メタルG
「な…流さんがもう1人ィ!?」
突如として現れた、流に瓜二つだが、僅かに眼光の鋭い男を前に、2人が言葉を失っていると、男は無言で右手の人差し指を、ゆっくりと流の頭部へと向けた。
次の瞬間、銃声とともに流は後方へと吹っ飛んで行った。
あまりの急展開に、由香里はショックで口をあんぐりと開けながら、震える声で呟いた。
「な、流さんが撃たれた…!流さんに…!ウッ」
由香里は白目を剥いて地面に倒れ込むと、頭部を強打してブサイクな顔で気絶した。
そんな彼女の横を、男は目もくれずに素通りすると、流の方へ歩み寄りながら言った。
「割とアッサリ片付いたな…ん?」
突然、流が上体を起こすと、男の足元へ何かを吐き出した。それは先程、男が放った銃弾だった。
「へぇ、歯で弾を止めたってワケか…」
流は立ち上がると、自身の生き写しのような男の顔をもう一度、じっと眺めた。
男は流とは対照的な、自信に満ちた笑みを浮かべ、言った。
「…久しぶりだなァ、流。いや…蛾男2号とでも呼ぶか?」
「君はまさか…………………………………量!?」
「間が長げーんだよ…!相変わらずムカつく野郎だぜ…」
数年前に行方をくらませた双子の弟との衝撃的な再会に、流は面食らった様子で尋ねた。
「今までどこで何をしていた…?久し振りの再会だってのに、あんまりなご挨拶じゃないか」
「俺のことはどうでもいい、俺はお前を始末しに来たんだ。あの人の命を受けてな」
流は生徒会長の永木が言っていた、『あのお方』という言葉を思い出した。
「あの人だって…?そりゃ一体どこのクソ野郎だ!どうして僕を狙う?」
「あの人は誰にも必要とされず、途方に暮れていたゴミクズ同然の俺を認めてくれたんだ…!あの人のためなら何でも出来るぜ、たとえ殺人だろうとなぁ…!」
「おい、なんかヤバい信者みたいになってるぞ!そいつに洗脳されてるんじゃないのか!?」
量は冷ややかに鼻で笑うと、続けて言った。
「何とでも言え、話は以上だ。最後に目に焼き付けておけ…!あの人から授かり受けたこの…」
その時、彼の背後で由香里が寝言を呟いた。
「うぅ〜ん、流さんが1人…流さんが2人…流さんが3人…フヒヒ…」
緊迫した雰囲気をぶち壊された量は、舌打ちして彼女をチラリと一瞥した。
「…おい、あのアホはお前のコレか?」
そう言って彼は、流に小指を立てた。
「断じて違う」
「なるほど、セフレね…。それじゃ気を取り直して…」
小さく咳払いすると、先ほどと同じ調子で彼は言った。
「最後に目に焼き付けておけ…!あの人から授かり受けたこの…おごぉ」
量は流に頬に回し蹴りを受けて、橋の下へと落下して行った。
「…しまった、やり過ぎたかな?」
流が心配そうにドブ川を覗き込もうとした瞬間、黒光りするメタリックな装甲で全身を包んだ怪人が、鋼鉄の羽根を羽ばたかせて、激しい風圧とともに勢い良く飛び上がって来た。
そいつは流を見おろしながら、粗野な口調で言った。
「…可愛いことしてくれるじゃねーか、えぇ?」
「…元気そうで安心したよ」
流はそう呟くと、自身も変身して互いに空高く飛翔した。
こうして、宿命の兄弟喧嘩が幕を開けたのだった───!!!!!




