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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十二章 ある平凡な長い一日!!!
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柵の外

縁は音も無く立ち上がると、流を残してその場を立ち去った。

それから、しばらく歩き続けた後、彼はおもむろに辺りを見回すと、古ぼけたスケッチブックを開きながら呟いた。

「…たまたま、このスケッチブックを持って来ていて本当によかったよ。出てこい」

彼の言葉にスケッチブックが淡く光り出すと、まるで吐き出されるように、紙面から1人の人間が飛び出して、地面に叩きつけられた。

それは、中学生くらいの若い女だった。如何にも不良少女といった見た目をした、中学生くらいの若い女だった。

「あ…あれ?あたし…」

「数年ぶりの外の世界はどうだ?」

困惑する女に、縁はにこやかに話しかけた。女は驚いて彼の方へ振り返った。

「だ、誰だよアンタ…!?つーかここどこだよ!?」

「そうか、俺を知らないか…。だが俺は君をよーく知ってるぞぉ?学校で君が妹に下らない嫌がらせをしていた事をな。だから絵の中に閉じ込めてやったんだ。ちゅーわけで…」

縁がスケッチブックに絵を描き込むと、紙面から剣の柄が生えて来た。彼はそれを抜き取ると、剣先を彼女に向け、言った。

「俺のために生贄になってくれよ」

「…ハァ!?」

女の顔が恐怖に歪んだ。

すると、縁の背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「おい…アンタ何してんだ?その子は…?」

縁が振り向くと、数メートルほど離れた場所に、流が不審げに佇んでいた。

縁は取り繕った笑みを浮かべながら、彼に説明した。

「き…来たのか流君。コイツはオレが前に書いたラクガキさ、もしかしたら生贄に使えるんじゃないかと思ってねぇ。ホラ、ギリギリ人間に見えなくもないだろう?」

「どういう意味だ、テメ…」

「黙ってろラクガキ!」

流はそのアホらしいやりとりを眺めながら、小さくため息をついた。

「ハァ…見え透いた嘘はやめろ。彼女は何者だ?」

流に看破され、縁は苛立たしげに舌打ちをした。

「チッ…!話すと長くなる、君は大人しくそこに突っ立ってろ。彼女を生贄にして、俺が現実世界に戻り、奴をいい感じにブッ殺せば、君もここを出れる筈だ!」

「それで『はいそーですか』となるワケないだろ、ちゃんと説明…」

「あーあー何も聞こえない〜♪何も聞かせてくれない〜♪壊れかけのレディ…」

2人が揉めてるのを契機に、女は彼らの目を盗んで逃げ出した。

「あっ!しまった!逃がさん!」

「クソッ…悪いな!」

「んぎゃん」

女に斬りかかろうとした途端、縁は流に飛び蹴りをかまされて、あっけなく気絶した。

すると、主人を攻撃されたからか、近くを飛んでいた彼の作品達が数匹、流に襲いかかってきた。

「うおっ…!?」

彼はすかさず、縁が握っていた剣を奪い取り、それらを斬り捨てると、女が逃げていった方へと走り出した。



数分後、女は状況を飲み込めないまま、息を切らしてわけも分からず園内を駆けずり回っていた。

「ったく、なんなんだよアイツら…!」

目の前の小さな柵を乗り越えようとすると、背後から男の声がした。

「おい待て!柵の外には出るな!死ぬぞ!」

女が振り返ると、血まみれのシャツを着た男が、剣を片手に目を血走らせて、こちらへ走って来るのが見えた。

「ひいっ!アイツ絶対イカれてる…!」

女は流の制止を無視して、柵を乗り越えると、園の外へと去って行った。

「…クソったれが」

流は一瞬、躊躇したが、柵を飛び越えて彼女を追うことにした。





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