師達は腰を抜かして、野太い悲鳴を上げた。
「ギャアアアアア!!」
「オギャアアアアア!!」
赤ん坊は高らかに産声を上げると、父親の顔めがけて飛び掛っていった。
全くもって、元気な男の子だった。
「ウヒョ〜!気持ちィ〜〜!!」
「アァン♥私もォ〜〜♥」
ケンイチとエミコの2人は、カーテンを閉め切った部屋で、朝もはよから情熱的に絡み合っていた。
部屋の隅にある、点けっぱなしのテレビでは、アナウンサーが何やら真剣な表情で、緊急速報を伝えていたが、2人の耳にはこれっぽっちも入っていなかった。
「ほれほれ〜!ここがええのんか〜!?」
ケンイチは下からエミコを威勢良く突き上げながら、彼女の尻をパァン!と引っぱたいて、軽薄な口調で言った。
「あっあっ♥ダメェ♥もうおかしくなるゥ〜〜〜!!」
「ヒッヒッヒッ!!おかしくなっちまえよぉ〜〜!!」
「キシャアアアアアア!!」
雄叫びを上げると、エミコは突如として、サメのような頭部を持つ、異形の怪物へと変異を遂げた。
「ごわああああ!!ホントにおかしくなったァ!?あっ、でもコレはコレで…」
エミコはケンイチにまたがったまま、彼の喉笛に喰らいつくと、そのまま獰猛に喰い破った。
首から血を大量に噴き出しながら、薄れ行く意識の中、ケンイチは白目を剥いて呟いた。
「キ…キモチィ〜〜………!」
〇〇駅近くにあるセンター街の、ビル内に位置する、人気の猫カフェで、2人の若い男女が、様々な種類の猫達と戯れていた。
茶髪の女は、足元にすがり寄ってきた一匹の猫を、両手で愛おしげに抱きかかえながら、彼氏である雰囲気イケメン風の男に言った。
「キャ〜!この子超カワイ〜!もう食べちゃいたい♥」
「ハハハ、そうだね可愛いね〜(あ〜あ、早く帰ってパコりてぇ)」
「………いただきま〜す!」
突然、女の口がバリバリと裂けると、その大きな口で、猫の上半身をいともたやすく噛みちぎった。
店内はたちまち騒然となった。
「わ〜〜!!マジに食べたよコイツ〜〜!!」
「ええええええ!?」
「きゃああああ!!」
変異の連鎖は、次々と広がっているようだった。




