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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十三章 2人の蛾男
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大パニック

『次のニュースはこちらァン♥かつては最凶最悪の変異者と呼ばれ、人々から恐れられた怪人蛾男!ですが近年になって、彼に助けられたという声が増えて来ている模様でぇす♥彼は果たして人類の味方なのか?それとも普通に敵なのか?今回はその正体を探りたいと思いまァす♥それではこちらをご覧くださぁい♥アンアン♥』

土曜日の朝、流は身支度をしながらテレビにふと目をやった。

画面には、街頭インタビューの様子が映し出されていた。

三十代前半くらいの冴えない男が、ヘラヘラした様子で取材者に受け答えをしていた。

『えっ?蛾男ッスかぁ?なんかよく分かんないけど、最近になっていろいろ頑張ってるらしいッスね?いや〜自分も昔から根は良いヤツなんじゃないかと思ってたんスよ〜』

『蛾男ぉ?この前アイツに天井に穴開けられましたよ!しかも2つも!!』

『すいません、急いでるんで…。あの、映さないでもらっていいですか?』

『おい、なに勝手に撮ってんだよコラ。殺すぞテメェ、あ?』

『アーアー、ワタシニホンゴワカラナイヨ』

流はリモコンを手に取り、テレビの電源を消すと、テーブルの上に置かれた、黒いカセットテープをポケットに仕舞い、家を後にした。




街の大通りには今日も、多くの人が往来していた。流は人混みをかき分けながら、電話ボックスのそばで手持ち無沙汰に佇む、由香里の姿を発見した。

「あっ流さん!こっちです!こっち!」

「悪いな、待ったか?」

「いえいえ、お気になさらず〜!放置プレイされるの好きなんで私!」

流はおもむろに先程のカセットテープを由香里に差し出した。由香里は目を丸くさせながら、それを受け取った。

「こ、これは…!?」

「僕がよく聴いてたテープさ。君にやるよ、気に入るかどうかは分からないがね。アナログで悪いな」

「どわ〜!嬉しいです〜!家でたくさん舐め…聴かせてもらいますね!!くくく…」

「なんだよ、舐めって」

由香里はテープをショルダーバッグに収めると、陽気にスキップを始めた。

「それじゃ行きましょう流さん!楽しみですね〜猿カフェ!!」

「いや、別にそうでもない。あと方向が逆だぞ」

その時、背後から何者かのうめき声のようなものが聞こえてきた。

2人が振り返ると、ハゲ頭の男が胸をおさえて、地面に這いつくばっているのが見えた。

すぐ傍にいた派手な髪色のギャル2人が、携帯でその様子を撮影しながら、茶化した態度で男に声をかけた。

「ギャハハ!オジサン大丈夫そ?」

「ウケる」

「え…ええ、大丈………ブワァァァ!!」

男は突然、両目が突き出したナメクジのような怪物に変異すると、2人組に口から謎の液体を吐き出した。それを浴びた2人は、体がみるみるうちに溶け出した。

「なんかウチら溶けてるんですけどぉぉぉぉぉぉ」

「ウケるぅぅぅぅぅぅ」

流達が呆然としていると、続けてあちこちから悲鳴が上がった。

周りを伺うと、あちらこちらで、苦悶の叫びを上げながら変異していく人々の姿が見えた。

「うぎゃあああああ」

「変異者!変異者!」

「やばいやばいやばい」

「待ってママ!置いていかないで!」

周囲が大混乱に陥る中、流はポツリと呟いた。

「これは…?まさか、また奴等の仕業か…!?」





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