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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十二章 ある平凡な長い一日!!!
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お礼の代わりに

騒ぎになる前に2人がショッピングモールを出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。

遊園地を彷徨っている間に、大分時間が経ってしまったらしい。

突き刺すような夜風が吹く中、帰り道の途中で、縁が流に尋ねた。

「そう言えば…俺の聖剣シュプュ…シュプリューレーゲンはどうした?」

「ああ…あのなまくら刀なら折れましたよ、ところで今なんて言いました?もう一回お願いします」

「だからシュピュリュ…まあいい」

縁は取り繕うように小さく咳払いをすると、話を続けた。

「さっきの女の子のことだが…彼女は由香里の中学の同級生でね、妹につまらないイジメをしてたんだ。それで俺が学校帰りに絵の中に閉じ込めたってワケさ、由香里は何も知らないがね。まったく…許せんよなあ、俺の妹に『ヨーダに似てる』なんて言いやがって」

「はあ」

「まあ…つまり死んで当然のヤツってことさ、あまり気にするなよ」

流は何も答えなかった。

やがて由香里の家が見えてきた。門扉の前まで辿り着くと、流はポツリと控え目な声量で呟いた。

「…今日は色々と巻き込んじまって、悪かったですね」

その言葉に、縁は何かを察したように口角を上げた。

「やっぱりそうか、君…由香里に危険が及ばないように、あえてアイツを遠ざけたな?」

「………」

「な〜に、心配はいらないさ。君なら何が起ころうと妹を守り切れるだろう、現に今朝もそうだっただろ?この俺が言うんだから間違いない。だから…アイツと一緒にいてやってくれないか?君はアイツの初めての友達だからな」

そう言うと、彼はどこからか折り畳まれた紙束を流に差し渡した。

「とはいえ…不安が無いワケではないからな、ヤバい状況になったらコレを開くといい、きっと役に立つだろう」

「…とりあえず礼は言っておきますよ」

縁は門を開けると、まっすぐ玄関に向かった。だが途中でピタリと立ち止まると、振り返って言った。

「そうだ、よかったら俺のギャラリーでも見に…」

「失礼します」

流は背を向けてその場を立ち去った。




翌朝、流がいつものように学校に赴くと、例の教室にはブルーシートが張られており、立ち入り禁止になっていた。

数少ない生き残りである流と由香里は、それぞれ別の教室に移動となった。生徒達の間では、変異者は蛾男によって退治されたという噂が流れているようだ。

ちなみにどうでもいいが、同じく生き残りである春日は、精神的不調により学校を休んだらしい。




流が休み時間に購買に向かっていると、後ろから馴染みのある声が聞こえてきた。

「あ…あの!」

流が振り向くと、ぎこちない笑みを浮かべた、由香里の姿がそこにあった。

「よかった…!無事だったんですね?昨日からずっと心配で…」

「ん?ああ…」

「その…ありがとうございます。流さんがいなかったら、きっと私も…。すいません、何もお礼とか出来なくて…。そうだ、お怪我は大丈夫ですか?確か私をかばって…」

「ああ、たぶん次話には完治してる」

「そ、それはよかったです!それでは、ごめんなすって…!」

ペコリと一礼すると、彼女は流のそばを横切って立ち去ろうとした。

「…なぁ」

「は、はいっ!?」

由香里は不意に呼び止められ、慌てて振り返った。流は背を向けたまま、淡々とした口調で言った。

「別にお礼なんか必要ないが、その代わり…帰りに少し付き合ってくれないか?気になる店があるんだが、1人で入るのはちょいと忍びなくてね。その…君がよければだけどな」

由香里は満面の笑みを浮かべると、心底嬉しそうに言った。

「よ…喜んで!」




その様子を、遠目からしげしげと眺めていた荒井奈美は、廊下の壁にもたれながら、呟いた。

「あ〜あ、また仲良くなってるし。まぁ………いっか♪」


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