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ぼーいずどんとだい  作者: ゲロブス
第十二章 ある平凡な長い一日!!!
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屋上に参上!!!

『…緊急放送です。校内で変異者が出現しました。全校生徒は職員の指示に従い、速やかに避難してください』

突然の知らせを受けて、生徒達は当然の如く、一様にざわつきだした。

しかし、その表情は不安や恐怖よりも、ちょっとした非日常に対する、期待に満ちていた。

「マジ?変異者?」

「ワンチャンこのまま帰れるんじゃね?」

「最高じゃん、毎日誰か変異しねーかな〜」

生徒達が顔をあわせながら、危機感の無い会話を交わしていると、校内放送は抑揚のない声で、続けて言った。

『繰り返します。校内で変…あっ♥変異者が出現しました。全校生徒は職員の指示に…』

生徒達は再び、どよめき出した。

「…おい、今なんか変な声出さなかったか?」

「なんだ今の…キモッ」

「コワッ」




生徒達が避難を始める中、水野流は人知れず、死屍累々の地獄と化した教室で、数学教師の春野陽気と向かい合っていた。

周囲には死体と、机や椅子が乱雑に散らばっている。

春野は柔和な笑みを浮かべて、流に言った。

「老婆心ながら言わせてもらいますが…無駄な抵抗は止めた方がいいですよ?私を殺すには砂粒1つ残さず、この世から消し去るしかありません。という訳で…」

彼の全身から、砂を固めたトゲのようなものが幾つも突き出てきた。その姿は、どこかハリセンボンを彷彿とさせた。

「そろそろくたばってください」

そう言うと、部屋中を埋め尽くすほどに、大量のトゲが迫ってきた。

流は咄嗟の判断で、由香里を両手で抱えると、ジャンプして天井を突き破り、校舎の屋上へと華麗に着地した。

すると、彼の腕の中で由香里が寝言を発した。

「うぅ…流さん…」

流が顔を覗き込むと、彼女は続けて言った。

「私と一緒に死にま…うごぉ」

流は由香里をポイッと放り出すと、屋上に空いた穴をじっと凝視した。

飛び出して来るか?それとも…。

彼が周囲を警戒していると、後ろからガチャリと物音がした。

振り返ると、扉から荒井奈美が半身を出して、こちらに手を振っていた。

「加勢しよっかぁ?流君」

「来たのか…。気をつけろよ、どこから襲って来るか分からない。君は後ろを頼む」

「オッケー♪」

奈美はそう言って、彼の近くまで歩み寄ると、彼の背後でゆっくりと右手を振り上げた。

その途端、彼女の右手が砂の刃へと変化した。

彼女の正体は、奈美の姿に化けた春野だった。

そのまま、流の頭部へと右手を振り下ろそうとした瞬間、春野は彼に裏拳をもらい、吹っ飛んでフェンスに叩きつけられた。

顔の右半分が崩れたまま、春野は釈然としない様子で言った。

「…はて?どうして私が偽物だと気づいたのですか?」

彼の問いに、流は一拍置いて答えた。

「…いや別に、とりあえず殴っておこうかと思って」

「………最悪ですね、貴方…!」

その時、唐突に、流が開けた穴の中から、黒い外骨格に身を包んだ、両手に鋏と鋭利な尻尾を持つ、謎の怪人が飛び出して来た。

ソイツは流の隣に着地すると、軽い調子で言った。

「お待たせぇ♪」

「…本物のご登場か」

奈美は自分そっくりに化けた春野陽気を発見すると、興奮気味に言った。

「さっすがガー君!偽物を見破ってくれたんだぁ♪」

「ん…?まあ、大体そんな感じだ」

流はいけしゃあしゃあと嘘をついた。

「オヤオヤオヤオヤ…とんだおじゃま虫が現れましたね」

春野は元の姿へと早変わりすると、2人の方に真っすぐ向かった。

「うっさいこの七三男!人間に戻っちゃえ〜」

奈美は春野へと、尻尾による刺突攻撃を連続で繰り出した。だが、攻撃は全て体の後ろへと突き抜けてしまった。春野は穴だらけになりながらも、涼しげな表情で着々と接近してくる。

「げげ〜〜!!これじゃ私の毒を流し込めないじゃん!ガー君どうする!?この子投げつけてその隙に逃げる?」

「…君は彼女を連れて逃げてくれ。コイツは僕が…まあなんとかしよう」

「え〜〜?しょうがないなぁ…」

奈美は渋々ながら承諾したのか、変身を解除し、由香里を抱えると、「じゃ、またねぇ♪」と言い残して、フェンスを飛び越えて去って行った。

「死ぬ準備は整いましたか?ふふふ、楽しみです。もうすぐ我々の理想の世界がやって来る、貴方の死によってね。ん…?」

春野は、足元にいつの間にか亀裂のようなものが出来ていることに気づいた。

次の瞬間、そこから巨大な蛇のような怪物の頭部が出現し、彼を丸呑みにしたかと思うと、亀裂ごと煙のように立ち消えた。 

「…どうだね?俺の自信作は」

流がポカンとしていると、近くで何者かの声がした。

振り返ると、由香里の兄である、吉見縁がスケッチブックを片手に、フェンスに寄りかかっていた。

肩には、小さな翼竜のような姿をした怪物が留まっている。

「アンタは…」

「今のヤツは絵の中に閉じ込めた、もう二度と外には出られんだろう。昨夜から由香里の様子がおかしかったんでね、このちっこいのを監視に行かせたんだ。それで急いで駆け付けて来たってワケさ」

「へぇ…。とはいえ何故わざわざ僕を助けたんだ?」

縁は得意気な笑みを浮かべて、流に言った。

「別に君なんかがどうなろうと興味ないが…妹を悲しませるワケにはいかないだろう?」

「………はっ」

どこかで聞き覚えのあるセリフに、流は小さく笑った。




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