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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十二章 ある平凡な長い一日!!!
80/80

トイレに死す!!

「どうなってんだよ、マジで…!」

女は焦燥感に駆られながら、そう呟いた。

周囲を見渡せば、辺り一面が濃霧で包まれている。

行けども行けども、殺風景な光景が広がっていた。

もう、どれくらい歩いただろうか?そして、この場所は一体全体何処なのか?

体力が尽きて、女がその場に立ち止まると、ふと視界の隅で、何か大きな塊が蠢いたように見えた。

咄嗟にそちらに振り向くと、霧の奥から黒く巨大な触手のようなものが、女めがけて突っ込んできた。

「ひっ…!」

その時、彼女の背後から2対の羽根を生やした、蛾のような怪人が現れ、携えていた剣で触手を弾き返した。

霧の奥から獣の唸り声のようなものが聞こえるとともに、触手が引っ込んでいった。 

「コイツが彼が言ってたヤツか…」

「だ、誰!?」

「詳しい話は後だ。まずは園の中に戻るぞ、多分ここにいるよりはマシだろう」




再び霧の中から触手が伸びてきた。しかも今度は2本だ。流は女を自身の後ろに下がらせると、縁から奪って来た剣を両手で構え直した。

「やれやれ、お次は2本か…!ん?」

流は違和感を覚え、剣の刀身を凝視した。

「折れてるじゃねーか!!ぐわああああ!!」

彼は触手に串刺しにされると、高々と持ち上げられて地面に叩きつけられた。

女が彼を置いて反対方向に逃げようとすると、霧の奥から異形の怪物が群れをなして向かってくるのが見えた。彼女を始末するために、縁が放った作品達である。

退路を断たれて絶体絶命の女は、血を流して地面に倒れ伏している流の頭部に蹴りを入れると、金切り声で叫んだ。

「おい起きろ役立たず!なんとかしろよ!ダセえシャツ着やがってよぉ!」

その言葉に、流の指が微かに動いた。

触手と怪物の集団が、女へと一斉に襲いかかって来る。

「ぎゃあああああ!!」

次の瞬間、触手、怪物ども、おまけに女の全身が同時にバラバラになった。




流はいつの間にか、床がタイル張りの狭い部屋の中で跪いていた。どうやらどこかの公共施設のトイレのようだった。

「あちゃ~!戻って来ちゃったかぁ、もう少しタイミングを選んでほしかったなぁ。ハハッ」

甲高い声に流が顔を上げると、目の前でフードを被った男が小便器で用を足していた。

「2人が醜く争うところが見たかったんだけど…しょうがないか。あっ、ちょっと待ってくれる?手洗うから」

男は用を足し終えると、洗面台で入念に手を洗いながら、流に言った。

「脱出に成功したご褒美として、このボクが直接相手になってあげるよぉ」

そう言うと、男はフードをゆっくりと外した。

大きな丸々とした2つの耳と、黒目がちな目、数本の長いヒゲ生やした、ネズミのような顔が露わになった。

「言っとくけど、ボク結構強いよぉ?ハハッ」




「いや〜、今朝はマジでチビりかけたわ…!遅刻してなかったら俺も危うく首チョンパだぜ」

春日はショッピングモールのゲームセンターで、UFOキャッチャーに興じながら、不良仲間に言った。

「まあ、おかげで休みになったんだし結果オーライだろ」

「まーな、そう言えばずっと小便我慢してんだった。ちょっと便所行ってくる」

そう言い残すと、春日は小走りでゲームセンターを後にした。

「うぃ〜、漏れる漏れ…う゛っ!?」

トイレに入るやいなや、彼の目に飛び込んで来たのは、部屋の真ん中で佇む蛾の怪物の姿だった。

その足元には、パーカーを着た男のバラバラ死体が転がっていた。

春日は思わず大量に失禁すると、悲鳴を上げながら逃亡した。

「ぎいやああああ!!まただァ!!」




「…あれ?ここは…!?」

正気を取り戻した流が困惑していると、トイレの入り口付近に黒いモヤのようなものが現れた。

それはたちまち縁の姿へと早変わりした。

彼は、流と黒ネズミ男の死体を発見すると、すぐに状況を理解したのか、ニヤリと笑った。

「…やあ流君、紆余曲折あったが、無事に2人共脱出に成功したようだな」

薄っすらと記憶が戻って来た流は、青くなりながら彼に尋ねた。

「………もしかして僕やっちゃった感じですかね?」

「俺に聞くなよ、君が一番よく知ってることだろ。なろうみたいなセリフ吐いてないで、一旦ここをずらかるぞ。ん?何だこの床…滑るぞ」




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