18話
武器を構える三人の男たち。
その事実にルスは驚いていた。
(本気なのか!?本気で僕らからドロップを奪うためだけに戦闘を…!?)
三人は剣を構え、こちらに向かってくる。
「…っ!」
ルスも剣を握り前に出る。
(ラヴィには近づけさせない!)
前線を上げることで、近接戦闘に不向きな魔法使いを守ろうとする。
「はっ!勇者気取りかぁ!?」
パーティのリーダー、ルドミが一番に斬りかかった。
ルスはそれを正面から受け止めようとする。
剣と剣がぶつかり火花が散った。
(相手の剣が、お、重い…!!)
ルスは全力で応戦していたが、両者のパワーには差があった。
ルスは耐えているが押されていた。
(体格にはそこまで大きな差が無い。それでもここまではっきりとした差があるのは、剣士としての経験値の差なのか!?)
ルスが剣士になって戦ったのは先ほどが初めてだった。
まだ剣の振り方に慣れてきた程度である。
「この程度か!?Fラン勇者よお!?」
「おら!」
パーティメンバーのイラトが右から攻撃してくる。
ルドミの攻撃を流しつつ、右の攻撃も躱す。
「ヒャッハー!」
間髪入れずにもう一人の仲間、フレトの大振りが左からくる。
「くっ!」
後ろに躱したルス。
一旦体勢を立て直す。
(流石に連携し慣れているようだ。でも、速さでは勝っている。冷静に全て捌いていくしかないか)
「逃げるのだけはいっちょ前見てえだなあ」
ルドミは面倒くさそうな顔をする。
「どうして?」
ルスの後ろから声がする。
「どうしてこんな事をするの?少なくとも私がいた頃はこんな事してなかった!」
ラヴィは大きな声で言う。
ルスは内心驚いていた。
(以前はしていなかったのか。いや確かにラヴィがいる頃にこんな事をしたら、ラヴィは耐えられないだろうし当然か…。しかし、あの連携と人を切る事への躊躇の無さは、かなりの『経験者』だと僕は踏んでいるが…)
「どうして、だと?そりゃあ楽だからだよ!確実にな!」
「楽だなんて…」
「初心者なんかカモなんだ。なにせ何も知らねえ。経験もねえ。ここでの戦い方もなっちゃいねえ。Dランククエストなんざと比べ物にならねえ成功率だよ!」
「Dランクのクエストの方が報酬だって経験値だって多いはずよ。成功率が低くたって数回に一回成功するだけでも…」
「ざけんな疫病神!!」
ルドミは突如激昂した。
「Dランクに上がるまでは良かったんだ!あそこまでオレらは絶好調だった!てめえはまともに働いてもねえのに、オレらから報酬を毟り取っていた!不満しかなかったが、ノッていたオレらはクエストの達成率を理由に多めに見ていた!だが、どこかで!絶対にこの寄生虫を追い出してやろうと思ってた!Dランクに上がって、オレらの力が証明された時、オレらはてめえを追い出した!てめえはよくわかんねえことを言っていたが、あれは呪いだった!そうだろ!?てめえが居なくなってもオレらは不調続き、災厄続きだった!」
ルドミはラヴィを睨みながら叫び続けた。
ラヴィは何も言わない。
「オレらはやめた!この断ち切れないクソみたいな呪いを、努力なんてもので断ち切ろうとするのを!もっと簡単な方法があったんだ。もっと楽で、もっと稼げて、もっとオレらに合ったやり方が!」
ルドミは笑った。
いびつな笑いだった。
「諦めろよ、無駄な抵抗だっていつも言ってるのにみんな聞かねえんだ」
「カツアゲなんて誰も幸せにならないぞ。してる側を含めてだ」
ルスはルドミを真っ直ぐ見ながら言う。
「カツアゲ?人聞きの悪いこと言うなよ。『偶々譲ってくれる』んだ、みんな」
笑いながら答えるルドミ。
「今すぐやめろ」
「…じゃあてめえが辞めさせてみろよおおおお!!!」
三人は一斉に走り出す。
(さっきよりは戦える気がしているが…!)
ルスは右のイラトに寄る。
「うら!」
ルスを縦に一刀両断しようとしたイラトの剣を、ルスは鮮やかに受け流した。
勢い余ったイラトの剣は地面に思い切り突き刺さる。
「何やってん、だっ!」
ルドミはルスとの距離を詰め、腹部めがけて突く。
(突き…本当にこいつらは、人間をギリギリまで追い詰めるつもりで…!!)
ルスは躱すが僅かに動揺した。
と、更に緊張が走る。
「ヒャッハー!」
(一人がラヴィに向かって!)
フレトは一人離れたラヴィの方へ向かっていた。
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