35話
次の日、ルスとラヴィはラクのもとへ向かった。
「これから出かけるんだ。戻って来たらクエスト依頼を任せると思うからそのつもりでいてくれ。あ、俺もやったけど掃除とかしてくれると助かるな!」
そう言い残しラクは家を出ていった。
「あまり掃除するところなかったわね」
「そうだね」
掃除を終え、クエスト前に何か食べておこうという事で食事に向かおうとする。
「あ、一応変装とかしておいた方が良いかな?」
「そこまでする必要はあるのかしら。でも、とりあえず何かしましょうか」
ラヴィは髪を後ろで一つにまとめた。
「ポニーテール!似合ってるね!」
「そ、そう?ありがとう」
ラヴィは少し照れたようで下を向いた。
「変装というか顔を隠せると良いかもね」
ルスのその言葉の後、服屋でフード付きの外套を購入し身に着ける二人。
心配な時は適宜フードを被る、という話で落ち着いた。
飲食店を探しながらラヴィが言う。
「このあたりの店は何処も入ったことが無いから新鮮だわ。美味しいお店があると良いけど」
「そうだね。とりあえず近くの店に入ってみよう」
二人で家の近くの飲食店に入る。
「いらっしゃいませー!」
背が低めの可愛らしい女の子が二人を笑顔で迎えた。
「美味しかったね」
「ええ。近くにいいお店があるとわかって一安心だわ」
そんな話をしながら家に帰った。
「おう、おかえり!待ってたぜ!」
家に入るとラクが声をかけてきた。
「『便利屋ラク』初めての依頼は薬草採取だ!王国から南西の森で薬草を沢山採ってきてくれ!先方は多ければ多いほどありがたいと言っていたぜ」
「了解。というか店の名前初めて聞いたよ」
「ああ、言ってなかったか。良い名前だろ?初めのうちは依頼も少ないだろうし、受けられる仕事はなんでもやりたくてな!まあお前たちが名前を出すことはあんまり無いかもしれないが」
ラクは笑顔で言った。
クエストへの準備をし、ルスとラヴィは南西へ向かった。
背の高い木々の生い茂る森の入り口まで来たラヴィは周りを見渡す。
「あまり人は居なさそうね」
「確かに。あ、あれじゃないかな」
ルスは以前見た薬草と同じものを見つけた。
「そうね。この調子なら沢山集められそう。それにしても、この地鳴りのようなもの何かしら」
「確かに。地震とはちょっと違うような」
遠くで何かが落ちたかのような振動が不規則に起こっていた。
動けなくなるようなものでもなかった為、周囲を警戒しつつ進む。
二人は魔物を避けながら順調に薬草採取を続けた。
「だいぶ集まったんじゃないかしら」
カバンに詰められた薬草を見ながらラヴィは言った。
「そうだね。少し休憩しよう」
適当なところに腰かけて一休みする二人。
「魔法陣ってこんな感じだったっけ?」
ルスは杖を取り出して地面に魔法陣を描いた。
「ええそうよ。より強力にするならここをこうして…」
ラヴィはルスの手に自分の手を重ね、付け足すように模様を描いていく。
(手小さ…柔らか…)
ルスは近くに来たラヴィと、その彼女の手の事しか考えていなかった。
「こんな風にするとより応用が利くようになるわ。あとは魔力を込めたりして…」
ズシンッ
二人は地響きがいつの間にか大きくなっていることに気付いた。
「もしかして、何か近づいている!?」
ラヴィは周囲を見た。
「…」
ルスは魔法陣を確認し、それに魔力を込めた。
「え、あんなところに」
ある方向を見てラヴィが言った。
ルスもそちらを見ると、青みがかった長い髪の女性がいる。
年齢はまるで分からないが美しい顔立ちで身長が高く、スタイルも良い。
チャイナドレスの様な服装を身にまとっており、時折見える傷一つない脚が彼女の妖艶さを更に引き立てていた。
「あの人はどうしてこんなところに?」
「さあ…?…っ、ラヴィ!アレを見て!」
ルスは青い髪の美女の後方を指さす。
美女の背中を追うように大きな影が動いている。
目線を上げると5メートル以上あるような巨大な魔物の姿があった。
鬼のような顔を持ち、腹が出たその魔物は大きな一歩で美女へと向かっている。
「オーク種!?それもあんなに大きな…とにかくまずいわ!」
ラヴィは美女に向かって駆け出す。
ルスも向かおうとしたその時、彼の左腕が痛んだ。
『特殊クエスト:二人で森を出る
失敗時:自分が瀕死になる』
次回更新:2/19 18:00以降




