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36話

腕に表れた文言を見てルスは動揺した。


(二人で?あの女性は見捨ててラヴィと二人でって事か?でもそれは…)


ルスは美女と巨大なオークを見る。

大きな棍棒を持ったオークは依然彼女に向かっており、止まる気配がない。


「…」


ルスはラヴィに続くように美女のもとへ向かった。



「危険です!向こうへ行きましょう!」


ラヴィは美女に声をかける。


「え?」


彼女は驚いた様子でラヴィを見る。

そして振り返ってルスとオークを確認した。


「あらあら」


「走りましょう!」


ラヴィは彼女の手を取って走り出した。


「強引なのね、貴方」


「す、すみません!」


「いえ、悪くないわよ」


美女はラヴィに微笑みかけた。



ルスはラヴィたちが走り始めたのを見るとオークに向かい合った。

周囲を確認しながら杖を取り出し自己強化バフをかける。


(アレを試すか…)


ルスは所持している武器の中でも特に大きなものを取り出した。


(戦鎚ってやつかな)


ルスは巨大なハンマーを握り、感覚を確かめる。

ずっしりと重いが扱うことは出来そうだ。


(慣れるまでは両手で持った方がいいかもしれない)


ルスは両手でしっかりと握り、オークを見た。

進行方向を阻まれたオークはルスを見下ろす。

そして棍棒を振り上げた。


「…ルス!」


後方を確認したラヴィはその様子を見て思わず叫んだ。

杖を取り出し魔法を使う。


(間に合わないかもしれない…!)


魔法が届くより先にオークの棍棒は振り下ろされた。




ガキンッ!!!




ルスが下から振り上げたハンマーとオークの棍棒が勢いよくぶつかり、大きな音をたてる。


遠巻きに見ていた魔物たちは、衝撃で身体を震え上がらせた。


棍棒を持っていたオークの腕は、激突後に棍棒ごと後方へ押し戻される。

オークはその反動で後ろによろけた。


力のぶつかり合いでルスの手は痺れる。

ルスの身体は後方に下がり、踏ん張っていた足は地面を削り取っていた。


「…っ!!」


もう一度両手で握り直し、オークへ向かって駆け出す。

オークがニヤリと笑い、再び棍棒を上げた頃、ルスは跳躍し懐へ入り込む。

そして空中で一回転した後、前に膨らんだオークの腹の真ん中に一撃を叩き込んだ。



ドンッ!!



グオオッ


オークの腹を中心に衝撃が走る。

それに耐えられず、オークはよろめきながら数歩下がったあと、後ろへ倒れた。



ズシンッ!!!



森全体が振動する。


身を潜めていた魔物たちは衝撃のあとに木々の間から顔を出し、オークの様子を伺った。



(あの体格差を覆した…)


ラヴィは信じられない気持ちで見ていた。

武器を仕舞ったルスがラヴィ達のもとへ駆けてくる。


「行こう!」


「す、すご…」


「貴方、強いのね!」


ムギュ


ラヴィが言い終わるより先に青い髪の美人は、ルスに駆け寄り抱きしめた。


「!?」


ラヴィは呆気にとられる。


(や、柔らか…!!?)


ルスの頭はそれしか無かった。


直ぐに離れた美人の目は輝いているように見える。


「私、強い人が好きなの!貴方達は冒険者パーティ?」


「は、はい」


「そうなのね!ついて行っていいかしら?」


「つ、ついて行く?良いかな?ラヴィ」


頭が働かずラヴィにパスする。


「ええ構わないけれど」


ラヴィも心ここにあらずと言った感じで返した。


「ありがとう!嬉しいわ!」


美女はラヴィを抱きしめる。


(…!?や、柔らかい…!)


豊満な胸に顔を埋め(させられ)たラヴィは混乱していた。

暫くすると美女は満足したかのように離れた。


「貴方からもポテンシャルを感じるわ!ルスにラヴィね!二人のような強い人に会えて幸運だわ!」


「あ、ありがとうございます…それで、あなたは…?」


「え?ああ、名前…そうね、私の事はドーラと呼んで頂戴?」


ドーラは二人に笑いかけた。



グオオ…



オークの方から声のような何かが聞こえる。


「こ、ここから離れましょう!」


ラヴィは再びドーラの手を取って走り出す。


「そうだね」


ルスも考えるのを後回しにし、ラヴィに続く。


「おっとっと…」


引っ張られ、転びそうになりながらもついて行くドーラ。

ルス達は王国を目指して走る。


そして三人は森を抜けだした。


次回更新:2/20 12:00以降


追記(2/22 22:00)

近日中にあげます…m(__)m

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