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37話

ルス、ラヴィ、ドーラは走って森を抜けだした。


森を抜けだし、大地を蹴った瞬間だった。

ルスの視界が揺らぐ。


「…っ!!?」



バタッ



気付くとルスは地面に俯せになって倒れていた。


(何が起こった!?上から何かとんでもない力で強制的にねじ伏せられたかのような。いや、それよりもこの異様な体力の消費は…!)


ルスの身体は全身を極限まで痛めつけられ、強制的に栄養不足に陥ったかのようだった。

身体に上手く力を入れられない。

まともに動けず、立つこともやっと、といった感じだ。


「る、ルス!?」


振り返ったラヴィが声を上げる。

彼女は直ぐに駆け寄った。


「どうしたの!?転んだ…わけじゃないわよね。とにかく回復魔法をかけるわ!」


苦しそうな様子を見てラヴィは直ぐに魔法を使用した。

ルスの疲労感、痛みが和らぐ。


「あ、ありがとう。少し楽になった。肩を借りてもいい?」


「ええ、勿論」


「大丈夫?」


ドーラも声をかける。


「なんとか。とりあえず王国まで向かいましょう」


身体を無理やり動かしながら、ラヴィに支えられたルスは言った。



家に着く頃には、辛うじて一人で歩ける程度に回復していた。


「おう!お疲れさん…って、ルス大丈夫か!?」


よろよろとしながら家に入ってくるルスを見て、ラクは驚きの声を上げた。


「とりあえず生きてるよ。ただちょっと休ませてもらうね…あ、薬草はここ置いておくから」


ルスはバッグから薬草を取り出し机に置くと、階段に向かう。


「わ、分かったぜ」


手短に要件を済ませルスは三階へと上がっていった。


「ふーん、ここが便利屋ラク?」


最後に入ってきたドーラが扉を閉めて、一階を見渡す。


「な!?え!?ど、どうしたんだ!?その綺麗なお姉さんは!?」


ドーラを見たラクは動揺を隠せなかった。


「あら、ありがとう。この子達が気になってついてきたわ」


ドーラはラヴィに代わって返答する。


「ついてきた…?」


「クエストの最中に出会ったの」


ラヴィは口を挟む。


「一緒にいたら面白そうだなって思って」


「それはもしかして、ルス達のパーティに入ったって事か!?」


ドーラの言葉を聞いて、ラクは質問を投げかける。


「私?私は戦わないわ。見てるだけ」


「ん…?見ていたいだけって事か?ファンみたいなもんなのかな」


頭の上でハテナを浮かべたラクだったが、このチャンスを逃すまいと話を続ける。


「こ、これは提案なんだが、うちの店に協力してもらえればラヴィちゃん達の情報はばっちり把握できるぜ!?戦いが見たいのであればクエストの調整も出来る。よかったら仲間として一緒に働いてくれないか!?今人手が足りないんだ!」


「仲間…」


ドーラは少し考えていた様だったが、直ぐに口を開いた。


「まあ強い人は好きだし、協力してもいいわよ」


「ま…じかよ…」


ラクは目を大きく見開いたまま固まっていた。


「うちの店に…こんな綺麗なお姉さんが…」


何かを噛み締めたような表情で上を向きガッツポーズをするラク。


「さっきも言ったけれど戦いはしないわ。私交渉事とか得意だし、やるならそっち方面かしら。あと強い人が好きだから、パーティについて行ったり観戦したりするかも」


「了解だぜ!」


「まあ気が向いたら手伝うわね。今日はこの後ゆっくりするから。またね」


「え…」


手をひらひらと振りドーラは去っていく。

店のドアが閉まるのをラクは呆然と見ていた。


「…メチャクチャ美人だがマイペースというか、スゲーふわふわしてるな」


ラクはラヴィに話しかける。


「わかるわ。雰囲気が独特で、周りに乱されないというか」


「だよなあ。というか名前も聞き忘れたし、聞かれもしなかったな」


「確かにそうね。ここのお店の名前は説明した気がするけど、貴方の名前がラクだって言ってないかも。ちなみに彼女はドーラと名乗っていたわ」


「ドーラさんな!サンキュー!まあ手伝ってくれるって言ってたし、来たら手伝ってもらうとするか。今は猫の手も借りたいくらいだし」


「そういえば忘れていたけど、これも今日のクエストの分ね」


ラヴィは自分のバッグに詰められた薬草を取り出し、机に並べる。


「え!?ルスが出したので全部じゃなかったのか!?これは嬉しい誤算だぜ!ありがとな!これで信頼は得られると思うし、なんだか順調に行けそうだ」


嬉しそうなラクだったが、途端に心配そうな顔をする。


「で、ルスはどうしたんだ?病気とかじゃないよな?」


「それが分からないの。後で本人から詳しく聞こうと思うから、一緒にどうかしら?クエストでの出来事もその時話せたら効率いいでしょうし」


「わかったぜ!俺もまだやることがあるし、晩飯ついでに聞くとするか。ラヴィちゃんも改めてお疲れさん!今はゆっくり休んでくれ!」


ラクはニカッと笑った。


「ありがとう。貴方もお疲れ様」


階段を上りながらラヴィは言った。



ラヴィは三階に向かう。

自分たちの部屋に入ると、ルスはベッドの上で眠っていた。

ラヴィは扉を閉め、自身のベッドに座りルスを見る。


(ルス…心配だわ…)


先ほどの様子は異様だった。

何せあれほど弱ったルスを見たことが無い。

巨大なオークを打ち負かせた代償だったのだろうか。


(代償…?)


ラヴィはある事を思い出した。


(起きたらルスに確認しないと)


自身の疲労を感じていたラヴィは、自分もベッドで仮眠をとることにした。


次回更新:2/25 12:00以降


だいぶ日にちが空いてしまいました…m(__)m

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